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2021年2月24日【エレクトロニクス器機】

マイクロン、自動車の安全機能向け低電力メモリを発表

NEXT MOBILITY編集部

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Micron Technology, Inc.(マイクロン)は2月24日(米・アイダホ州時間)、業界初の車載用低電力DDR5 DRA(LPDDR5)メモリのサンプリングを開始したと発表した。このメモリは、最も厳格な自動車安全水準(ASIL)であるASIL Dを満たすためのハードウェア評価実施済みの製品。同ソリューションは、マイクロンのメモリとストレージ製品の新たなポートフォリオの一部であり、これらの製品は国際標準化機構のISO認証26262に基づく自動車機能安全の達成を目指している。

 

 

マイクロンの機能安全評価済みDRAMは、適応型クルーズコントロール、自動緊急ブレーキシステム、車線逸脱警報、死角検知システムなどの先進運転支援システム(ADAS)技術と互換性がある(※システムインテグレーターの評価による)。マイクロンのLPDDR5は高性能かつ電力効率に優れ、レイテンシーが低いため、増加し続ける次世代の車載システムの帯域幅要件に対応するために必要な性能やレンジを提供できるとのことだ。

 

 

マイクロンの組み込み機器事業ユニットのコーポレートバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるクリス・バクスターは次のようにコメントしている。

 

 

「自律型車両は道路の安全性向上を約束しますが、過酷な環境においてリアルタイムでの判断を可能にする強力で信頼性の高いメモリを必要としています。成長を続ける市場のニーズを満たすために、当社は車載用LPDDR5を最適化し、未来の安全なスマートカーに最高の性能、品質、信頼性をもたらします」。

 

 

自動車の電子部品は安全性において不可欠な要素であり、自動車メーカーは、誤作動の発生時にリスクを緩和するメカニズムを備えた高い機能安全標準を満たす必要がある。マイクロンでは、機能安全の重要性が高まっていることを認識し、安全な車載システムを設計するために必要なメモリ要件について、顧客と協同する専門の部署を設立した。顧客が複雑なコンプライアンス義務に円滑に対応できるよう、この部署が先導して安全アプリケーションメモ、および業界初のサプライヤーによるDRAMハードウェア評価レポートと共に、LPDDR5の提供を開始した。加えて、マイクロンのハードウェア評価は、自動車の安全性の専門家として有名なexidaが独自に評価・検証を実施。この厳格な評価を社内に取り入れることで、マイクロンはシステムデザインを簡素化するとともに、自動車業界の顧客向けに市場投入時間の短縮を実現した。

 

 

exidaの最高執行責任者兼プリンシパルセーフティエキスパートであるアレキサンダー・グリーシンク氏は次のように述べている。

 

 

「機能安全は、最先端の車載システムの開発にとって必要不可欠です。しかしこれまで、メモリは民生品の存在を軽視してきました。マイクロンは、ISO 26262に細心の注意を払いながら、業界をリードする自動車用LPDDR5を発表し、メモリ業界に新たな標準を設定しました。このように機能安全への関心が高まったことは、自動車メーカーから先進かつ安全な自動車を必要とする消費者まで、すべての人や企業にメリットをもたらします」。

 

 

◾️マイクロンの低電力メモリ、自動車のイノベーションとより環境に配慮した輸送を促進

 

 

ADASと自律型テクノロジーの採用が急速に進むにつれ、データの取り込みと効率的な処理は、自動車のイノベーションにとって鍵となりつつある。IT分野を中心とした調査会社であるガートナーは、自動車用メモリ市場は2024年には63億ドルに成長し、2020年の24億ドルから2倍以上になると予測している[*1] 。

 

 

データ集約型の車載テクノロジーの増加に伴い、ADAS対応自動車は現在、データセンターの計算能力に匹敵する、1億行を超えるコードを実行し、1秒あたり数百テラものオペレーションを必要としている。LPDDR5はこれらの要件に対応し、データアクセス速度で50%、電力効率性では20%を超える向上を実現(※前世代LPDDR4xとの比較)。LPDDR5の能力を活用し、インテリジェント車両は複数のセンサーと入力を融合させて、意思決定をほぼ瞬時に実行することができる。センサーや入力の例としては、レーダー、ライダー、高解像度画像、5Gネットワーク、光学式画像認識などが挙げられる。

 

 

LPDDR5のエネルギー効率により、車両の高性能コンピューティング利用を実現しながら、電気自動車と従来の自動車の両方で消費電力を最小化することで、二酸化炭素排出量を削減し輸送における環境への配慮が向上する。マイクロンの車載用LPDDR5は、極端な温度範囲をサポートできる高耐久性を誇るとともに、Automotive Electronics Council(車載電子部品評議会)によるAEC-Q100や、International Automotive Task Force(国際自動車タスクフォース)によるIATF16949など、自動車の信頼性規格に適合。

 

 

◾️独自の機能安全評価済みのDRAM、安全なスマートカーの市場投入時間を短縮

 

 

マイクロンのLPDDR5には、機能安全に関する広範な資料が付属しており、顧客がシステム設定中に包括的な安全分析を行えるようサポート。マイクロンが提供するハードウェア評価レポートでは、ISO 26262に極めて厳密に準拠しながら機能安全分析を徹底的に検証している[*2]。 トップレベルの安全要件を満たすため、LPDDR5には、動作中のメモリエラーを検知・管理する安全メカニズムとともに、システムインテグレーターがリスクをさらに削減するために実装できるメカニズムが組み込まれている。

 

 

[*1] Gartner, Semiconductor Forecast Database, Worldwide, 4Q20 Update, Table 2.1, December 2020

[*2] ハードウェア評価レポートはISO 26262第13条要件を満たす。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。