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2017年12月14日【オピニオン】

トヨタ自動車とパナソニック、車載用角形電池で協業へ

坂上 賢治

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トヨタ自動車 豊田社長スピーチ
皆さま、こんにちは。豊田でございます。
本日はお忙しい中、また急なご案内にもかかわらず、共同記者会見にご出席をたまわり、誠にありがとうございます。

本日、トヨタ自動車株式会社とパナソニック株式会社は、車載用角形電池について協業の可能性を検討することに関する合意書を締結いたしました。

 

現在、私どもが直面しております温暖化や大気汚染、資源・エネルギー問題といった地球規模での課題を解決していくためには、電動車をより一層、普及させることが必要となってまいります。

そのためにも、電動車の重要な基幹部品である車載用電池について、性能・価格・安全性などの面での更なる進化と安定供給能力の確保が喫緊の課題と言えます。

 

 

こうした認識のもと、両社は、車載用角形リチウム、全固体など次世代電池の取り組みに加え、その電池の資源調達やリユース・リサイクルなども含めて、幅広く、具体的な協業の内容を検討してまいります。

 

 

ここからは、今回の提携に込めた私の想いについて、少しお話をさせていただきます。

トヨタと電池との関わりは古く、1925年にまでさかのぼります。
トヨタグループの創始者である豊田佐吉は、当時のお金で100万円の懸賞金をかけて、蓄電池の開発を奨励いたしました。

その翌年の1926年に設立された豊田自動織機製作所の資本金が100万円でしたから、当時としては大変な金額になります。

開発を奨励した蓄電池は、「100馬力で36時間運転を持続することができ、かつ重さは225キロ、容積は280リットルを超えず、工業的に実施できる」というものでした。

 

これが「佐吉電池」といわれるものですが、未だにここまでの性能を持つ電池は開発できておりません。

佐吉は、今日のような「電動化時代の到来」をすでに予感していたのかもしれません。

当時から90年以上が経過した2013年、私は静岡県湖西市にある佐吉記念館で、ある方をお迎えすることになります。
いま、私の隣におられる津賀社長です。

 

社長に就任された1年後に、私どもの原点とも言える佐吉記念館をご訪問いただきました。
いろいろなお話をしながら、館内をご案内させていただいたのですが、津賀社長の表情、姿勢、言葉の端々から「創業への想い」と「お国への想い」、そして、「会社を継承する者」としての覚悟がひしひしと伝わってまいりました。

 

その時から4年の月日が流れ、本日、皆さまの前で、車載用電池の開発というテーマでの協業を、発表させていただく運びとなったわけです。

 

私には、「津賀社長と、佐吉記念館で出会ったときからこうなることは必然であったのではないか」という気がしてなりません。

いま、自動車業界は「100年に一度」と言われる「大変革の時代」に直面しております。
もはや、これまでの延長線上に未来はない。
自分たちの知恵と技術によって、未来を創造しなければならない時代に入ったと認識しております。

 

未来を創造するために必要なものは、「世の中をもっとよくしたい」というベンチャー精神と「もっといいやり方がある、もっといい技術がある」というベターベターの精神だと思うのです。

パナソニックさんには、長年にわたって積み重ねてこられた車載用電池の業界ナンバーワンの開発力があります。
そして、トヨタには、ハイブリッドカーの開発でつちかった電動化技術に加えて、「クルマへの愛」、「クルマを絶対にコモディティにはしないという決意」があります。

 

さらに申し上げますと、両社には、松下幸之助翁、豊田佐吉、豊田喜一郎という日本の国の発展に人生を捧げた偉大なる発明家、起業家から継承してきた「ベンチャー精神」があります。

 

本日、私が皆さまにお伝えしたかったことは、両社の提携は、「今よりも、もっと豊かで、もっと楽しいモビリティ社会」を実現するための提携であり、「日本で生まれ育った両社が電動化の時代をリードしていく」という想いを形にしたものだということです。

皆さまのあたたかいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

以上

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。