NEXT MOBILITY

MENU

2021年6月30日【経済・社会】

ナビタイム、コロナ禍での屋外観光スポットの移動実態を分析

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

ナビタイムジャパンは6月30日、徒歩データ等を用いたコロナ禍における屋外観光スポットの移動実態分析を発表した。

 

ナビタイムジャパンでは、同社が提供するナビゲーションサービスから同意を得て取得した経路検索条件データをもとに、コロナ禍における経路検索数や目的地検索の変化を分析している。

 

「ゴールデンウィーク期間中のスポット検索ランキング(自動車)」では、2020年ゴールデンウィーク期間のランキングで、20位中13件が「生活雑貨/日用品」に関する大型商業施設であった。一方、2021年ゴールデンウィーク期間は、自動車でアクセスしやすい「国営ひたち海浜公園」「あしかがフラワーパーク」「マザー牧場」など、季節的にも人気な屋外観光スポットが多く検索されていた。

 

この分析では、屋外観光スポットで検索数が最も多かった「国営ひたち海浜公園」を対象とし、コロナ禍における検索数の推移や、公園を含む周辺エリアの位置情報の測位状況などを可視化することで、検索数変化と実利用の関連性を明らかにしている。

 

 

 

①経路検索条件データによる「国営ひたち海浜公園」の検索数推移
ナビタイムジャパンが提供する移動手段別ナビゲーションサービスの経路検索条件データをもとに、2019年1月~2021年5月までに「国営ひたち海浜公園」を目的地に設定した検索数推移を可視化した。

 

・新型コロナウイルス感染拡大前(2019年)の検索数は4月・8月・10月が増加傾向
・コロナ禍の2020年10月・2021年4月の検索数は回復傾向

 

図2は2019年1月~2021年5月までに「国営ひたち海浜公園」を目的地に設定した検索数の推移。結果を見ると、新型コロナウイルス感染拡大前(2019年まで)は、4月はネモフィラ、10月はコキアなどが開花の時期を迎え見ごろになり、8月は大規模イベントが開催されたことなどから、4月・8月・10月の検索数が増加傾向であると考えられる。

 

一方、2020年1月以降の検索数を見ると、4月・8月の検索数が前年と比較し大きく減少しており、2019年の同月比で見ると4月は約93%、8月は約71%減少していることがわかる。主な減少理由として、4月4日~5月31日までの休園や、8月のイベント中止などが考えられる。その後、2020年10月の検索数は2019年10月と比較し約17%増加している。これは密を避けての観光ニーズが高まり、関東近郊で屋外の自然がメインなスポットとして人気だったのではと考えられる。2021年4月の検索数は2019年4月と比較すると約35%減少しているが、来園需要も一定数存在していたことがわかる。

 

 

 

②徒歩データによる「国営ひたち海浜公園」および周辺エリアの利用実態調査
ナビタイムジャパンが提供するウォーキングアプリ『ALKOO by NAVITIME』から取得した歩行者のGPSデータをもとに、特にコロナ禍において同公園の検索数が多い2020年10月および2021年4月と、通常期より検索が少ない2020年4月を対象に、公園内とその周辺の利用状況を分析した。

 

・2020年4月は公園周辺の商業施設の利用が見られる
・2020年10月・2021年4月は公園内利用が回復傾向

 

図3は2020年4月・10月・2021年4月のそれぞれ1か月間における50mメッシュ単位でのGPSデータの測位状況をヒートマップで可視化したもの。2020年4月は「国営ひたち海浜公園」が休園だったため、公園内での測位は確認されなかったが、公園西側にある「ファッションクルーズニューポートひたちなか」や「コストコホールセールひたちなか倉庫店」などの商業施設では一定数のGPSデータが測位された。

 

ナビタイムジャパンでは、コロナ禍におけるジャンル別の経路検索数変化を分析しており、緊急事態宣言発令中は生活雑貨や日用品に関するスポットの検索数は、他ジャンルのスポットと比較して検索数の減少量が小さいという分析結果が得られている。このことから、生活雑貨や日用品に関するスポットはコロナ禍においても検索数と実際の利用者数ともに多いことが読み取れる。

 

一方、2020年10月および2021年4月には公園周辺商業施設だけでなく、公園内の各所でGPSデータが測位されている。また、2021年4月の公園内の測位状況を見ると、2020年10月と比較してGPSデータが測位された範囲も一部拡大していることがわかる。

 

 

・公園内では西口付近、「みはらしの丘」などで多くGPSデータを測位

 

図4は2021年4月の1か月間において、公園内利用者を対象とした50mメッシュ単位での測位状況をヒートマップで示したもの。結果を見ると、ネモフィラやコキアといった花が多く見られる「みはらしの丘」や西口周辺にある「スイセンガーデン」「たまごの森フラワーガーデン」など、西口エリアを中心に多くのGPSデータが測位されている。また、西口エリアと「みはらしの丘」間でも測位が見られることから、西口から入園し、「みはらしの丘」に移動する来園者が多いことも示唆される。その他「大草原フラワーガーデン」「草原エリア」など道路を挟んだ南西側のスポットや、西口と南西エリアを結ぶ移動経路に存在する「まつかぜ橋」や「はまかぜ橋」などでも測位が確認できることから、公園内の各スポット間を周遊する来園者も一定数存在することが推測される。

 

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。