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2022年9月9日【新型車】

SKYグループ、ブガッティW16ミストラルの予約販売を開始

坂上 賢治

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「ブガッティ東京( BUGATTI TOKYO )」から世界限定99台を予約販売へ

 

スカイグループ( SKY GROUP )は9月9日、自社傘下拠点の「ブガッティ東京( BUGATTI TOKYO )」で世界限定99台の「ブガッティW16ミストラル( Bugatti W16 Mistral )」の予約販売を開始した。( 坂上 賢治 )

 

 

ブガッティW16ミストラルは、シロン・スーパースポーツ・スリーハンドレットプラス( Chiron Super Sport 300+ )で採用されていた8リッターW16エンジン( W16気筒/1,600ps )を積むロードスターモデル。

 

そのデザインモチーフは、オランダ・南ホラント州に於ける事実上の州都デン・ハーグ所在の〝ルーマン博物館〟に今も展示されている1934年式の「ブガッティタイプ57ロードスター・グランドレイド」からインスパイアを受けたもの。

 

 

このクルマは先の8月、米カリフォルニアで開催された「モンテレー・カー・ウィーク( Monterey Car Week )」の〝ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング( THE QUAIL A MOTORSPORTS GATHERING )〟で初披露された。

 

同モデルの開発過程に於いてブガッティは、ポルシェの資本を受けたクロアチアのEV企業「リマック・アウトモビリ( Rimac Automobili )」と合併(昨年の2021年末)。「ブガッティ – リマック( Bugatti-Rimac )」となって以降は、装いも新たなパワートレイン新時代へと漕ぎ出すものと思われていたのだが、実際に登場したのは、伝統のW16エンジンを搭載した歴代最後のロードスターモデルとなった。

 

 

しかもそのエンジンスペックは、4連装ターボを組み合わせて最大出力1600ps、最大トルク163kgmを絞り出し、時速420km/hの高速性能を現実のものにする。

 

 

馬蹄型グリルに、専用設計のヘッドライトを組み合わせて彫りの深さを強調

 

車両のスタイリングは、ブガッティのデザインアイコンである馬蹄型グリルに、縦に長く配置された専用設計のヘッドライトを組み合わせて彫りの深さを強調。より立体的になった顔付きはそのままにエンジンへの最適なエアフローを確保するべく、オイルクーラーインテークはボディーサイドへ、エンジンエアインテークはキャビンのすぐ後ろのルーフへと意図的に分離された。

 

 

反対にフロントノーズの上面は、かつてのディーヴォ(Divo)を思わせる先鋭的なラインを描き、Aピラーを包み込むように湾曲したウィンドスクリーンがサイドウィンドウへ継ぎ目なく繋がるような意匠となった。

 

更にフロントガラスとサイドウィンドウの上端を結ぶラインは、そのままボディーサイドのエアインテークに続き、再び切り替えしてサイドウィンドウの下を通過し、その先にあるフロントのホースシューグリルにまで繋がっている。

 

 

車体後方は、ドライバーの視界を妨げる事のない流れるようなファーストバックスタイル。ルーフに設置された2つの新しいエンジンエアインテークは、近代のブガッティで初のオープントップモデル「ヴェイロン16.4グランドスポーツ( Veyron 16.4 Grand Sport )に由来するものとなっている。

 

ボディラインの最終エンドとなるリヤビューは、レーシングモデルのボリード(Bolide)を思わせるエックスラインのLEDテールランプを輝くブガッティロゴのバッチで繫げ、より印象的かつエレガントなアピアランスを持たせた。

 

 

V字型のフロントガラスが、これまでになかった特徴的なロードスターモデルに

 

一方のインテリアでは、シロンのデザインテイストを受け継ぎつつもブラックとイエローのデュオトーン基調を基本としている。後方に流れるような二重のエアロダイナミックヘッドレストと、V字型のフロントガラスが、これまでには無かった特徴的なロードスターモデルに仕上がる隠し味となっている。

 

この全く新しいロードスターモデルについてブガッティ・リマックのマテ・リマックCEOは、「ブガッティの伝説を受け継ぐW16エンジンを積む最後のロードゴーイングモデルとして、私たちはW16ミストラルを作る必要があると考えました。

 

 

と言うのは、ブガッティがこれまでに製造した車両の実に40%以上がオープントップモデルであり、それが今日まで世界中で並外れたパフォーマンスアイコンとしての地位を確かなものとしているからです。また、これまでシロンのモデルラインナップには、今日に至るまでロードスター自体が存在しなかった事も同プロジェクトに取り組む原動力になりました。

 

そこで、この印象的なエンジンの味わいを、全く新しいクルマで体感したいと望まれるお客様からの要望に応えて、W16エンジンの新たなストーリーを作り続けていく事にしたのです。それは1世紀以上続くブガッティ製オープントップモデルの新たな幕明けとなるでしょう。

 

 

一方で、ここで改めて当時の車両開発の過程を振り返る時、私達は、これほど刺激的で重要なモデルにどのような名前を付けるべきかを悩んでいた事を思い返しています。それはシロンを単に発展させたというだけではなく、自由やエレガンス、そして圧倒的なスピードを連想させるような名称が必要でした。

 

そうした中、ローヌ川流域から南仏のコート・ダジュールの華やかな街を吹き抜け、地中海に向かって吹き下ろす力強い北風〝ミストラル〟から、私達は新たな命名の着想を得ました。その名前の通り、このW16ミストラルは、これまでのオープンカーとは一線を画す性能を発揮します」と述べた。

 

 

美しいシルエットを作る車両デザインについては、全く新たな構想の基で取り組む事に

 

またそのスタイリングついてデザインディレクターの担うアヒム・アンスハイト氏は、「W16ミストラルの絶対性能を損なう事なく、より美しいシルエットを作り出すために、車両デザインについては、全く新たな構想の基で取り組む事となりました。

 

つまり既存のモノコックをAピラーの上で切断して、オープントップの新しいデザインとした訳ではないのです。それは史上最高のパワートレインを搭載する最後のロードゴーイングモデルであり、ブガッティの歴史を語る上でも重要な意味を持つクルマとなるからです。

 

 

私たちデザインチームは、そんなプレッシャーを感じながらも、ブガッティの様々な美しいロードスターモデルに並ぶ珠玉のロードスターに仕立てるべく、様々な腐心を重ねました。

 

その象徴となったのがブガッティタイプ57ロードスター・グランドレイドです。デン・ハーグのルーマン博物館に展示されているこのモデルは、後方に流れるような二重のエアロダイナミックヘッドレストと、V字型のフロントガラスを持つエレガントなロードスターです。

 

 

これをモチーフにW16ミストラルは、1934年式ロードスターを象徴する内装色を取り入れました。それはトリュフブラウンのニュアンスを含んだ温かみのあるブラックに、淡いイエローを組み合わせたエットーレ・ブガッティ氏のオマージュカラーでした。

 

ブラックとイエローのカラーコンビネーションは時を超えたブガッティの伝統

 

エットーレは、タイプ41ロワイヤル( Type41 Royale )を筆頭に自身が所有するモデルの多くにブラックとイエローのカラーコンビネーションを選びました。ブガッティを愛する人々にとって、この組み合わせは、そんなほぼ100年もの時を超えたカラーとなります。

 

 

一方でデザインに係るハイライトは、こうしたイメージ提案だけに留まりません。ヘッドレストの後ろにある新しいラムインダクション・エアスクープは、当初から厳しい横転試験を念頭に置いて開発され、それぞれが特注のカーボンファイバー構造になっており、万一の横転時にも車の全重量を支える事が出来ます。

 

そして何よりも、この新しい吸気レイアウトは8リッターエンジンの豊かな吸気音と4つのターボチャージャーのブローオフバルブが空気を排出する音をより大きく感じる事が出来るものであり、それらはステアリングを握るオーナーのドライビング体験をより豊かなものにします。

 

 

これは、見た目のデザインを超えた機能と融合した他車では例を見る事のないW16ミストラル独自のドライビングエクスペリエンスとなるでしょう」と結んでいる。

 

そんなデザイン・絶対性能・希少性に於いて創業当時から続くブガッティ製ロードスターのレガシーを現代に引き継ぐW16ミストラルは500万ユーロ( 約7億万円 )のプライスタグが付けられている。

 

 

ブガッティ W16 ミストラル“BUGATTI W16 MISTRAL”諸元

エンジン :W16気筒エンジン(7993cc)+4ターボ

最大出力 :1600ps

最大トルク:1600Nm(2250-7000RPM)

駆動方式 :4WD

最高速度 :420km/h(*リミッター作動)

 

ブガッティ 東京(BUGATTI TOKYO)

所在地 :〒106-0047 東京都港区南麻布5-10-37

営業時間:10:00-18:00 ※事前予約制

定休日 :なし(夏期休暇・年末年始を除く)

TEL   :03-3447-1909

URL   : http://www.sky-g.org

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。