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2023年3月7日【自動車・販売】

いすゞ、商用BEV導入支援プログラムを開始

坂上 賢治

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いすゞ自動車・ロゴ

いすゞ自動車は3月7日、同社初の量産BEV( バッテリー搭載型電気自動車 )「ELF EV」の市場投入に併せ、自らが新構築した「EVision 」を同日より提供すると発表した。

 

EVisionとは、いすゞが独自にEVの文言に、〝視覚〟〝先見性〟〝展望〟などの要素を包括しているVisionを組み合わせた造語。

 

その意味合いは、商用BEVの導入検討のサポートや導入課題の解決。CO2排出量削減効果を定量化する事。脱炭素化提案による将来的な100パーセント炭素中立(カーボンニュートラル)の実現を視野に据えた包括的なソリューション全域を指すもの。

 

目的は、EV導入に係る課題解決を通して、車両運行上での炭素中立の可視化を可能にするなど、炭素中立実現に向けたいすゞの積極姿勢・取り組み・展望を顧客へ対して示すものだ。

 

より具体的には、商用BEVの「導入検討時」「導入時」「導入以降時」のそれぞれ各フェーズ毎に適したソリューションを独自提供するものとなっている。

 

つまり商用BEVの導入・運行などの個々段階で、想定されるであろう充電設備導入や電気料金の検討。環境負荷軽減効果をどのように測定するかなどの諸課題を、以下に示す各ソリューションを介して解決していくものであると謳っている。

 

そんな「EVision」の中身は以下3要素で成り立っている

 

1.導入検討をサポートする「EVisionコンシェルジュ」

ここでは以降に於いて、個々に順を追ってEVisionが果たす機能や効果を説明する。まず「EVisionコンシェルジュ」により、商用BEVを導入する場合のオペレーションメニューを詳細に可視化する事が第一義だ。

 

その可視化手段は、運行車両の最適な運用パターンを精緻に設計する事にある。そこで、いすゞはこの段階では「EVisionコンシェルジュ」の導入を使って顧客を丁寧にサポートしていく。

 

具体的には「(1-1)既存車両からBEVへの切替に於いて最適な運行ルートを提案」する事。「(1-2)充電器・充電時間・タイムスケジュール」を示して「電気料金・施設電力デマンドの分析」を行う事。「(1-3)CO2排出量削減効果のシミュレーション」を行う事で、これらがEV導入の検討段階での顧客サポート施策となる。

 

2.導入課題を解決する「EVisionソリューション」

次の段階は、充電器の選定から施工業者の手配・設置、補助金申請時の課題解決を担う「EVisionソリューション」の役割となる。

 

同領域では、運行計画に合わせて車載バッテリーの劣化を正確に予測。この予測内容を車両のリース期間に反映させるべく、パッケージリース契約「EVisionプレイズムコントラクト」を設計・提案していく。

 

このEVisionプレイズムコントラクトでは、従来から、いすゞが提供してきた運行管理・予防整備サービスを更に高めた商用車情報基盤「GATEX」を使い、システムが打ち出した数値とのデータ連携を行う事で、より優れた遠隔充電管理を可能としていく。

 

なお車両運行側のみならず、施設のエネルギーマネジメントシステムとも連携させる事で、拠点の消費電力全体のピークシフトにも貢献出来るとしている( 2023年中に対応予定 )。

 

もちろん個々の事業社ニーズに沿うメニューも用意される。その一例では、太陽光パネルの導入や、風力・水力発電を施設のエネルギー・マネジメントに組み込んで再生可能エネルギー由来の電力利用自体をも提案するプランなどがある。

 

加えて石油や石炭、天然ガスなど、事業に係るエネルギー発電時にCO2を排出する化石燃料を使用していない事を証明・可視化する「非化石証書サービス」の提案も行っていく。これらにより、エネルギー連携ソリューションの導入段階を踏まえた多様な周辺サービスの提供にも応えていくとしている。

 

3.排出量削減効果を定量化する「EVisionレビュー」

ただ以上をサポートしたとしても、こうした実力を国や顧客へ提案する際の手段を示す事も重要だ。そこでいすゞでは、CO2排出量削減効果を定量化する「EVisionレビュー」の提供事案も用意した。

 

このEVisionレビューでは、EV・再エネ導入によるCO2排出量の削減効果を外部に向けて示すため、温対法( 正式名称:「地球温暖化対策の推進に関する法律」 )や、今年4月から施行される改正省エネ法( 正式名称:「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」 )で義務付けられる温室効果ガス排出量の国への報告。更に「荷主への排出量削減目標の進捗報告」もBEV車両の導入ユーザーへ向けて提供していく。

 

 

それらEVisionソリューション実現のため、いすゞは外部の様々なパートナー企業との協力を推し進めた。

 

実際、いすゞは各ソリューションサービスの提供を可能とするべく、例えばEV運用や、再エネ分野では同分野のソリューション開発で先行する〝伊藤忠商事〟からの知見を得ている。

 

また先のリースサービスの「EVisionプレイズムコントラクト」については、いすゞ自動車販売と伊藤忠の合弁会社である〝いすゞリーシングサービス〟を通じて展開。

 

普通充電器から急速充電器に係る「ハード並びにソフトウエアの提供」と「広範囲な充電ソリューションの提供」については、〝パナソニック〟〝ニチコン〟〝京セラみらいエンビジョン〟〝伊藤忠プランテック〟〝新電元工業〟〝東光高岳〟との密接に連携。

 

施設電力と連携する「充電マネジメント」や「再エネ電力の導入紹介」については、〝アイ・グリッド・ソリューションズ〟〝伊藤忠エネクス〟と連携していく。

 

いすゞでは、以上の様々な外部協力先との連携を通じてプログラムを消化。その流れからEVの普及を促進し、地球環境への負荷を最小限にする挑戦を続けていきたいと話している。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。