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2022年4月6日【SDGs】

川崎重工、液化水素運搬船が内閣総理大臣賞を受賞

NEXT MOBILITY編集部

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川崎重工は4月6日、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が、日刊工業新聞社主催の第51回 日本産業技術大賞において、最高位の内閣総理大臣賞を受賞したと発表した。

 

日本産業技術大賞は1972年に創設された歴史ある賞で、その年に実用化された革新的な大型産業設備や先端技術の開発など、産業界や社会の発展に貢献した製品を表彰するもの。

 

「すいそ ふろんてぃあ」は、次世代エネルギーとして期待される水素を、海外から効率よく安定して日本に輸送する技術の確立を目的に開発された世界初の液化水素運搬船。気体の水素を-253℃に冷やし、体積を800分の1に縮小した液化水素を75トン積載できる約1,250m3の高い断熱性を有するタンクを搭載している。

 

 

 

 

「すいそ ふろんてぃあ」の開発は、2015年のNEDO助成事業「未利用褐炭由来水素 大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」として開始した。2016年には、岩谷産業、シェルジャパン、電源開発と技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構「HySTRA」を結成し、ユーザーからの視点を踏まえた安全性の検討など、開発を本格化した。

 

2017年度からは、本格的な設計・建造に着手し、2019年12月には同社神戸工場で進水式を行い、2021年12月に日本海事協会より船級を取得した。また、同年12月24日から2022年2月25日にかけて、オーストラリアで製造した液化水素を神戸港まで輸送する実証試験を無事に成功させた。

 

同社は、1987年よりJAXA種子島宇宙センターにロケット燃料用の液化水素貯蔵タンクを建設・運用するなど、35年前から水素関連技術を培ってきた。極低温である-253℃の液化水素を安全に輸送するための貨物タンクや荷役を行うための配管システムなどを開発したことにより、次世代エネルギーとして期待される水素の大量海上輸送を実現した。また、世界で初めて液化水素運搬船を製造しただけでなく、船の開発に併せて液化水素を安全に輸送するための国際標準規格づくりにも参画している。

 

このように、海外から水素を安全に輸送できるサプライチェーンを構築し、地球規模の社会課題であるカーボンニュートラルの実現にむけて将来的に大きく貢献する点が高く評価された。

 

 

今後同社は、水素社会の実現に向け、「すいそ ふろんてぃあ」の128倍の16万m3の液化水素を輸送する大型液化水素運搬船を開発し、水素供給コストの低減に取り組む。天然ガスや石油のように、水素が当たり前に使われる未来を実現すべく、「すいそ ふろんてぃあ」の開発で培った技術やノウハウを活かして大型液化水素運搬船の開発に取り組み、さまざまな企業と協力して次世代のエネルギーである水素を「つくる、はこぶ・ためる、つかう」サプライチェーンを構築するとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。