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2019年3月14日【自動車部品】

グッドイヤー、空飛ぶクルマ用の最新コンセプトタイヤを発表

NEXT MOBILITY編集部

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ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(グッドイヤー)は、2019年のジュネーブ国際モーターショーで、最新のコンセプトタイヤ「エアロ(AERO)」を発表した。

 

エアロは、未来の空飛ぶ自動車用に設計されたコンセプトタイヤで、「ツーインワンタイヤ」をコンセプトとしており、地上を走行するためのタイヤとしても、空を飛ぶためのプロペラとしても機能すると云う。

 

 

 

 

エアロ発表に際して、グッドイヤー・チーフ・テクノロジー・オフィサーのクリス・ヘルセル氏は、以下のように話している。

 

「グッドイヤーは120年以上にわたって、輸送における変革と発見を推進してきたパイオニアたちとともに、革新と発明を徹底的に追及してきました。

 

都市交通や渋滞による課題に直面しているモビリティ企業がその答えを空に求めている状況から、グッドイヤーの高度なタイヤ構造とそれを可能にする素材研究の対象が、従来の路上走行のためのタイヤ機能と空中での推進システム機能の両方を併せ持った車輪のイメージに繋がってきました。」

 

 

 

 

 

[エアロのコンセプト]

 

・マルチモーダルデザイン:

 

エアロは、マルチモーダル(*)な、傾くローターをコンセプトにしている。従来のタイヤの向きにおいては、路面への力の伝達や路面からの力の吸収を、また、タイヤが傾くことによって車両が持ち上がる揚力を与えるための動力伝達装置としての役割を果たす。

 

この車両の実現は、未来の通勤者にとって、地上と空中のシームレスな移動に自由を与えることができる。

 

*従来のタイヤの地上での使用環境を超え、空中での使用環境をも考慮し多面的に設計。

 

・非空気式(エアレス)構造:

 

エアロのスポークは車両の重量を支え、タイヤが傾くことによって車両を持ち上げるための揚力を与えるファンブレードとしての機能を持つ。

 

このエアレスタイヤは、路上走行時の衝撃を和らげるのに十分な柔軟性と、車両に揚力を与えるためのローターの高速回転を支える強度を併せ持つ非空気式構造を採用している。

 

・磁気推進力:

 

エアロは、摩擦のない推進力を実現するために磁力を使用する。

 

これにより、車両が路上走行するために必要な高い回転速度を可能にし、また、車輪が傾けられたときに車両を空中に持ち上げ、前方に推進する力を与える。

 

・オプティカルセンシング技術:

 

エアロは光ファイバーセンサーを使用し、路面状況、タイヤの磨耗、およびタイヤ自体の構造健全性をモニターする。

 

・人工知能(AI):

 

エアロは、タイヤのセンサーから受け取る情報と、車両間および車両とインフラ間で伝達される情報を組み合わせるAIプロセッサーを特徴としている。

 

このAIプロセッサーは、これら一連のデータを分析し、車両が飛行または運転モードに切り替わることを可能にし、次のアクションへのリコメンドを行う。また、起こり得るタイヤ関連の問題を事前に察知し、解決することも可能にする。

 

 

グッドイヤーは、エアロについて、まだ概念上のデザインだが、非空気式構造やインテリジェントタイヤ機能など、その特徴的な技術のいくつかは今日までにグッドイヤーによって開発されており、その他の技術も、将来的には新しいアイデアや実現の可能性を秘めた新製品の基礎となる可能性があるとしている。

 

最後に、クリス・ヘルセル氏は、「グッドイヤーのコンセプトは、新しいモビリティエコシステム実現のためのタイヤと輸送技術に関する議論を引き起こすトリガーになれば。」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。