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2021年4月23日【イベント】

トヨタ、世界耐久(WEC)開幕戦に新世代車両で臨む

NEXT MOBILITY編集部

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「ハイパーカー」新世代に向け最新鋭GR010 HYBRIDで開幕戦へ

 

トヨタ自動車傘下のガズーレーシング(TOYOTA GAZOO Racing)は、来る5月1日(土)にベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われるスパ6時間レースで、今季の新レギュレーションに沿った最新鋭マシンで挑戦する。

 

ちなみにこのスパ6時間レースは、2021年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦であると同時に、今年のル・マン24時間レースへと繫がる新耐久レースシリーズのこけら落としとなるもの。

 

 

同選手権シリーズは、かつて1980年代から90年代に活躍したグループCカーの直系後継役と言えるLMP1カーの時代が続いたのだが、これが昨年で終了。今季から同耐久レースのトップカテゴリーは「ル・マン・ハイパーカー」で争われる新時代へと移った。また今季はアウディ、フェラーリ、プジョー、ポルシェなど各国・各自動車チームが参画する新たな舞台で争われる。

 

燃料消費の制限がないGR010 HYBRIDは合計出力680馬力の4輪駆動車

 

トヨタは、この新シーズンに挑むにあたり、新開発したハイパーカー「GR010 HYBRID」を持ち込む。このGR010 HYBRIDは、走行速度が120km/hを超えると前輪に装着された最大272馬力のモータージェネレーターユニットが始動。これに加えて3.5リッターV6ツインターボエンジンに駆動力が組み合わされる事で680馬力を発揮する4輪駆動車として走る。

 

一方、昨年までのTS050 HYBRIDは、今回、最新鋭となった「GR010 HYBRID」より162kgも軽量なボディ重量に、最高出力1000馬力のパワーユニットを備える強力なフィジカルを誇っていた。

 

しかしWEC選手権に於ける最高峰マシンであったTS050 HYBRIDは、競合車とのイコールコンディションを保つため周回毎の燃料使用量を厳しく制限されていた経緯がある。従って実際にレース上で発揮出来る最高速度には結果的に制限が設けられていたのだ。一方で、今回のGR010 HYBRIDは燃料消費の制限がない。

 

 

昨シーズンもWEC世界チャンピオンを勝ち取り、ル・マン24時間レースを3度制覇したトヨタは今年も、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスと共に選手権最高峰のグリッドに並ぶ。

既にトヨタチームは、3つのサーキットで合計数千kmに及ぶ充分なテストプログラムを消化。さらに開幕戦スパ6時間に向けた総仕上げとして4月26日(月)と27日(火)の2日間。ベルギーのサーキット、スパ・フランコルシャンでのプロローグテストに臨むなど実戦デビューへの準備を整えつつある。

 

ステアリングを握るのは昨年の世界チャンピオンとル・マン24時間の覇者

 

そんなGR010 HYBRID 7号車のステアリングを握るドライバーは、昨年ワールドチャンピオンに輝いた小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名。さらに昨年、ル・マン24時間の覇者となった中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーの3名がGR010 HYBRID 8号車を駆る。

 

 

現段階で残された課題は、サーキットコース上でのチームクルーの総人数が43人に制限されるという新たなレギュレーションがある。現在チームはこれを踏まえ、組織の柔軟かつ大幅な再編成が求められる事になるだろう。

 

開幕のスパ6時間レース参加にあたって今後のスケジュールは4月26日(月)・27日(火)のトータル12時間にわたるプロローグテストを消化。その後に29日(木)に予定されている練習走行でレースイベントがいよいよ始まる。

 

そして30日(金)は2度の練習走行と予選が行われる忙しい一日となる。なお今季より予選は1台の車両につき1人が1周のみアタックする新たなフォーマットで実施され、翌5月1日(土)に行われる決勝レースのスターティンググリッドが決定されるという流れだ。なお以下はチームに参加するドライバー・クルーの参戦前のコメントとなる。

 

 

村田久武(TOYOTA GAZOO Racing WEC チーム代表)

 ハイパーカーによる耐久レースのエキサイティングな新時代が始まりました。ル・マンでは多くのトップチームと競い合うことになります。ファンの皆様はそれを心待ちにしていると思いますし、我々も同じ気持ちです。

 

TOYOTA GAZOO Racingが、この新時代のスターティンググリッドに立てることを誇りに思います。我々のWECプロジェクトの第一段階を締めくくったTS050 HYBRIDでは、レーシングハイブリッド技術の向上に徹底的に取り組み、お客様のための「もっといいクルマづくり」に繋げてきました。

 

ここからは第二段階に入り、将来、もっとエキサイティングなスポーツカーをお客様にお届けできるよう、レーシングハイブリッド技術の限界をさらに押し上げ、再び「ワンチーム」で戦っていきます。GR010 HYBRIDを通して、人を鍛え、技術、プロセスをさらに強化していきます。絶対に負けられないという気持ちで我々をプッシュしてくる競合チームを相手に、決して簡単なシーズンにはならないとは思いますが、私たちは決して諦めません。

 

パスカル・バセロン(テクニカル・ディレクター)
 スパ開幕戦は、GR010 HYBRIDがシーズン前テストを終え、生まれたばかりの我々のハイバーカーが新たな段階のスタートを切るということを意味します。我々は2020年10月にポール・リカールでGR010 HYBRIDを初めて走らせて以来、集中的なテストプログラムをこなし、クルマのキャラクターと新たなミシュランタイヤについて着実に学んできました。

 

TS050 HYBRIDと比較すると、車重やパフォーマンスのパラメータに大きな違いがあり、新たに必要となるシステムも全く異なるため、エンジニア、ドライバーの双方ともに短期間で多くのことを学ぶ必要がありました。テストにおいてはよくあることですが、時には順調にいかないこともありました。

 

アラゴンでは3日間のテストデーが予定されていましたが、激しい雪と、悪天候などに妨げられ、予定通りに完了できませんでした。幸運にもシーズンの開幕が遅れたことで、スパの前に更なるテストを行うチャンスができたので、最終的には目標としていた走行距離をこなすことができ、デビュー戦の前に、狙い通りの全てのテスト項目を完了できました。

 

小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
 今の難しい世界状況の中で、またレースができることをとても嬉しく思います。決して理想的な環境ではありませんでしたが、チームは素晴らしい仕事でGR010 HYBRIDの改良を進め、デビュー戦への準備を整えてくれました。また我々はテストの中でクルマについて多くを学びました。

 

新型車両投入時にはよくあることですが、予想外の驚きもあるかも知れません。これから実際のレースを戦い、コース上のトラフィックや、ハイパーカークラスの強力なライバルとの中で新型GR010 HYBRIDがどれだけ戦えるのか、その挑戦を楽しみにしています。

 

マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
 新しいシーズン、そして新たなハイパーカーの時代が始まることにワクワクしています。最高のチームメイトである可夢偉とホセ、そして素晴らしいチームに恵まれ、タイトル防衛という目標に向けて準備は万端です。

 

GR010 HYBRIDでは既に多くのテストをこなしてきていますが、最高の性能を引き出すためにはさらにやるべきことがあり、改良を続けていかなくてはなりません。スパはそのためにも重要なステップであり、レースがとても楽しみです。

 

ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
 マイク、可夢偉と共にワールドチャンピオンを獲得した昨シーズン最終戦のバーレーンからずいぶん長い時間が経ったように感じます。もちろんその時も最高の気分でしたが、再びレースを戦い、タイトル防衛、そして今度こそル・マンで勝つために戦う時がきました。

 

このような困難な状況下にもかかわらず、チームはハードワークでこのスパに向けてGR010 HYBRIDの準備をしてくれました。全く新しい車両を開発するという挑戦は常に素晴らしい体験ですが、まだその途上です。我々はスパで力強いパフォーマンスを示し、さらに改良していくため努力を続けます。

 

中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
 GR010 HYBRIDでの初めてのレースへ向け、スパに向かうのが楽しみです。この冬はなかなか大変でした。特に僕個人は、幾つかのテストを日本でのレース活動のために休む必要があり、そしてようやく参加できたアラゴンのテストは雪で走れませんでした。

 

このような状況で、全てが順調ではありませんでしたが、チームは懸命な作業でハイパーカー時代の開幕戦へ向け、GR010 HYBRIDを準備してくれました。チームの誰もがこの新たな挑戦を楽しみにしており、もちろん簡単ではないでしょうが、成功すると信じています。

 

セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)
 長い冬季オフシーズンの準備期間を経て、ついにスパでのプロローグとデビュー戦を迎えられるのはとても嬉しいです。新型のGR010 HYBRIDとハイパーカーによる耐久レース新世代を、ファンの皆様もとても楽しみにしていると思います。

 

今年初めから複数回のテストをこなしてきましたが、最初はクルマについて知る事から始め、ル・マンへ向けたセットアップの調整ができるまでに到りました。デビュー戦への準備は万全で、一刻も早くハイパーカーカテゴリーでライバルと戦いたいです。

 

ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
 新たなハイパーカー時代の最初のレースに向けての広範囲で大規模なテストプログラムを終え、充分な準備ができたと感じています。我々チームだけでなく、ファンの皆様の間でも、どんなレースになるのか、どれだけ接近したレースになるのかといった期待が高まっていることでしょう。誰もが素晴らしいサーキットであるスパでハイパーカーによる最初のレースを戦うことを楽しみにしています。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。