豊田通商は１１月１６日、グループ会社の「豊通リチウム」が福島県楢葉町に建設を進めてきた、国内初となる水酸化リチウムの製造工場が、同日、竣工したと発表した。
水酸化リチウムは、車載向けリチウムイオン（Li-ion）バッテリーの正極材の原料。電動車普及の加速やバッテリー性能の向上に伴い、これまで以上に需要が見込まれると共に、安定供給が求められている。
豊田通商は、2014年に豪州のオールケム社（Allkem Limited：旧オロコブレ社（Orocobre））と共に、アルゼンチン・オラロス塩湖のリチウム生産拠点であるサレス・デ・フフイ（Sales de Jujuy）で、炭酸リチウムの生産を開始。その後、炭酸リチウムの供給に留まらず、高品質な水酸化リチウムを国内外のメーカーに安定的に供給するため、2018年に「豊通リチウム」を設立し、国内初となる水酸化リチウムの製造工場建設をこれまで進めてきた。
同工場では、サレス・デ・フフイで生産された炭酸リチウムを、水酸化リチウムに加工。生産能力は10,000トン／年で、豊田通商のグループ会社である「豊通マテリアル」を通じ、車載向けなどの電池用途に限らず、工業用途も含め、国内外のメーカーに販売する。
工場では先ず、試運転を行いながら製品の品質が適合しているかなどを確認、その後本格稼働へと移行する。当面は工場の安定生産・安全操業に注力するが、急拡大するリチウムイオンバッテリー市場の期待に応えるため、将来的には生産能力の拡大や、海外への展開も視野に入れていると云う。
豊田通商グループは、自動車の電動化シフトに伴い増加するLi-ionバッテリーに必要な水酸化リチウムを供給していくことで、カーボンニュートラル、CO2排出量削減の取り組みを加速していくとしている。また同事業は、東日本大震災の復興支援である経済産業省の「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」の対象事業であることから、同省および福島県の協力を得つつ、地域経済の活性化や被災地域の産業復興にも貢献していきたいとしている。
［会社概要］
– 会社名：豊通リチウム株式会社
– 所在地：福島県双葉郡楢葉町山田岡仲丸１−４０
– 会社設立：2018年10月
– 出資比率：Allkem Limited 75％、豊田通商 25％
（議決権比率：Allkem Limited 49％、豊田通商 51％）
– 事業概要：水酸化リチウムの製造・販売。
■豊通リチウム：https://www.toyotsu-lithium.com/