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2022年4月21日【特集・解説】

ジェイテクト佐藤和弘社長に訊く、CASE時代を生き抜く道

NEXT MOBILITY編集部

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トヨタ自動車入りは自然に。品質保証畑は自ら志望してエキスパートに

 

 

――佐藤社長は、トヨタ自動車入りは当時のトヨタ自工で、同志社大学の工学部卒ですね。 同志社というと日産の内田社長が同志社大学神学部から商社経由で日産入りしたのが話題になりました(笑)。佐藤さんは、同志社の工学部からトヨタ自工入りというのは、どういう背景だったのですか。

 

 

 佐藤 私は出身が愛知県豊田市で、父親もトヨタ自工でした。トヨタ自動車が大きくなって行くのを見ながら育ってきたものですから、Uターンで豊田の地元に帰りました。 何故かというと、祖父が畑を持っていて、「お前、戻ってきてここに家を建てろ」と。それが頭の中に残っていて豊田に戻るのだったらトヨタに入ろうかと考えて今に至ります。

 

 そんな訳でトヨタは大好きな会社ですが、実はクルマはそれ程好きじゃない。実際そう言って章男さんに怒られています(笑)。

 

 ちなみにトヨタに入ると、大抵の人はエンジン開発などを希望しますが、工学部出身の私は図面を描くのが嫌いで、社内説明会の時に図面を描かない部署はないのかと聞き、誰も応募しない品質保証部門を第1希望と書いて、すんなり決まった。そういう背景です。

 

 

――品質保証畑のエキスパートになって、様々な部門を跨がってご覧になり、視野が広くなられたのは収穫だったかも知れませんね。

 

 

 

 佐藤 そうですね。品質保証を皮切りにTQMも担い、役員になってからはサービス部門にも携わらせて頂き、補給部品にも関わりを持ちました。 今はそうした品質保証畑をやって来て本当に良かったと思います。

 

 例えばトヨタで品質保証会議をやると、営業も含め広域部門が全員出席します。従って営業では何が課題であり、生産技術での課題であり、工場で技術部がどうなっているかなど、全てを知る事が出来ます。

 

 ジェイテクトに来た時にどの部署を見ても何ら違和感がないというか、色々な事にコメント出来る。勿論、必ずしも個別の深いところ迄100%知り得る訳ではありませんが、オールマイティな便利屋のようなところがあり、会社全体を理解するためには本当に助かります。

結果、製造会社のありとあらゆるところの一連の問題に通じながら、色々勉強させて貰ったのですから。

 

 

座右の銘は〝本気〟と〝利他〟

 

 

――佐藤社長の座右の銘や人生訓。ご趣味は、どんなものですか。

 

 

 

 佐藤 座右の銘ですと、先程の三角形の話の中にもありましたが、「本気」という言葉が大好きです。 何故かと言うと、どんな事をやるにしても意志が入っていないものは成功しないと思っているからです。

 

「私はこれがしたい」だとか、「私はこれをしてあげたい」と言う、そうした強い意志があるから物事が進むし、諦めずにやれると思っています。

 

 大体、本気がない人が仕事をしているから会社は問題になってしまうので、本気というのが私の中では一番の座右の銘です。  後は伊奈食品の塚越さんから教えて頂いた忘己利他の「利他」ですね。この利他が役員になってから特に心に響くようになりました。このふたつが座右の銘です。

 

 

――ご趣味は。

 

 

 

 佐藤 左記の通り、私の出身大学が同志社大学で、妻が京都女子大だった事。また2人とも京都が好きなので、夫婦で京都の町歩きをするのが趣味です。

 

 

ジェイテクト取締役社長、佐藤和弘氏(さとう かずひろ)のプロフィール

佐藤和弘氏は1956年(昭和31年)4月生れ。1979年(昭和54年)同志社大学工学部機械工学科卒、同年4月トヨタ自動車工業入社。2001年(平成13年)トヨタ自動車品質保証部企画室室長、2005年(平成17年)同社品質保証部長。2008年(平成20年)同社田原工場品質管理部長、2010年(平成22年)同社BRコミュニケーション改善質主査、同年同社BRコミュニケーション改善室室長、2012年(平成24年)同社常務理事カスタマーサービス領域領域長。2014年(平成26年)同社常務役員カスタマーファースト推進室長、2016年(平成28年)同常務役員カスタマーファースト推進本部長兼Global Chief Quality Officer、2017年(平成29年)同社専務役員、2019年(令和元年)同社執行役員カスタマーファースト推進本部長兼Global Chief Quality Offcer。2020年1月(令和2年)ジェイテクト顧問、同年6月ジェイテクト取締役社長就任。

 

 

*同コンテンツは、当編集部の隔月刊誌「NEXT MOBILITY」 からの転載記事です。転載にあたり一部の記述を刷新しました。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。