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2021年6月1日【中古車】

中古車市場規模は縮小、低価格の軽が人気。カーセンサー調べ

NEXT MOBILITY編集部

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リクルートが企画制作する中古車情報メディア『カーセンサー』は6月1日 、全国(沖縄県を除く)で実施した「カーセンサー中古車購入実態調査2020」の調査結果を発表した。

 

 

同調査は、中古車の購入実態について詳細に把握するために、過去1年間に中古車の購入を検討した人に対して行ったもの。

 

 

その結果から以下のようなトピックスが挙げられた。

 

 

<調査トピックス>

 

◾️2020年中古車市場規模は調査以来初めて縮小

 

 

・中古車購入の費用総額は、3兆4365億円と推計。2015年の調査以降拡大傾向にあったが、2020年は前年より3133億円減少した。
・1年間の中古車購入率は、3.1%で昨年より0.1ポイント減少した。
・中古車購入単価は、135.5万円で前年より8.1万円減少した。
・中古車購入台数は、253.6万台で前年より7.5万台減少した。

 

 

中古車の購入台数、市場規模<推計値>

 

 

 

 

◾️中古車購入単価は、100万円未満の人気が高まる

 

 

・中古車の1台あたり支払総額は、「50~100万円未満」が24.7%で最も高く、前年より2.8ポイント上昇。
・200万円~400万円未満の各支払総額は減少したものの、「400万円以上」は0.1ポイント上昇し前年並み水準を維持。
・コロナ前後では、「20~40万円未満」、「40~60万円未満」が上昇し、「120~140万円未満」、「140~160万円未満」が減少したが、200万円以上では大きな変動は見られない。

 

 

中古車の支払総額<二次調査>【1年以内に中古車を購入した人のうち、金額回答者のみ/単一回答】

 

 

 

 

中古車の支払総額<二次調査> (コロナ前後) 【1年以内に中古車を購入した人のうち、金額回答者のみ/単一回答】

 

 

 

 

◾️日常使いの「通勤・通学用」、「家族の送迎用」が増加

 

 

・「通勤・通学用」が前年より2.6ポイント上昇し41.1%に。2015年の調査以来初めて40%を超えた。
・コロナ後では、「レジャー用」(6.0ポイント減)が落ち込み、「通勤・通学用」(3.1ポイント増)、「運転を楽しむため」(1.7ポイント増)、「家族の送迎用」(1.2ポイント増)などが高まった。

 

 

クルマの主な購入目的<二次調査>  【1年以内に中古車を購入した人/単一回答】

 

 

 

 

◾️検討から購入までスピーディーに。軽自動車の人気高まる

 

 

・中古車購入までの検討期間の平均日数(40.4日間)は、前年より10.9日間短縮し、2015年の調査開始以来最も短い日数に。
・購入したボディタイプは「軽自動車」(40.2%)が最も多く、前年より3.3ポイント増加。

 

 

◾️おでかけを楽しむより「パーソナルスペース」として進化

 

 

・「旅行やアウトドアなど、レジャーに出かけた」、 「家族や友人、恋人などを乗せてドライブを楽しんだ」、「長距離のドライブを楽しんだ」、「出かける範囲を広げた・広がった」で前年より減少幅が大きい。

・コロナ後では、「旅行やアウトドアなど、レジャーに出かけた」(7.2ポイント減)、「長距離のドライブを楽しんだ」(3.7ポイント減)、「車中泊をした」(2.8ポイント減)、「趣味の活動に使うようになった」(2.7ポイント減)などが減少。
・一方で、「ゴミ箱や携帯電話ホルダーなどの備品をそろえた」(3.9ポイント増)、「カスタマイズやオプション、装飾品等を追加した」(1.1ポイント増)などがコロナ前よりも増加。

 

 

中古車購入後のクルマの利用方法や楽しみ方<二次調査> 【1年以内に中古車を購入した人/複数回答】

 

 

なお、同調査では、2019年8~12月を「コロナ前」、2020年1~9月を「コロナ後」として集計して比較している。

 

 

また、今回の結果について、『カーセンサー』編集長/『CarsensorEDGE』編集長/リクルート自動車総研所長の西村 泰宏氏は以下のように解説している。

 

 

■2020年の中古車市場規模は縮小

 

 

「今回の調査は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生前後が期間に含まれたため、総じて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を大きく受けた結果となりました。調査開始の2015年以降、右肩上がりだった中古車市場規模(推計)は初めて減少。主因として、これまで上昇し続けていた中古車購入平均単価が減少したことが考えられます。近年、新車検討層が中古車購入にスライドしてくることで200~400万円未満の価格帯が増加する傾向にありましたが、コロナ禍では100万円未満で購入した層が増えました。背景にあるのは、日常の安全な移動手段としてクルマを求める方が、100万円未満の比較的安価なクルマをすぐ手に入れるために購入したことにあると考えられます。検討期間が前年調査に比べて10.9日間短縮されたことがこの傾向を顕著に示しています。
一方、1年間の中古車購入率は前年調査から0.1ポイント減にすぎないことから中古車ニーズはほとんど変化していないようです。近年増えている「趣味としての中古車選び」というトレンドはむしろ加速しており、400万円以上の高価格帯のクルマ人気はコロナ禍でも健在、「運転を楽しむため」という購入理由もコロナ前後で1.7ポイント上昇したことは注目に値します」

 

 

■コロナ禍のクルマ選びは「すぐ手に入る」、「運転しやすい」がポイントに

 

 

「市場規模全体では縮小傾向に見えますが、コロナ禍で消費者の中古車購入マインドは落ち込むことはなく、むしろ「密」や人との接触を避けるためにクルマでの移動ニーズが高まったと言えるでしょう。1年以内に中古車を購入した人および購入を検討した人の購入目的を聞いたところ、「通勤・通学用」が前年より2.6ポイント増加しました。購入したボディタイプだと「軽自動車」が3.3ポイント増加し、コロナ禍では工場稼働や部品調達など新車の製造現場にも大きな変化があったため、リーズナブルですぐに手に入る中古軽自動車が選ばれたと考えます」

 

 

■カスタマイズやドライブなどクルマそのものが楽しみに

 

 

「コロナ禍により、クルマを利用して旅行やレジャーを楽しむことは制限されたものの、「ゴミ箱や携帯電話ホルダーなどの備品をそろえた」(3.9ポイント増)、「カスタマイズやオプション、装飾品等を追加した」(1.1ポイント増)などクルマを自分らしくカスタマイズする人が増加しています。また、先にも述べたように「運転を楽しむため」という購入理由もコロナ後では1.7ポイント増えており、移動手段以上にクルマそのものが楽しむ対象としてマインドシェアが上がっているのも特徴です」

 

 

<調査概要 (中古車購入実態調査2020)>

 

 

■ 調査目的 中古車購入者/検討者の意識や行動の把握
■ 調査方法 インターネットによる調査
■ 調査期間 一次調査:2020年8月24日(月)~2020年9月11日(金)
二次調査:2020年9月2日(水)~2020年9月13日(日)
■ 調査対象 一次調査:全国18歳~69歳の男女 ※沖縄県を除く(株式会社マクロミルの登録モニター)
二次調査:一次調査において「直近1年以内に中古車を購入した人」および「直近1年以内に中古車の購入を検討した人」
■ 回収数 一次調査:200,019件
※平成27年国勢調査に基づき、全国を性別2区分✕年代別5区分(20歳代(18~19歳含む)/30歳代/40歳代/50歳代/60歳代)✕エリア10区分✕都市部(東京都特別区+政令指定都市20都市)/地方部(それ以外)2区分に割り付けて回収した。
■ 全国10エリア

 

 

 

二次調査:4,239件
※一次調査の回答者の中から、一次調査の割り付けに加えて1年以内に中古車を購入した人・1年以内に中古車購入を検討した人で割り付けて回収した。

■ 調査実施機関 株式会社マクロミル
■ 集計方法
[一次調査]
平成27年国勢調査の結果に基づき、性別2区分×年代別4区分(20歳代(18~19歳含む)/30歳代/40歳代/50~60歳代)×エリア10区分×都市部/地方部2区分別の構成比に合わせて、サンプル数を補正したウエイトバック集計を行っている。(60歳代は調査回収難度が高く、集計に十分なサンプルを確保できない区分が発生したため、50歳代と合わせて区分してウエイトバック集計を行っている)
[二次調査]
一次調査の区分に加え、一次調査で判明した「1年以内に中古車を購入した人/1年以内に中古車購入を検討した人」の2区分を加えた区分別の構成比に合わせて、サンプル数を補正したウエイトバック集計を行っている。
[コロナ前後の定義]
2019年8~12月を「コロナ前」、2020年1~9月を「コロナ後」として集計
※日本で初めて感染が確認されたのが1月であったため、1月以降を「コロナ後」と定義

 

出典:「中古車購入実態調査2020」リクルート調べ

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。