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2019年4月10日【経済・社会】

日産、ピックアップトラック「ナバラ」を南アフリカで生産へ

NEXT MOBILITY編集部

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日産自動車・ロゴ

 

 

日産自動車は4月10日、ピックアップトラック「ナバラ」新型車の生産準備のため、プレトリア・ロスリンにある南アフリカ日産の車両組立工場(ロスリン工場)に30億ランドの投資を行うと発表した。

 

 

 

 

「ナバラ」は、2016年のインターナショナルピックアップ賞をはじめ、発売以来、世界で数々の賞を受賞。2018年の「ナバラ」グローバル販売台数は231,435台(前年同期比6%増)で、日産のピックアップトラックとして最も売れているモデルとなっている。

 

 

 

 

ロスリン工場では現在「NP200」と「NP300」を生産、南アフリカ国内のほか、パンアフリカ地域の45ヵ国に向けて輸出。今後、新型「ナバラ」の生産が加わることにより、日産の小型商用車(LCV)製造拠点としてのロスリン工場の機能が拡大される。

 

なおロスリン工場での新型「ナバラ」生産は、2020年に開始される予定。これにより、工場での直接的な雇用に加え、現地のサプライチェーン全体で約1,200名の新たな雇用を創出。また、現在の年間生産台数35,000台に対し、市場状況次第によっては「ナバラ」生産が年間約30,000台加わると見込まれるため、生産体制を現在の1シフトから2シフトに増やす予定だと云う。

 

 

 

 

今回の発表は、南アフリカ共和国のシリル=ラマポーザ大統領、日産のアフリカ・中近東・インド担当の専務執行役員のペイマン=カーガー氏、南アフリカ日産社長のマイク=ウィットフィールド氏出席のロスリン工場の式典で行われた。

 

 

 

 

ラマポーザ大統領は、この発表に対して以下のように話している。

 

「自動車産業はすでに南アフリカの製造業で最も大きな産業であり、年間GDPの約7.0%と、製造業生産高の3分の1を占めています。日産が『ナバラ』をここで生産することを大変嬉しく思っており、このような重要なモデルを確保した同社の従業員に祝辞を述べたい」。

 

 

 

 

また、日産のカーガー専務執行役員は、以下のように話している。

 

「アフリカは日産の中期計画『日産M.O.V.E. to 2022』の実現に向け重要な市場です。日産はアフリカ・中近東・インド地域におけるプレゼンスを倍増したいと考えています。

 

すでにアフリカでは、エジプト、ナイジェリア、南アフリカで生産工場を有し、現在アルジェリアに工場の開設を計画しているなど、日産はこの地域で存在感を増しています。

 

今日の発表は、世界でも重要なマーケットであるアフリカが継続的に成長していることを改めて示しています。また、南アフリカでは、長期的な投資が可能となる安定した市場環境が政府によって整えられています」。

 

 

 

 

「ナバラ」生産に向けた投資で、ロスリン工場は、フレキシブルな製造ラインや新しい設備を導入。また、作業員の研修や技能向上も実施される。

 

日産は、中小企業のサプライチェーンやスキル開発を支援する現地政府機関である自動車産業開発センター(Automotive Industry Development Centre:AIDC)と協力し、新型「ナバラ」の生産準備を段階的に展開・支援するため、15の黒人所有企業を新たに選定。生産を拡大し、現地調達への支出を増加していくにあたり、これらの企業と提携していくとしている。

 

また現在までに、AIDCと協力して、黒人経済力強化政策(Broad Based Black Economic Empowerment:BBBEE)の新規事業プログラムにより、8つの新たな部品メーカーと関連会社を設立、総予算の16%を黒人所有企業に投じて来ている。

 

なお日産は現在、合計318のBBBEEサプライヤーと取引があり、これは南アフリカにおける日産サプライヤー全体の約34%に相当する。

 

 

 

 

南アフリカ日産ウィットフィールド社長は、以下のように話している。

 

「『ナバラ』は南アフリカに最適のモデルです。南アフリカ政府による自動車生産開発プログラム(Automotive Production and Development Programme:APDP)の大きな支援も受け、その生産を行う体制は整っています。

 

自動車の車両は、すでに南アフリカの総輸出の約14%に上ります。『ナバラ』の生産は小型商用車(LCV)の輸出拠点としてロスリン工場の機能を拡大し、自動車産業にさらに貢献するなど、APDP次期フェースの目指すところに一致しています」。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。