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2022年4月21日【特集・解説】

ジェイテクト佐藤和弘社長に訊く、CASE時代を生き抜く道

NEXT MOBILITY編集部

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社長就任時の赤字とぜい肉を削ぎ落とし、先の第3四半期業績で黒字転換

 

 

――先の第3四半期決算では、赤字からの脱却して黒字転換し、各領域で黒字化への流れを固められたれたようですが、現状のジェイテクトRebornへの流れ、あるいは今後、ブランド統一が進む中での業績動向をどのように見ておられますか。

 

 

 

 佐藤 よく記者会見でも話していますが、赤字の会社を引き継いだ当時、私が絶望的な心情だったかというと全然そうではなくて、「こんなものは直ぐに黒字になるぞ」という気持ちが正直なところでした。

 

 では一体何をやってきたのかというと、元々が超肥満な会社だったものですから、ぜい肉を少し落とせば黒字になるというのが私の見立てでした。 結果、1年半社長をやってきた今の段階は、ぜい肉をそぎ落として来て〝超肥満〟から〝肥満〟になったところです。但しまだ肥満です(笑)。

 

 

 

——まだ肥満ですか(笑)。

 

 

損益分岐点86%で、まだ道半ば。将来への種蒔きとミライの柱づくりへ

 

 

 佐藤 超肥満のぜい肉を落とした今、去年と売り上げ自体は変わらず、年度末の予想で450億円の営業利益に純利益210億円の数字を公表しています。

 

つまり売り上げが規模が、去年とほぼ同水準の95%程度と、5%売り上げを落としても黒字になった訳ですから、それだけぜい肉があったという事です。

 

 また損益分岐点で92%だったものが、今は86%位まで来ています。結果、同水準の売り上げでも、これだけの利益が出る。 しかし今の段階は道半ば、まだまだ絞るところは沢山あります。こうした経営努力がここ一、二年間でやるべき事だと考えています。

 

 一方で併せて、未来への種蒔きをしなければならないので、未来の柱となるような種をどこに、どのように蒔くかについて、目下、腐心しなが進めている状況です。

 

 

コロナ禍と半導体不足の影響が続く中、大転換期の中長期は群雄割拠

 

 

――今のコロナ禍や半導体不足という状況で、OEM(完成車メーカー)に於いても車両生産で、かなり厳しい状況にあります。

トヨタ自動車側も今期は3月時点で850万台程度に留まりそうです。対して来期は逆に1100万台という計画も出ていますが流動的です。

 いずれにしても自動車産業全体が大きな転換期にある中、コロナ禍や半導体不足などの課題が併せて出ている現況ですが、佐藤社長から見て、世界の自動車産業の現況をどういう姿として俯瞰しておられますか。

 

 

 

 佐藤 半導体の件は、来年度の上期に於いては、まだまだ今と変わらぬ状況が続きそうな感触があり、OEMが生産ラインを止める状況はあり得るだろうと思います。 従って半導体は、今後の潮流を占う要因になると思います。

 

 またそれにも増して、我々が一番頭を悩ませている問題が別にあります。それは輸送費の高騰です。 特にコンテナ関連のコストがべらぼうに上がったものですから、今期後半は無論のこと、来期になると輸送費で相当な費用が掛かると見ています。収益にも大きな影響を与える事になるため喫緊の課題と言えます。

 

 更により長い目で自動車産業全体を俯瞰すると、今は群雄割拠で混沌とした時代になっています。

 

 例えば上流領域では、既存のOEMに対してソフトウェアを主導とする新興勢力が参入して来ています。

これまでのOEMは、自動車を使うお客様へ〝Fun To Drive〟を提案し〝快適さ〟のみならず、〝走り〟も愉しめる自動車像を求め続けて来ました。 しかし対する新興勢は、純粋な〝移動ツール〟としての機能に新たな可能性を見い出し、そこに力を入れています。

 

 また過去から受け継がれた垂直統合型で、自社完結のモノ造りに拘るOEMと、水平分業型で車両製造そのものを外部委託する新興勢もあります。

 

 結局、今の段階では〝クルマづくり〟というひとつの要素を取っても、ありとあらゆる道筋があり、そこにカーボンニュートラルや省エネなどの社会的な要請が加わり、様々な切り口の要素・要因が絡み合っています。

 

 そうした中でOEM側も未来に向けて、どう生きて行くべきか考えており、それを受けて我々サプライヤーも、そこに対して〝どのような格好で食い込んで行くべきか〟という、とても混沌とした先が見通せない状況だと思っています。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。