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2021年9月7日【シェアリング】

JDパワー、カーシェアサービスの認知率や利用意向を調査

NEXT MOBILITY編集部

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J.D.パワー ジャパンは9月7日、コロナ禍でのカーライフやクルマの意向に関するアンケート調査の結果を発表した。

 

アンケート結果から、今回は、カーシェアリングサービスに関する消費者の考えや意識について紹介する。

 

 

 

 

「カーシェアリングサービス」とは

車を個人で所有する代わりに一定時間の利用で一台を複数の人で共同所有(シェア)する「カーシェアリングサービス」は元々ヨーロッパではじまったサービス。

 

カーシェアリングサービスには、「企業から車を借りるカーシェア」と「一般の個人から借りるカーシェア」の2種類があるが、日本国内では、2002年からカーシェアリング事業者が車を貸し出す「企業提供型カーシェアリングサービス」が開始された。2010年ごろから市場が本格化し、現在、大手3社のタイムズカー、オリックスカーシェア、carecoを筆頭に、カリテコ、アースカーなどがサービスを展開しており、また、近年では自動車メーカーの参入も見られる。

 

一方、駐車場や車庫に駐車したままの時間が多い自家用車を有効活用したいオーナーと自動車を必要とするドライバーをつなぐサービスとして「個人間カーシェアリング」がある。日本では2015年からサービスが開始し、現在はAnyca、CaFoRe、GO2GOなどがサービス展開している。

 

 

7割以上が「カーシェアリングサービス」を認識

カーシェアリングサービスについて知っているかを尋ねたところ、「名前を見聞きしたことがある」が40%、「サービス内容を知っている%」が33%(何となくは知っている:25%、詳しく知っている:8%の合計)という結果になった。全体の7割以上(73%)がカーシェアの存在を少なからず認識していることになる。

 

世代別に認知率(「名前を見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)を見ると、若年層は68%、ミドル層は72%、プレシニア層は75%、シニア層は77%で、世代が上がるにつれ、よりカーシェアになじみがあることが分かった。

 

また現在、車を保有している層と保有していない層で比較すると、車保有層でのカーシェアの認知率は76%、非保有層での認知率は63%となった。マイカーがある人のほうがカーシェアに馴染みがあることが反映した。

 

 

 

 

自宅周辺のカーシェアステーションを知っているのは全国平均では3割弱、地域により差

カーシェアリング主要3社のステーション数は、東京都が最も多く約6,700箇所、次いで大阪が約2,700箇所、神奈川県が約1,900箇所。この他の都道府県のステーション数はいずれもは1,000箇所未満で、うちステーション数が100箇所にも満たない県が30箇所以上という状況になっている。

 

 

 

 

「あなたの自宅の周辺で、カーシェアリングサービスが利用できる場所をご存じですか」と尋ねたところ、「知っている」は3割弱(29%)。 カーシェアリングサービスの存在自体を知っている割合に比べて、実際住んでいる近くで利用できるステーションを知っている人はまだ少ないという実態が確認できた。

 

地域別に「知っている」の回答割合を見ると、東京、神奈川、大阪居住の回答平均は41%、次いでステーション数の多い5県 -千葉、埼玉、愛知、兵庫、福岡在住の回答平均は31%、それ以外の地域居住の回答平均は20%となり、地域によって大きな違いが表れる結果になった。

 

 

 

 

利用検討意向でも地域での差、利用検討意向者の6割以上がレンタカーと併用を検討
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものを尋ねたところ、カーシェアリングサービスの利用を「検討する」と回答したのは全体の6%であった。一方、レンタカーの利用を「検討する」と回答したのは全体の15%となり、カーシェアがレンタカーに比べまだ十分に浸透していない状況がうかがえる。また、カーシェアリングサービスとレンタカーの両方を検討する人の割合を見ると、カーシェアリングサービスの利用を検討する人のうち、6割以上(63%)がレンタカーの利用も検討していることが分かった。

 

カーシェアの利用検討意向を地域別に見ると、東京都で13%、神奈川で10%、大阪府で9%、その他の地域は平均して3%という結果になった。自宅周辺のステーションを「知っている」と回答した傾向と同様に、利用検討においても地域差が見られる。

 

 

 

 

短時間での日常使いが旅行に次ぐ利用目的の主流、利用者の半数はマイカー保有者

実際にカーシェアを利用している人に焦点を当て、半年以内に日本国内でカーシェアリングサービスを利用した人を対象にした「J.D. パワー 2021年カーシェアリングサービス満足度調査℠」(2021年3月発表)から、利用方法や利用者の特徴を見ていくと、カーシェアリングサービスの利用理由トップ3は、「自宅近くにステーションがあったから」、「24時間いつでも借りたり返したりできるから、「すぐに出発・返却できるから」という結果になっている。

 

また、利用目的は「旅行」が最も多いものの、「近隣での日常的な買い物」、「郊外や遠方での買い物」、「家族などの送迎」といった、ちょっとした日常使いでの利用目的に挙げる人も多いことが特徴となる。

 

利用時間は「1時間以上3時間未満」(46%)が最も多く、6時間未満の利用が約8割を占めている。レンタカーでは6時間未満の割合はわずか12%で(2021年3月発表「レンタカーサービス顧客満足度調査℠」より)、その違いは歴然だ。

 

また、カーシェア利用者の半数は自家用車(マイカー)を保有しているが、マイカー保有者がカーシェアを利用する理由として「自家用車は家族などで共有していて、車を使いたいときに使えないときがあるため」が最も多く挙がっており、カーシェアが日常生活でのサブカーという役割も果たしていることがわかる。​

 

このように、カーシェアは短時間での日常使いが気軽にできるのが魅力の一つだが、実際には利用者の6割以上が、「空車がみつからず、利用をあきらめた」、「利用したいステーションに空車がなく、違うステーションで探さなければいけなかった」というようなストレスを経験している。また、今後の期待としても「ステーションの増加・エリアの拡充」を挙げる傾向も高いことが分かった。

 

 

 

 

個人間カーシェアについて
駐車場や車庫に駐車したままの時間が多い自家用車を有効活用したいオーナーと自動車を必要とするドライバーをつなぐ「個人間カーシェアリングサービス」について知っているかを尋ねた。

 

「名前を見聞きしたことがある」が28%、「サービス内容を何となくは知っている」が14%、「サービス内容を詳しく知っている」が4%という結果になった。「知らない」が54%と過半数を占め、企業が提供するカーシェアリングサービスを知らないと回答した割合(27%)と比べても、サービスがまだ一般に浸透していないことがうかがえる。

 

また、今後の個人間カーシェアの利用検討意向は、「検討すると思う」がわずか2%であった。

 

 

 

 

個人間のカーシェアリングサービスは、企業ではあまり提供していないような珍しい車種や高級車、輸入車なども多く、日常の移動手段としてのカーシェアリングサービスとは異なり、車好きの層を中心に人気が出てきているようだ。しかし、盗難や詐欺といった悪質なトラブルも発生しており、フォロー体制が課題となっている。今後の個人間カーシェアの利用検討については、「検討すると思う」がわずか2%であった。

 

 

まとめ

2010年頃からカーシェアリング事業者が車を貸し出す「企業提供型カーシェアリングサービス」が本格的に始まり、それから10年程が経過した。今回の調査では既に7割以上の人がこのようなカーシェアリングサービスを認知しているという結果となり、カーシェアという新しいクルマの利用形態への認識は着実に広まってきていることがうかがえる。また、自宅周辺のカーシェアステーションを知っている人は全体では3割未満であるものの、東京や大阪のような都市部においては4割前後と、多くの人にとって、「カーシェア」というものが”使ったことはないが身近にあるもの“となってきるとも言える。

 

ただし、カーシェアリングサービスがマイカー保有に代わる存在となり得るか、という目線で見ると、今回の調査ではその意向者は1割未満という低い水準に留まっており、まだマイカーに取って代わるサービスとして確固たる立ち位置を築けているとは言えない。

 

また「J.D. パワー 2021年カーシェアリングサービス顧客満足度調査℠」の結果では、カーシェアユーザーの半数はマイカー保有者が占めており、家族が使っていて使えない時、メンテンナンス入庫時の代車として、といった2台目需要も多いことがわかっている。

 

しかしその半面、マイカーを保有していないカーシェア利用者においては、その半数以上が今後の車の所有や利用について、引き続き(この先もクルマを持たず)「カーシェア」を使いたいとしている。また、9割近くが友人等にも「薦めたい」と回答しており、(必要な時だけ)近場からいつでも使いたい時間だけ借りられてすぐに使える、こういったカーシェアの特徴を評価しているユーザーは多いと言える。

 

“存在は知っているけれど、実際に使ったことがない”ー という人がまだ多いカーシェアリングサービスだが、現状ではテレビコマーシャルのような大々的な広告は行われておらず、その魅力や利点が十分に消費者に伝わっていないようだ。ユーザーの体験や口コミなども通じて、カーシェアならではの利便性や特徴を今後更に多くの人に伝えていくことが重要だと考えられる。加えて、今後の普及や利便性向上に向け、需要の高いエリアを中心としたステーションの更なる拡充が期待されている。

 

 

 

■調査概要 J.D.(パワー調べ)
「コロナ禍でのカーライフやクルマの意向」に関するアンケート
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年6月
対象者:20~69歳の計2,800名

 

引用:J.D. パワー 2021年カーシェアリングサービス顧客満足度調査℠
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年1月
対象者:18~64歳の計1,742名

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。