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2022年4月20日【物流】

NEXCO3社、大型車駐車マス拡充の取組みを公開

NEXT MOBILITY編集部

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小樽ジャンクション 小樽方面→余市方面ランプ(完成イメージ)

混雑状況の事例(E1 東名 海老名SA(上り) 時間帯別滞在台数)

 

 

東日本高速道路(以下「NEXCO東日本」)、中日本高速道路(以下「NEXCO中日本」)、西日本高速道路(以下「NEXCO西日本」)は4月20日、高速道路の休憩施設における大型車駐車マス拡充の取組みについて発表した。

 

今回、2021年度の拡充実績および2022年度から2024年度までの3か年の拡充計画と、2022年度までの拡充着手予定を公開している。

 

<駐車マスの拡充数> 
・2021年度は大型車マス※約910台の拡充が完了
・2022年度から2024年度までの3か年で大型車マス※約1,500台の拡充を計画、うち2022年度までに約600台の拡充に着手予定

※兼用マスおよびダブル連結トラックマスを含んだ大型車マス数の合計値

 

 

■駐車マス拡充2021年度の実績と2022年度までの着手予定
2021年度は既存エリア内での小型車マスから大型車マスへの描き換え等により、全国43箇所のSA・PAにおいて、大型車マス約910台の拡充が完了した。
2022年度から2024年度までの3か年は大型車マス約1,500台の拡充を計画しており、うち2022年度までに全国約30箇所のSA・PAにおいて大型車駐車マスの拡充に着手予定。マスの変更だけでなく大規模な土工工事や照明・満空情報板といった既存施設の移設などを伴う工事も含め、約600台の大型車駐車マスの拡充に着手する予定。
また、今後は、休憩施設以外の高速道路事業用地などを活用した大型車マスの増設も検討していく。

 

※1:( )は兼用マスを含んだマス数(兼用マス1台あたり普通車2台分としてカウント)
※2:兼用マスを含んだ大型車マス数(兼用マス1台を大型車1台分としてカウント)
※3:現時点での計画のため、完了時のマス数は変更の可能性があり、2022年度以降に完了するマス数も含まれる

 

 

■駐車エリアの課題
(1)平日の夜間における大型車の混雑
平日の夜間を中心に大型車の駐車マスが不足し混雑している状況が依然として発生している。E1 東名 海老名SA(上り)では、平日の夜間を中心に、8時間以上の長時間駐車が約6割を占めており、1台による駐車マスの占有時間が長くなっている。そのため、多くの車両が利用できず、大型車の駐車マス不足の一つの要因となっている。

 

(2)不適切な駐車マスの利用
大型車マスに普通車が駐車する、または普通車マスに大型車が停車するなどの不適切な利用のために、本来駐車できる車両が駐車できない状況が発生している。
また、兼用マスについても、普通車、大型車のそれぞれの駐車マスが満車になった場合に使用する設計となっているが、そのように利用されていないため、本来の機能が発揮できない事例が見受けられる。

 

(3)予約駐車マスおよび通路などでの不正駐車
近年整備を進めているダブル連結トラック駐車マスに、ダブル連結トラック以外の車両が駐車してしまい、ダブル連結トラックが駐車できないといった事象が発生している。そこで、NEXCO中日本ではE1A 新東名 浜松いなさIC路外のダブル連結トラック専用の予約駐車場に加え、E1 東名 足柄SA(上り)、E1A 新東名 静岡SA(上下)、E1A 新名神 土山SA(上下)にダブル連結トラック専用の予約駐車マスを整備し、2021年4月から順次運用している。これらの予約駐車マスは事前の予約で確実に駐車可能とするものだが、非予約車両の駐車や、通路などへの不正駐車により予約車両が利用になれない事象が発生している。

 

 

 

■2021年度の主な取組み
(1)大型車マスの拡充
【E1 東名 足柄SA(上り)の事例】
E1 東名 足柄SA(上り)では、平日の夜間の時間帯を中心に大型車マス不足が顕在化していた。NEXCO中日本では、既存敷地内で駐車区画の配置の変更と合わせて、大型車と普通車のどちらでも利用できる兼用マスを増設し、大型車駐車可能台数を約1.3倍に増やした。これにより、平日夜間の大型車マス不足は緩和した。

 

駐車マスの増設状況(E1 東名 足柄SA(上り))

平日の大型車時間帯別駐車台数と駐車可能台数(工事前後)

 

 

(2)抜本的な休憩施設レイアウトの変更
【E4 東北道 国見SA(上り・下り)の事例】
E4 東北道 国見SA(上り・下り)では、ガソリンスタンドからの逆走、特に下りの平日夜間の時間帯を中心とした大型車マス不足が顕在化しており、また休憩施設の老朽化も課題となっていた。NEXCO東日本では、SA全体の大規模な更新に合わせエリア内のバリアフリー化、駐車マスの拡充(下りの大型車駐車可能台数を1.7倍に拡充)、および休憩施設レイアウトを抜本的に変更することで、多様な利用者の利便向上を図った。

 

 

(3)V字駐車マスレイアウトの整備
【E2 山陽道 佐波川SA(上り)の事例】
NEXCO西日本では、E2 山陽道 佐波川SA(上り)において、大型車マスの大幅増設のため、後退駐車・前進発車を基本とした、車両がV字配置となるような『V字駐車』を適用し、大型車マスを1.4倍に拡充している。『V字駐車』を適用することにより、駐車車両前方が通路に面するため、枠外(通路)駐車対策となり、また前進発車のため、発車しやすく接触事故の低減を図ることができる。

 

 

(4)普通車と大型車のどちらでもご利用になれる「兼用マス」の整備
限りある駐車エリアを効率的に利用してもらうため、普通車と大型車のどちらでも利用できる「兼用マス」(NEXCO中日本では「兼用マス」は青色ラインで明示)の整備を進めている。

 

 

(5)ダブル連結トラック駐車マスの整備
1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」は、2019年1月に特殊車両通行の許可基準が緩和され、本格運用が開始された。2019年8月に運行区間がE4 東北道からE3 九州道まで拡大されて以降、ダブル連結トラック特殊車両通行の許可台数は増加している。NEXCO3社ではダブル連結トラックの休憩機会確保のため、駐車マスの整備を進めている。

 

 

(6)バス優先(専用)マスについて
一部のSA・PAでは、休憩施設に近い場所に「バス優先」や「バス専用」の駐車マスを設けている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。