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2021年5月13日【エネルギー】

JATO、欧州のCO2排出量について最新レポートを公開

NEXT MOBILITY編集部

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JATO Japan Limitedは5月13日、欧州の二酸化炭素排出量についての最新レポートを公開した。

 

なお、レポートでは、ピュアEV(BEV)とプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)と燃料電池車(FCV)を合わせたものを低公害車と定義している。

 


 

<以下、レポート>

 

2020年は、自動車業界にとって予想外の挑戦と大きな変化の年だった。新型コロナウイルスによって多くの困難がもたらされる中、電気自動車の需要が増加し、CO2排出量はこれまで以上に減少した。JATO Dynamicsが欧州21カ国で調査したデータによると、2020年に販売された台数を加味した加重平均のCO2排出量(NEDCモード)は106.7g/kmとなり、2019年に記録された値よりも12%減少した。

 

 

このようなCO2排出量の減少は、WLTPによる燃費規制の施行など政府の規制強化や、電気自動車を支持する消費者の意識の変化に起因すると考えられる。JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「欧州委員会の 排出削減目標を達成するためには、業界はまだ多くのことをする必要があるが、各メーカーは2020年に販売車種や台数を増やすことで大きく前進したことを証明した」と述べている。ピュアEV(BEV)およびプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の販売台数は、昨年は121万台となり、市場全体の10.6%を占めた。これは、市場全体のわずか3.1%であった466,000 台を販売した2019年よりも増加している。

 

 

感染拡大で高まった持続可能性の追求

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、欧州での電気自動車の普及を後押しした。欧州各国は、自動車市場の完全回復に向けて、環境に配慮した持続可能な復興を目指しており、一部の政府は経済刺激策の中で新たな購入奨励策を打ち出している。

 

 

この結果、多くの消費者がコロナ禍で従来の内燃機関(ICE)車から離れ、代わりに低排出ガス車を購入した。ICE車の台数は、2019年の1,470万台から昨年は860万台にまで減少している。このことが、排出量の平均値に直ちに影響を与えたのだ。Munozは「何百万人もの潜在的顧客が家から出られなかった年に、平均排出量が15g/kmも減少したことは注目に値する。これは、私たちのモビリティに対する考え方が根本的に変わり、持続可能な選択肢を求めるようになったことを意味している」と指摘する。

 

欧州各地でロックダウン規制が実施され、多くの政府がゼロエミッション車(ZEV)や低公害車への優遇措置を提供していることから、自動車メーカーは、消費者をEVやPHEV車に誘導するために、提供する商品やマーケティングを変化させてきた。

 

 

 

平均排出量が100g/kmを下回ったのは6カ国

 

国別の平均排出量が100g/kmを下回ったのは、オランダ、デンマーク、ポルトガル、スウェーデン、フランス、フィンランドの6カ国であった。これは、電気自動車の販売台数が多い国のランキングにも反映されており、スウェーデン(32%)とオランダ(25%)が首位で、以下、フィンランド、デンマーク、ポルトガルの順となっている。一方、スロバキア、チェコ、ポーランドでは、二酸化炭素排出量の平均値が最も高く、電気自動車の普及率が低いという逆の傾向が見られた。

 

 

 

SUVが販売をけん引するとともに、平均排出量を最も削減した

 

厳しい経済状況にもかかわらず、昨年はSUVが成長の主な原動力となり、過去に人気のあったハッチバック、セダン、MPV、ワゴンなどの販売台数の減少を緩和した。2020年にSUVの販売台数は乗用車全体の40%を占め、二酸化炭素の平均削減量でも最高の結果となった。

 

JATOのデータによると、SUVの二酸化炭素排出量は2019年から2020年の間に16.2g/km減少しており、これは分析した5つのメガセグメント(普通車、MPV、スポーツカー、SUV、バン)の中で最大の減少となった。これは、PHEVおよびBEVの中型/大型SUVのラインナップが充実してきたことが一因となっている。

 

こうした成果にもかかわらず、SUVが乗用車セグメント(シティカー、サブコンパクト、コンパクトカー、ミッドサイズ、エグゼクティブ、ラグジュアリー)よりも大きな排出量を生み出している状況に変わりはない。平均して、SUVは他の自動車よりも18%多くCO2を排出し、スモールSUVでさえエグゼクティブ(乗用車)よりも平均排出量が多い。Munozは「多くの場合、SUVはハッチバックやセダンよりも重く、燃料消費量が多くなる傾向にある。しかし、SUVは電動化の次のターゲットであり、今後数ヵ月のうちにさらなる進展があることは間違いないだろう」と述べている。

 

 

これまでのところ、電動化の競争は、より伝統的なセグメントに大きく見られる。例えば、テスラ モデル 3、ルノー ゾエ(Zoe)、フォルクスワーゲン ID.3は、欧州で最も売れているピュアEV(BEV)である。SUV市場にはまだ大きな可能性があり、より多くの電動化モデルが導入されれば、需要はさらに加速することが予想される。Munozは「混乱の1年を経て、前向きになれる理由がある。自動車メーカーは、消費者が今求めているもの、つまりゼロエミッション車や、低公害車のSUVに注力することで、販売台数の減少を速やかに相殺することができるだろう」と付け加えた。

 

排出量データは、すべて公開情報源から直接入手したもの、あるいは公開情報源がない場合は比較可能な車両から参照したものである。この情報には、スーパークレジットやフェーズインを考慮せずに、販売台数を加味したNEDC関連の排出量が含まれている。

 

 

<対象国(21カ国)>
オーストリア、ベルギー、クロアチア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、イギリス

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。