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2019年8月22日【エネルギー】

NTN、自社商品の環境価値を見える化。新商品開発・提供に活用

NEXT MOBILITY編集部

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NTN・ロゴ

NTNは、自社商品の環境貢献度を定量化し、各商品の環境価値を「見える化」する取り組みを開始した。

 

この取り組みでは、商品毎に環境効率を算出し、1997年当時の商品の環境効率と比較を行うことで、以降の新商品の環境ファクタ(環境貢献度)を導出。

 

試算では、20年前の商品を提供し続けた場合と比較して、現在提供する商品群では、2018年度実績で年間約140万トンのCO2排出量の削減効果を確認。これはガソリン約60万リットル相当の使用削減となると云う。

 

NTNは、自社商品の環境価値を「見える化」することで、今後のさらなる環境貢献新商品の開発と提供を加速するとしている。

 

 

NTNの主な環境貢献商品:ハブベアリング

NTNの主な環境貢献商品:ハブベアリング

 

 

1.環境貢献指標の策定背景

 

近年、国連による持続可能な開発目標「SDGs」でも提唱される「気候変動」が国際社会における重大な社会的課題となっており、世界各地で大雨や干ばつ、熱波などの異常気象が次々と観測されている。

 

また、今年7月に公表された国連の報告書では、「気候変動が持続可能な開発に向けた前進を脅かしている」と警告。この地球規模の課題に対して、さらなる対策の強化が急務となっている。

 

NTNでは、ベアリングを100年以上にわたって製造・販売。あらゆる機械の回転部を支え、摩擦を減らすことでエネルギー消費を抑えるベアリングをエコ商品と捉え、この商品を通じて省エネルギー社会に貢献していると考えている。

 

そして今回、同社の企業価値の明確化と、全社で定量的な認識を持つことによって生まれる技術開発の加速、モチベーションの向上を目的に、環境貢献指標の策定に至ったしたとしている。

 

 

NTNの主な環境貢献商品:ドライブシャフト

NTNの主な環境貢献商品:ドライブシャフト

 

 

2.環境貢献指標について

 

商品毎に導出した環境ファクタを5つのグレードに分類。自動車などの最終製品のエネルギー損失低減に寄与し、かつ1997年当時の性能と同じレベルの商品である「D-eco」と、それとの比較によって環境貢献度合いに応じた4段階のグレード(S-eco、A-eco、B-eco、C-eco)とした。

 

今年度は、NTNの売上高の約6割を占める自動車用ドライブシャフトとハブベアリングを対象として、環境貢献度を算出。今後は、産業機械向けベアリングや自然エネルギー商品など、全商品に対象を拡大していく。

 

 

(1)NTN商品の分類・グレードと定義

 

(2)環境ファクタ・環境効率の算出方法

 

※1:D-eco品。
※2:QFDの手法を用いて価値(最終製品でのCO2削減寄与を含む)を数値化。
※3:気候変動対策への貢献を評価する観点から、環境負荷を「原料採掘~生産」で発生するCO2量として算出(一般社団法人 日本自動車部品工業会の「LCI算出ツール」を活用)。

 

 

3.NTNの環境貢献度

 

NTNのドライブシャフトおよびハブベアリングの売上高において、環境貢献度が特に高いS~C-ecoグレードの販売比率は年々高まっており、2018年度で全体の79%を占め、2019年度はさらにその比率が増加し、S~C-eco品が83%になる見込み。

 

また、20年前の商品(D-eco)を供給し続けた場合と、現在の環境貢献度の高い商品が最終製品(自動車)に使用された現状を比較すると、CO2排出量の削減量は2018年度で約140万トン(ガソリン約60万リットル相当)となり、2019年度では約150万トンの効果を見込んでいる。

 

 

 

 

算出基準 : 一般社団法人 日本自動車部品工業会 JAPIA LCI算出ガイドライン(使用段階LCI算出ツール)

 

*:最終製品にD-eco品が使い続けられていた場合のCO2排出量を基準とし、そこからS~C-eco品の寄与により最終製品の想定期間にわたって削減できるCO2量を当社商品販売年度における「CO2削減貢献量」としている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。