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2022年1月28日【SDGs】

アウディ、エネルギー貯蔵施設で使用済みEVバッテリー活用

NEXT MOBILITY編集部

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アウディ ジャパンは1月28日、アウディとRWEが新しいタイプのエネルギー貯蔵システムを建設したことを、ドイツ本国発表資料として発表した。

 

アウディによると、RWEは、アウディの電気自動車から回収した使用済みリチウムイオンバッテリーを使用するエネルギー貯蔵施設をドイツのヘルデッケに建設し、稼働を開始した。60のバッテリーシステムを使用するこの新しいエネルギー貯蔵施設は、ヘンクシュタイ湖に面するRWEの揚水発電施設の敷地内にあり、4.5MWhの電力を一時的に蓄えておくことができる。

 

このプロジェクトで使われたバッテリーは、Audi e-tronの開発車両から回収された使用済みバッテリーであり、電気自動車としての用途が終了した後も80%以上の残存容量を持っているという。「セカンドライフバッテリー」は、据え付け型の蓄電システムとして活用することができ、使用状態にもよるが、これらのバッテリーの耐用年数は最大で10年に達するとしている。

 

さらに、これらのバッテリーは、新品と比較して安価であることも特徴としている。再利用によりバッテリーの寿命を延長することで、製造時に排出されたCO2が、これら2つの用途(自動車に搭載される期間と電力貯蔵のため使用される期間)にわたって持続的に分散される。

 

 

AUDI AG技術開発担当取締役 オリバー ホフマンは、次のように述べている。

 

「カーボンニュートラルなモビリティは、アウディが掲げる究極の目標です。私たちはこの野心的な目標を達成するために、全力で取り組んでいます。2025年までに20を超える電気自動車を発表するという計画は、その方針に向けた重要なステップです。しかし、私たちの目標は自動車本体に関することだけに留まりません。エネルギー産業界のパートナー各社とのコラボレーションを通して、持続可能なモビリティの開発も進めています。RWEとの提携は、高電圧バッテリーを再利用して、未来の電力網へインテリジェントに組み込むことにより、限りある資源を有効活用する可能性を示すものです。私たちはさらに、再利用が終わった段階も想定に入れ、使用済みバッテリーの効果的なリサイクルを行うための方法も開発しています」

 

RWEは、ヘルデッケにある揚水発電施設の敷地内に、軽量な設計を特徴とする160m2のホールを建設し、ひとつ約700kg、合計60のバッテリーモジュールを格納しています。ホール内のバッテリーシステムの設置は10月に完了しました。11月には必要なコンポーネントが取り付けられ、稼働を開始しました。

 

RWEは、この使用済みバッテリーを活用するバッテリーストレージの販売を、2022年初頭に開始したいと考えています。当初の使用目的は、送電の安定化を図るために電力網をサポートすることです。同社は、今後も他の利用方法を柔軟にテストしていきたいと考えています。

 

 

RWE Generation SE最高経営責任者(CEO)ロジャー ミーゼンは、次のように述べている。

 

「強力なバッテリーストレージシステムは、エネルギー革命において重要な役割を果たします。再生可能なエネルギーの短期的な変動を補い、電力網を安定させるためには、柔軟な蓄電テクノロジーが求められます。そのためには、バッテリーを使った蓄電システムを使用することが理想的です。私たちRWEはアウディと協力して、かつて電気自動車に搭載されていた高電圧バッテリーを接続し、据え置き型のエネルギー貯蔵装置として、どのように使用できるのかをテストしています。再利用されたバッテリーは、新品と比べて持続可能な代替手段となります。このプロジェクトから得られた経験は、このようなバッテリーシステムを、もっとも費用対効果の高い方法で運用するための方法を模索することに役立ちます」

 

アウディとRWEによるこの試験的エネルギー貯蔵システムにより得られた知見は、RWEが将来的にEVバッテリーを活用した大規模な施設を建設したり運営したりする際に役立ちます。これらの施設では、2つのモジュールを直列に接続する革新的なテクノロジーを使用することにより作動電圧を高め、コストを削減しています。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。