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2022年7月8日【企業・経営】

豊田自動織機、電動コンプレッサー生産1,000万台体制へ

NEXT MOBILITY編集部

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豊田自動織機は7月8日、世界的に進展する自動車の電動化を背景にしたカーエアコン用電動コンプレッサーの需要拡大に対応するため、グローバルで1,000万台の生産体制を構築すると発表した。

 

東浦工場および中国子会社TACK(※1)の加工ライン、刈谷工場の組立ラインで能力増強を行う他、シェルやローターなど、圧縮機能を担う基幹部品を加工する東浦工場に、電動コンプレッサー部品専用の加工ラインを新設し約2倍に拡張、10月から生産を開始する。

豊田自動織機・ロゴ

電動コンプレッサーの世界市場は、電動車(※2)の普及に伴い急速に伸長しており、21年度1,000万台から23年度2,000万台へと拡大する見通し(※3)であると云う。

 

これを受けて、豊田自動織機は、コンプレッサーのトップシェア(※4)カンパニーとして、電動コンプレッサーのグローバルシェア50%、販売台数1,000万台を目指すと共に、中期的な市場拡大に対応するため、欧州および米国生産拠点での現地生産など、さらなる生産体制の拡充を検討していく。また、電気自動車(以下BEV)の熱マネジメントにおける中核部品として、電動コンプレッサーの商品力向上にも取り組んでいく。

 

 

バッテリーをはじめ多くの電子機器を搭載するBEVに於いて、熱対策は、航続距離や充電時間、電池寿命を左右する重要技術。BEV向けコンプレッサーには、車室内だけでなく電子機器の冷却も担う高い冷房能力が求められる。また、暖房にエンジンの廃熱を利用できないBEVでは、コンプレッサーを駆動させるヒートポンプ式暖房の採用が広がっており、BEV向けコンプレッサーには冷暖房を担う耐久性能が欠かせない。

 

 

豊田自動織機の電動コンプレッサーは、その冷房能力と耐久性能が評価され、「ESH34」がトヨタの新型BEV「bZ4X」(今年4月発表)に採用されているほか、より大型なバッテリーや電子機器にも対応した大容量タイプの「ESH41」も市場投入され、海外カーメーカーから高い評価を受けていると云う。

 

豊田自動織機は、今後さらなる大容量化や高電圧にも耐えられる電動コンプレッサーの開発を進め、顧客の多様なニーズに応えると共に、電動車の普及やカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。

 

※1:豊田工業電装空調圧縮機(昆山)有限公司。

※2:ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車を指す。
※3:IHSマークイットおよび豊田自動織機調べ。
※4:豊田自動織機調べ。

 

 

[東浦工場の概要]

 

– 所在地:愛知県知多郡東浦町
– 操業開始:2002年
– 工場面積(拡張後):52,000㎡
– 事業内容:カーエアコン用コンプレッサー部品の加工

 

 

[ESH41の諸元・特徴]

 

<諸元>
– 型式:ESH41
– 体格(胴径×全長):φ123×263mm
– 重量:7.2kg
– 吐出容量:41cc
– 冷房能力:10.8kw

 

<特長>
・従来の車室内を中心とした冷房能力に対し、容量増加と回転数の高速化で40%能力向上。
・構造の見直しにより、既存製品に対し2倍以上の長寿命化。
・当社製品の強みである、小型・軽量・高効率・静粛性をより高め、商品力を維持。

 

 

■(2022年7月8日豊田自動織機リリース)【ピックアップ】電気自動車の熱マネジメントを支えるコンプレッサー:https://www.toyota-shokki.co.jp/news/2022/07/08/005400/index.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。