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2023年10月17日【テクノロジー】

ホンダ、11名乗りビジネスジェット「エシュロン」をリリース

NEXT MOBILITY編集部

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ホンダ+ホンダジェット・ロゴ

本田技研工業(ホンダ)の航空機事業子会社であるホンダエアクラフトカンパニー(Honda Aircraft Company/以下、HACI)は10月17日(本社のある米国ノースカロライナ州現地時間:16日)、世界最大のビジネス航空機ショー“2023 ビジネス・アビエーション・コンベンション・アンド・エキシビション(2023 NBAA-BACE/※1)”に於いて、新型小型ビジネスジェット機の名称を「HondaJet Echelon(ホンダジェット・エシュロン)」としたことを発表した。

 

NBAA-BACEの会場には、「ホンダジェット・エシュロン」のモックアップモデルと販売中の「ホンダジェット・エリートⅡ(HondaJet EliteⅡ)」の2モデルが初めて揃って展示。エシュロンは、今年6月に製品化と主要サプライヤーとの契約締結が発表(6月13日)。2028年の型式証明取得に向け、2026年の初飛行を目指し、今後も開発が進められるとのこと。

 

「エシュロン(Echelon)」の名前は、航空機の高効率な空力性能を実現する飛行パターンとして、燃費や二酸化炭素排出量削減などに効果があると言われる“梯形編隊飛行”のほか、フランス語で梯子の“段”の意味もあり、現在ではプレミアムカテゴリーを指す言葉としても使われていることから、ホンダジェットブランドの最上級モデルという意味合いが込められていると云う。

 

飛行イメージ。 飛行イメージ。

 

発表に際して、同社の山﨑社長は、「ホンダジェット・エシュロンは、従来の小型ビジネスジェット機での移動の常識を覆し、航空業界に新たな価値を創造します。これまでに培ってきたホンダ独自の先進技術のノウハウを生かし、時間や移動距離といった制約から人を解放し、持続可能な社会の実現と人々の生活の可能性を拡げる喜びを提供していきます。ホンダの夢見る“空のモビリティ”の実現に向けて一歩前進し、次なるステージへと進みます」とコメントしている。

 

なお、今回の出展にあたり、HACIは、NBAA-BACEをより環境に配慮したイベントとすることを目指す、「2023 NBAA-BACE Sustainability Pledge(サステナビリティ誓約書)」に参加。出展ブースでの廃棄物や使用エネルギーの削減などに努めることに加え、ショーの会場まで機体をフライト輸送する際に、“SAFc(Sustainable Aviation Fuel Book and Claim)プログラム”を活用してSAFを導入するなど、航空業界のカーボンニュートラルへの取り組みも進めていると云う。

 

※1:10月17~19日まで米国ネバダ州ラスベガスで開催。

[エシュロンについて]

 

1.主な特徴

・HACI独自の技術である主翼上面エンジン配置や自然層流翼型・ノーズ、コンポジット胴体がさらに進化し、乗員・乗客合わせて最大11名が搭乗可能。

・競合のライトジェット機(※2)と比較して20%、上位カテゴリーの中型ジェット機(※3)に対して40%(※4)以上も燃費向上。ライトジェット機として世界で初めてノンストップでアメリカ大陸横断を可能としている。

・客室は、長距離飛行にも適した広いキャビン空間と優れた静粛性を実現。

・以上、あらゆる面に於いて、移動効率を向上、より上位の機体カテゴリーと同等レベルの飛行体験を提供する。

 

<仕様>
– エンジン:Williams FJ44-4C
– アビオニクス:Garmin G3000
– 最大定員:乗員1名+乗客10名(または乗員2名+乗客9名)
– 航続距離(NBAA IFR Range, 1乗員+4乗客/*):2,625ノーティカルマイル
– 最大巡航速度(*):450ノット
– 最大運用高度(*):47,000フィート

*目標性能。

 

※2:最大離陸重量が12,500ポンド以上、20,000ポンド以下の双発エンジンを搭載した機体。HondaJet Elite II(ベリーライトジェット)の一つ上のカテゴリー。
※3:最大離陸重量が20,000ポンド以上、35,000ポンド以下の双発エンジンを搭載した機体。
※4:アメリカ大陸横断(ニューヨーク ― ロサンゼルス間)の飛行距離で比較した場合。

 

2.製品化に向けた計画

・2021年10月12日:“2021 NBAA-BACE”にて「HondaJet 2600 Concept」を参考展示。
・2023年6月13日:製品化を決定。
・同年10月16日:“2023 NBAA-BACE”にて名称「HondaJet Echelon」を発表。
・2024年半ば(予定):初号機製造を開始。
・2026年(予定):初テスト飛行。
・2028年(予定):型式証明取得。

*日付は米国現地時間表記。

 

 

[HACI概要]

– 会社名:Honda Aircraft Company,LLC(ホンダ エアクラフト カンパニー)
– 設立:2006年8月
– 出資形態:American Honda Motor Co., Inc. 100%出資
– 代表者:取締役社長 山﨑 英人
– 所在地:米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。