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2019年4月21日【エネルギー】

トヨタ、中国清華大学と共同のモビリティ研究機関を設立

坂上 賢治

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しかも2021年以降は、その比率がさらに大きく引き上げられていく流れにある。もしもこの期間で、各メーカーのEV生産量が未達となってしまえば、中国政府へ相応の罰金を支払わなければならないのだ。

 

2019年に掛けて中国のEV量産は、自動車販売台数が過去半年を超えて減速傾向が続いているなか、メーカー各社にとってコスト負担も大きく、EV大量生産に伴う利益確保は望み薄だ。

 

しかも中国のマーケット下で、純電動車以外の補助金政策は既に今年で75%が削減される。そして来年には廃止へと向かう予定だ。

 

 

 今後この中国政策の方針に従っていくならば、例えば当地でこれまで大量の車両を販売してきたゼネラルモーターズの場合、2019〜2020年の期間に於いて、およそ27万台に迫る純電動車を中国マーケットに供給しなければならなくなる。

 

そのためには、今の世界レベルを大きく凌駕する高性能かつ、低価格なバッテリーの確保が必要だ。もちろんインバーター製造についても技術的な飛躍が欠かせない。

 

 そうしたなかで仮に今後、2030年位までの限られた時期であったとしても、もしもトヨタ製の電動技術が「清華大学-トヨタ連合研究院」で、中国自動車業界のデファクトスタンダードになれるような可能性が見えてくるとしたらどうなるか。

 

トヨタの戦略次第では、互いに当地で覇権争いを繰り広げることになるライバルの米国車・ドイツ車の成長戦略を打ち砕く可能性すら、見えてくるかも知れないのだ。

 

 日本政府とトヨタ、そして中国政府との接触は、予てより折に触れ取り沙汰されてきたゆえに、この共同研究体制が中国行政のヒントの一端になれることが出来るのであるなら、新たな日・独・米・中の自動車覇権を巡る政治的駆け引きが繰り広げられることになるのかも知れない。

 

精華(清华)大学
https://www.tsinghua.edu.cn/publish/thu2018/index.html 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。