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2018年11月6日【エネルギー】

独フォルクスワーゲンAG、量子技術で交通管制のリーダーに

坂上 賢治

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この新たな技術革新は、公共交通機関やタクシー会社だけでなく、「移動」に関わる数多のステークスホルダー企業は、乗客や荷物の輸送効率をこれまでとは異なる次元にまで高められるようになる。

 

 これらの成果について、フォルクスワーゲンが米国・サンフランシスコに拠点を据えている「CODE Lab」のプリンシパル・サイエンティストを務めているFlorian Neukart氏は「我々は他の自動車メーカーに先駆け、量子コンピューターの実用利用を進めつつあります。

量子コンピューターは、従来のスーパーコンピューターよりもはるかに高速に動作することから、トラフィックの最適化作業を含む複雑なタスクを圧倒的なスピードで演算することができます。

このため多くの企業や交通環境に於いて、これまでとは異なる次元で、個々ユーザーに最適化したサービスを提供することが可能になるでしょう」と話している。

 

 一方、D-Wave Systems社長のBo Ewald氏は「量子コンピューティングは次世代を担う基礎技術です。量子コンピューターをベースにした我々のアプリケーション開発は、近未来の人々の日常に大きな影響を与えることになるでしょう」と述べた。

 

 ちなみに量子コンピューターとは、量子が「重ね合わさったり」や「絡み合ったり」する量子力学的な現象である「エンタングルメント(量子エンタングルメント)」を利用して複雑な計算式と回答を導き出す全く新しい概念のコンピューターである。

つまり量子の重ね合わせによって、複数の数字を同時に組み合わせることが可能であるため、これを基に多元的な演算を一気に行える。

これに対して従来のコンピューターでは「ゼロ」と「1」のふたつを可能な限り高速に繰り返すことで計算を行ってきた。これ対して量子コンピューターは無限の計算式を組み合わせて同時に演算する。

 

 結果「移動」に関わる事業者は、本来は猫の目のように変化していく需要に合わせ、その時々の最適の「解」を極めて短時間で割り出すことができるようになり、自動運転車が刻一刻と変化する移動ニーズに合わせリアルタイムに配車できるようになるなど、常に最適化された交通インフラ環境を利用者に提供できるようになる。( MOTOR CARSから転載  )

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。