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2020年6月22日【トピックス】

矢野経済研究所、車載モータ需要2030年迄に約75%増

NEXT MOBILITY編集部

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矢野経済研究所は、車載モータの世界市場の調査を実施し、モータ搭載システム別の動向や参入企業動向、将来展望について、その概要を公表した。

矢野経済研究所・ロゴ

1.市場概況

 

環境負荷が少ない自動車として開発が進む次世代自動車(xEV; HEV、PHEV、EV、FCV)のみならず、快適・利便性や安全性の向上を目的に、内燃機関車(ICE)においても、パワートレインやシャシ、ボディ領域などで電動化が進んでいる。

 

中でもモータは、部品の電動化に伴い、急速に搭載数を増加。矢野経済研究所では、2018年の車載モータ世界市場を新車販売台数ベースで前年比102.7%の約32億3,700万個と推計。2017年の約31億5,300万個と比較して着実に増加していることから、世界規模で厳格化する環境規制の影響が見て取れると云う。

 

一方、世界の自動車販売台数(※)は、米中貿易戦争や英国のEU離脱など貿易環境の悪化を背景に、2018年、2019年ともにマイナス成長に。2020年も、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行から更なる下落が進むとみられ、その減少が車載モータ需要にも大きな影響を与えると見込まれることから、モータの搭載数の増加傾向は間違いないが、その成長は従来よりも鈍化するとしている。

 

※各国工業会データ等をもとにした矢野経済研究所推計値。

 

 

 

 

2.注目トピック

 

■Eアクスルの採用動向

 

エンジンに代わり駆動する主機モータとインバータ、減速機を一体化した電動駆動システムは「Eアクスル」と呼ばれ、一体化による体積削減や組立工数削減による低コスト化と効率向上が期待されている。

 

Eアクスルはモータ、インバータ等の配置を平行に配置する「平行軸型」と、同一直線上に配置した「同軸型」に分けられる。

 

平行軸型は同軸型よりもコストが安く、幅を短くできるといった利点を持つ。一方の同軸型は中空モータによるダブルシャフトとなるため構造が複雑でコスト高となるが、ユニットの小型化が可能なためFR(フロントエンジン・リアドライブ)にも適応しやいといった特長がある。

 

Eアクスルは黎明期にあるため、まずは競争力のあるコスト性を持たせられることや、大部分の自動車メーカ(OEM)がEV(電気自動車)の駆動方式にFF(フロントエンジン・フロントドライブ)を採用しており、平行軸型でも問題が少ないことなどから、矢野経済研究所では、平行軸型が現在のマジョリティとなっていると推測。但し、OEMからは前後長を短くする要望も強いことから、同軸型もいずれ市場投入が増加する見込みがあるとしている。

 

また、もう1つのトレンドとして「需要が高い出力帯」を挙げ、出力が150kW級の製品が多い現行の第一世代品となるC・Dセグメント向けの「150kW級」以外に、今後は、軽自動車やAセグメント向けに「50kW級」、高級車のEセグメント向けで「200kW級」と3つの出力帯に、Eアクスルのニーズが特に集中していくとの見方を紹介している。

 

 

3.EV市場の拡大は2025年以降

 

矢野経済研究所では、2018年時の世界の自動車販売台数で約95%を占める内燃機関車(ICE)は、xEVの台頭によってシェアを漸減させていくものの、xEVが本格的な市場拡大時期を迎えるのは2025年より先になると予測。

 

その理由として、自動車メーカ(OEM)各社が、2016年頃からCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)の波に乗って進めてきた電動車戦略においての利益確保の難航、バッテリーなど関連部品の調達、充電インフラの整備、電動車開発・生産の人材確保といった山積する課題や、主要OEMの量産EVが2020年代前半に出揃い始めること等を挙げている。

 

一方、内燃機関車(ICE)については、インドやアフリカなどの著しい経済発展によって自動車の需要が拡大していくであろう国々において、価格の安いコンベンショナルな車としての需要が根強く残ることや、内燃機関自体に希薄燃焼や気筒休止といった燃費向上技術の余地が多く残されており、ICEのニーズが直ちに消失することはないとしている。

 

さらに、2020年の自動車販売台数が、コロナウイルスによる影響により全世界的に減退する見通しもある等、以上のような理由から自動車販売台数が回復基調になり、ICEがピークアウトを迎えてxEVが本格的に普及をはじめる時期を2025~2030年になるだろうとしている。

 

またこれにより、xEVの世界販売台数を2030年で1,787万台と想定した場合、クルマ1台あたりの車載モータ搭載数の増加も踏まえ、2030年の車載モータ世界市場は約56億個規模(新車販売台数ベース)まで拡大すると予測している。

 

 

[調査要綱]

 

– 調査期間:2020年2月~5月
– 調査対象:自動車システムメーカ、モータメーカ等
– 調査方法:矢野経済研究所の専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

 

<車載モータ市場とは>

 

同調査における車載モータは、スタータやパワーシートモータ、電動ブレーキに用いられるモータなどから次世代自動車(xEV; ストロングハイブリッド[HEV]、プラグインハイブリッド[PHEV]、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV])で用いられる主機モータまで、サイズや出力を問わず搭載されるモータが対象。カーオーディオやナビゲーションシステムに使用されるディスクドライブ・HDD用モータ等の一部は対象外。対象車両はxEVを含む、すべての乗用車および車両重量3.5t以下の小型商用車に搭載される車載モータとした。

 

<市場に含まれる商品・サービス>

 

パワートレイン領域;スタータ、オルタネータ/ISG、電動過給機、電動ウォーターポンプ、電動オイルポンプ  シャシ領域;電動ブレーキ、電動パーキングブレーキ ボディ領域;パワーウィンドウ、パワーシート 次世代自動車システム領域;主機モータ、電動コンプレッサ。

 

 

[出典資料について]

 

– 資料名:2020 車載モータ市場の最新動向と将来展望
– 発刊日:2020年5月27日
– 体裁:A4 229ページ
– 定価:150,000円(税別)

 

 

[問い合わせ先]

 

矢野経済研究所
マーケティング本部 広報チーム

電話:03-5371-6912
メール:press@yano.co.jp

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。