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2020年3月3日【経済・社会】

東レ、独・子会社が燃料電池用部材製造の第2工場新設

NEXT MOBILITY編集部

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東レは、水素・燃料電池用部材を開発・製造・販売するドイツの完全子会社「Greenerity(以下、GNT)」の第2工場新設を決定し、3月2日に起工式を行った。稼働開始は来年11月を予定している。

 

第2工場には、水素・燃料電池の核心部材(※1)である触媒付き電解質膜「Catalyst Coated Membrane(以下、CCM)」および膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(以下、MEA)」を効率的に生産する設備を導入し、フル生産時には、両製品合わせて年間約1千万枚の生産を行う計画。これは、レンジエクステンダー方式デリバリーカー約8万台分に相当すると云う。

東レ・ロゴ

地球温暖化防止のための低炭素化について、各国ではパリ協定(※2)や国連の「持続可能な開発目標(SDGs/※3)」に掲げられた世界的目標の達成に向けて、ガソリン車・ディーゼル車など内燃機関(ICE)自動車のCO2排出抑制に関する政策の導入や法制化を進め、具体的な規制・基準を打ち出している。

 

そのため、欧州、中国地域では、大手Tier1や自動車メーカーが、バス、トラック、デリバリーカーなどの商用車向けのレンジエクステンダー(REX)や乗用車向けを含む燃料電池車(FCV/※4)に使用する 水素・燃料電池分野へ本格参入している。

 

東レは、上記のような状況を鑑み、CCM、MEA需要の飛躍的増大を見通して、顧客からの増産・供給の要請に応えるため、今回、GNTの第2工場新設を決定した。

 

東レグループでは、水素・燃料電池向けに、高圧水素タンク用高強度炭素繊維、プリプレグ(※5)、水素脆性 高耐性ライナー樹脂、電極基材(Gas Diffusion Layer:GDL)、触媒層、高温運転性と水電解・水素圧縮にも好適な低ガス透過性とを備える炭化水素系電解質膜などの素材やその加工品を提供。2015年にCCM、MEAの設計技術を保有していたGNTを買収し、東レの関連素材と融合しCCM、MEAの製造・販売拠点として育成してきた。

 

東レは、今後も一層、グループ一丸となって、将来の低炭素・水素社会構築のための取り組みを強化していくとしている。

 

 

[会社概要]

 

– 会社名:Greenerity GmbH
– 設立:2015年7月1日
– 所在地:ドイツ連邦共和国バイエルン州アルゼナウ市、
– 資本金:45百万ユーロ
– 出資:東レ100%
– 代表者:Holger Dziallas
– 事業内容:

水素・燃料電池用、水電解用、および、水素圧縮用のCCM、MEAの開発・製造・販売。

 

 

[新工場の概要]

 

– 所在地:ドイツ連邦共和国バイエルン州アルゼナウ市
– 稼働開始:2021年11月(予定)

 

 

タイトル画像:3月2日にアルゼナウ工業エリアで執り行われたGNT新工場の起工式(左から4番目が後藤哲哉 東レ専任理事/Greenerity会長、同5番目が須賀康雄 東レ専任理事/東レ欧州代表、同6番目がAlexander Legler アルゼナウ市長、同7番目がHolger Dziallas Greenerity社長)

 

※1)水素・燃料電池の核心部材:水素・燃料電池での発電は、触媒(水素極)によって水素から電子とプロトン(H+)が生成され、プロトンは電解質膜で伝導され空気中の酸素と触媒(空気極)上で化合して水を生成することで行われる。結局、水素と空気から発電と水生成が行われるが、その効率は触媒と電解質膜(これらを合わせたCCM)、更にこれにガス供給と発生電気の効率よい伝導を司る電極基材(GDL)(CCMにGDLを合わせたMEA)という核心部材の特性に依存する。

 

※2)パリ協定:2016年11月4日発効の温室効果ガス削減に関する国際的取り決め(国連気候変動枠組条約締結国会議(通称COP)で合意)。締結国だけで世界の温室効果ガス排出量の約86%、159ヶ国・地域をカバーする。

 

※3)持続可能な開発目標(SDGs):2015年9月の国連総会で採択された『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ』と題する具体的行動指針。『持続可能な開発目標』(Sustainable Development Goals:SDGs)であり、17のグローバル目標と169の達成基準からなる。

 

※4)レンジエクステンダー(REX: Range Extender):EV車のモーター駆動用バッテリーを、搭載する水素・燃料電池で発電し充電しながら走行する方式。バッテリーの充電より水素充填の方が短時間、かつ、航続距離を稼げる。なお、燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)とは、アクセルアクションに連動した水素・燃料電池の発電が直接、モーターを駆動する方式。

 

※5)プリプレグ:炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の半硬化中間成形物。これを積層して熱成形後、硬化させてコンポジット成形体を得る。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。