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2021年10月7日【経済・社会】

8月の欧州自動車市場、EVが初めてディーゼル車を上回る

NEXT MOBILITY編集部

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JATO Japan Limitedは10月7日、2021年8月欧州新車販売台数速報を発表した。

 

JATO Dynamicsが調査した欧州26カ国のデータによると、2021年8月の新車販売台数は再び減速し、前年同月比18%減の71万3,714台となった。これは、8月期として2014年以来の低水準であったが、当月の減少は、2021年の第2四半期に記録された成長を相殺する程ではなかった。年初来累計台数は昨年同期の719万2,839台を上回り、809万5,419台となっている。

 

 

・8月の欧州市場の販売台数は18%減少し、2ヶ月連続で2桁の減少が続く
・BEVおよびPHEVは8月として過去最高のマーケットシェアに
・ダチア サンデロ(Dacia Sandero)が再び欧州で最も多く販売された車となった

 

 

 

 

JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「今回の半導体不足は、新型コロナウイルスの影響に悩む自動車メーカーにとって大きな痛手となっている。新車の生産問題や納車の遅れは販売に悪影響を及ぼし、ディーラーでの供給不足により、多くの消費者は中古車を探すか、単に購入を延期せざるを得なくなってしまった。通常であれば、消費者はフェラーリの新車なら何ヶ月も待つことを妥当と考えるかもしれないが、今は普通のモデルでも同じように遅れている」と話している。

 

EVが唯一の成長のけん引役であることに変わりはない

 

こうした困難にもかかわらず、ピュアEV(BEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の販売台数は伸び続けている。当月、需要が急激に高まったことで、月次マーケットシェアは21%と過去2番目に高い数値を記録した。当月販売された15万1,737台は、前年同月比で61%増となり、1月からの累計台数は132万台となった。

 

Munozは「需要の増加にはお得なキャンペーンやインセンティブが大きく貢献しているが、より魅力的なモデルが市場に投入され、消費者がEVのメリットを認識するようになったことで、購買習慣が根本的に変化している」と述べている。

 

 

 

 

当月、低公害車の販売台数がディーゼル車を上回った。2020年の同時期には、低公害車はディーゼル車を15万8,300台下回っていたが、当月は低公害車がディーゼル車を1万100台上回っている。

 

特に、フィアット 500、プジョー 208、ヒュンダイ コナ(Hyundai Kona)、オペル/ボクスホール コルサ(Opel/Vauxhall Corsa)、キア ニロ(Kia Niro)の電気自動車への需要が高く、また、欧州で最も売れた電気自動車であるフォルクスワーゲン ID.3の結果も優れていた。

 

 

 

 

ダチア サンデロが再び首位に

 

ダチア サンデロ(Dacia Sandero)は、欧州で最も多く販売されている車としての地位を守った。在庫の問題があるにもかかわらず、3代目となるこのモデルはダチア社にとって真の成功を収めている。1年を通して導入されたキャンペーンも手伝い、1月から8月の年初来累計では欧州で5番目に売れた車となった。

 

フォルクスワーゲン ゴルフは前年比38%減となったが、年初来累計では依然として首位を維持している。また、ダチア ダスター(Dacia Duster)は4%増の4位となりトップ5に入った。そのほか注目すべきモデルは、EVモデルが後押ししたフィアット500、ヒュンダイ ツーソン(Hyundai Tucson)、プレミアムランキングで首位となったBMW 3シリーズなどがある。

 

 

 

 

BEVランキングでは、8月に発売されたばかりの待望のテスラ モデルYがトップ10入りを果たした。また、フォード マスタング マッハE(Mach-E)もトップ10入りしている。

 

全体のランキングでは、フォルクスワーゲン ID.3が15位となり、オペル/ボクスホール モッカ(Opel/Vauxhall Mokka)が4,900台、フォルクスワーゲン ID.4は4,600台であった。シトロエン C4が4,600台、クプラ フォーメンター(Cupra Formentor)が再び4,300台以上と好調で、ルノー アルカナ(Arkana)が4,341台と続いている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。