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2024年3月21日【IoT】

ステランティス、統合フリート管理商品で新収益の確保へ

坂上 賢治

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ステランティスN.V.傘下のMobilisights( モビリサイツ )は3月20日( イタリア・トリノ発 )、同社のビジネス向け商品群( LCV )「ステランティス・プロ・ワン(STELLANTIS Pro One / シトロエン、フィアットプロフェッショナル、オペル、プジョー、ボクスホール)」へ最先端のフリート管理データパックサービスを提供。この取り組みを基に商用車事業のDX化を推し進めていくとした。( 坂上 賢治 )

 

このMobilisightsは、ステランティスグループがデータサービス事業に照準を据えるべく立ちあげた新事業部門。この新事業が立ち上げられたのは先の2023年1月5日であり、今日グループ内のコネクテッドカーは約1200万台規模程度だが、来たる2030年を目処に3400万台規模に成長させていく計画を打ち出している。

 

そこでまずは、現行規模上でのネットワーク接続を介したアプリケーション・ライセンスの供与・処理・分析を通じて、Data as a Service ( DaaS )を軌道に乗せていくことを目指す。そして路上を走るコネクテッド カーから数年間に亘って収益を上げられる仕組みを育て上げていく構え。

 

 

提供される具体的サービスは、これらコネクテッドカーの車載センサーから生成されるパラメーターを原資に、顧客が望むアプリケーションやサービスを創造していくというもの。この際、データの量と密度をコントロールすることなどで、他のデータサプライヤーへの依存度を低下させることも狙う。

 

その一例を挙げると当該データを使用して、使用状況に基づいたパーソナライズ保険を提供したり、道路上に於ける障害物を示して危険を検出したり、交通情報を提供したりするもの。それゆえ、これらの製品は民間企業、公共部門、教育研究機関も問わず提供される

 

一方で、運行車両からの収集データを基に新たな商品を生み出す際にはプライバシー問題も引き起こす。従って同社は、顧客の同意を得た上で顧客が同意した匿名データのみを共有することなど、非常に厳格なデータガバナンスとプライバシーポリシーの範囲内で当該事業を慎重に展開するという。

 

ちなみに自動車メーカーが、車両販売、修理、融資以外の収益源を開拓していくこのような取り組みでは、既に他の自動車メーカーも同様の取り組みを始動させている。例えば、ゼネラルモーターズは、2020年にコネクテッドカーサービスのOnStar( オンスター )から収集した膨大なデータ分析から独自の保険サービスの提供を開始した。

 

対してMobilisightsも先例に倣い、シトロエン、フィアットプロフェッショナル、オペル、プジョー、ボクスホールから年間数十億ドルの収益を生み出すための基本的な枠組みを示した。そこから生まれるサービスから企業の成長のみならず、消費者の日常生活を継続的に改善していく「よりスマートな世界」を目指す構えだ。

 

 

こうした取り組みについてMobilisightsのサンジブ・ガテCEOは、「2024年モデルの車両価格に含まれているサブスクリプションモデルを通じて、最大4年間に亘ってデータパックサービスを提供します。

 

お客様は、データの包括的な特性、フリート管理ソフトウェアプロバイダーとの統合の容易さ、手間の掛からないアクティベーションの利便性、フリート管理のための魅力的な独自サービスの価値を提案高く評価頂けるものと自負しています。

 

また今後も引き続き、Stellantis Pro Oneと協力して商用フリートサービスの効率性、安全性、持続可能性、技術的競争上の優位性を高めていき、事業者様向けコネクテッドサービスに係るStellantis Pro Oneの更なる献身を高めていきます」と結んでいる。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。