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2019年9月6日【テクノロジー】

理研、研究成果還元や産業界連携のための新会社設立

NEXT MOBILITY編集部

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理化学研究所(理研)は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(※1)施行に伴い、理研鼎業(りけんていぎょう)に全額出資し、9月5日付けで設立登記の申請を行った。

 

新会社では、専門的な知見やノウハウに基づく、ライセンス活動、ベンチャー支援活動、共同研究促進活動、共創活動を、より発展・充実。理研から受託した研究成果の社会還元、産業界との連携促進などの業務を実施する。

理化学研究所・ロゴ

理研は、第4期中長期計画(※2)等において、2018年4月1日から2025年3月31日までの7年間における中長期目標を達成するため、産業界との共創機能の強化と成果活用等支援法人等への出資を含め、関係機関との連携強化等による研究成果の社会還元の推進等を計画。

 

自ら創出した研究成果の迅速な社会的価値への還元を図るため、産業界との組織対組織の連携を促進するとともに、多様な収入源による新たな研究資金の確保を目指し、今回、産学連携に関する業務を担う外部法人を設立する。

 

 

新会社設立に際して、理研の松本紘理事長は、以下のように話している。

 

「理研は、基礎科学を中心とした研究機関というイメージが強いと思います。その実は、理研の研究成果の多くが産業界等での技術開発に活かされており、他機関の特許における論文引用実績は日本トップクラスです。

 この度、多くの方のご尽力により、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律が成立し、理研が出資することが可能となりました。これにより、理研の産学連携業務を外部法人化するという、新たな事業を展開できるようになりました。今回の会社設立で、数年来構想を温めてきた新事業が、スタートラインに立ったこととなります。

 特定国立研究開発法人としてイノベーション創出のモデルを示し、我が国の発展に寄与するべく、理研は理研鼎業とともに、より迅速かつより高度な科学技術の社会実装に努めて参る所存です」。

 

 

[理研鼎業の概要]

 

– 社名:株式会社理研鼎業(りけんていぎょう)RIKEN Innovation Co.,Ltd.
– 設立日(登記申請日):2019年9月5日
– 代表者:油谷 好浩(あぶらたに よしひろ)
– 資本金:9,000万円
– 所在地:埼玉県和光市広沢2-1

 

※理研鼎業は、”経営、技術、社会貢献(CSR:Corporate Social Responsibility)”を基軸として、日本のイノベーション創出に貢献するといった意味を込めて、古代中国において3本脚の金属製の器、祭器を意味し、「鼎談」や「鼎立」など、3という数を表す漢字としても用いられるこの漢字を社名に採用した。

 

[業務内容]

 

理研鼎業は、理研の産学連携業務を受託実施し、

 

① 理研の研究成果をいち早く社会的価値に還元する方策の実施
② 産業界との「組織」対「組織」の連携の促進
③多様な収入源の確保による理研の財務基盤の強化、新たな研究資金の確保による研究活動の充実

 

等を推進することにより、我が国のイノベーション創出に貢献することを目的としている。

 

 

[理研鼎業の機能]

 

■理研鼎業の機能と理研との関係性

 

 

1. TLO(ライセンス)機能

 

・理研研究者の発明相談、企業の市場調査を含めた知財発掘・権利化の戦略的な遂行。
・企業に対する知財のライセンス営業活動およびライセンス契約交渉。

 

2. ベンチャー支援機能

 

・理研ベンチャーの設立に向け、理研の研究成果をもとにした事業アイデアの創出や事業計画策定等の支援。
・事業を開始したベンチャーへの資金調達に向けた経営支援等。

 

3. 共同研究促進機能

 

・理研と企業との共同研究の発掘、折衝、成約活動。
・共同研究の出口を見据えたコーディネート活動。

 

4. 企業共創機能

 

・企業戦略に資する理研の研究成果や知財情報や共有の場を提供。
・企業に対して理研の研究内容や研究者の紹介を通じたコンサル活動。
・産業界を含めたコンソーシアムの構築活動支援。

 

 

※1)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律研究開発力強化法(平成20年法律第63号)の改正法として2019年1月17日に施行。同法により、国立研究開発法人は自らの研究開発成果の活用のため、民間事業者への移転及び共同研究のあっせん等により活用を促進する者や事業活動において活用する者等に対する出資並びに人的及び技術的援助が可能となった。

 

 

[問い合わせ先]

 

理化学研究所 イノベーション事業支援法人設立準備室
電話: 048-467-4591
innovation[at]ml.riken.jp(※上記の[at]を@に。)

 

 

■理化学研究所 中長期計画(PDF):http://www.riken.jp/~/media/riken/about/plan/pdf/midplan2018-2025.pdf

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。