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2020年11月11日【テクノロジー】

豊田中研、開発技術3件が米「2020 R&D100アワード」受賞

NEXT MOBILITY編集部

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豊田中央研究所が開発した3件の技術が、米国の「R&D World Magazine」が主催する、世界的研究機関や企業が開発し過去1年に実用化された製品や技術のうち最も優れた100件を選出して表彰する「2020 R&D100 Award」を受賞した。

豊田中央研究所・ロゴ

「2020 R&D100 Award」を受賞した3件の技術は、以下の通り。

 

 

① Liイオン電池監視IC用パワーデバイス(MOSFET/*)

 

– 受賞カテゴリー:IT/Electrical Category

– 受賞タイトル

Deep Sub-Micron Process MOSFETs with Maximum Gate Voltage of 280 V for Li-ion Battery Management IC

 

<技術の概要>

 

少数のICチップで、電池の充放電状態を高精度に管理できるデバイス技術を開発(図1)。層間絶縁膜をゲートに拡張することで、監視ICにおいて世界初となるゲート耐圧280VのMOSFETを実現、サイズ1/3、監視電池セル容量1.2倍のICが可能とした。この技術は、2020年2月発売のトヨタ・ヤリスに搭載された。(デンソーと共同開発)

 

* MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field-effect Transistor

 

図1. 開発したLi電池監視IC用MOSFET

 

 

② HV用RC-IGBT(*)

 

– 受賞カテゴリー:IT/Electrical Category

– 受賞タイトル:Lower Power Loss RC-IGBT for Hybrid Electric Vehicles

 

<技術の概要>

 

ハイブリッド車のPCU小型化を実現するパワーデバイス低損失化技術を開発(図2)。3次元シミュレーションによるチップ構造最適化およびHe照射による欠陥導入を用いて、従来、車載用大容量チップでは困難であったRC-IGBTの低損失化を実現し、デバイスサイズの25%減を達成した。同技術は、2020年2月にトヨタ・ヤリスに採用された。(トヨタ自動車、デンソーと共同開発)

 

* Reverse Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor

 

図2. 開発した RC-IGBT

FWD(Free Wheeling Diode)は、IGBTのON/OFF切り替え時に逆電流をバイパスする役割。IGBTとFWDを一体化したデバイスがRC-IGBT。

 

 

③レーザクラッドバルブシート

 

– 受賞カテゴリー:Mechanical/Materials Category

– 受賞タイトル:Cobalt-free Laser-clad Valve Seat in Fuel-flexible Hybrid Electric Vehicles

 

<技術の概要>

 

量産可能なフレックス燃料対応レーザクラッドバルブシート技術を開発(図3) 。100%エタノールに対しても耐食性・耐摩耗性に優れる合金を設計したことに加え、製造工程での面欠陥計測技術を開発し、世界初の量産化を可能にした。同技術は、2019年9月発売のブラジル向け車両に採用された。(トヨタ自動車と共同開発)

 

図3. 開発したレーザクラッドバルブシート用合金

 

 

■R&D100 Award:https://www.rdworldonline.com/finalists-for-2020-rd-100-awards-are-unveiled/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。