横浜ゴムは、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを昨年12月に独自開発し、タイヤ用ゴムの配合設計での実用を開始した。この予測システムにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者による配合設計が容易になることが期待できると云う。
今回のシステムは、横浜ゴムが昨年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab（ハイコラボ）」に基づいて開発。人がゴムの配合設計パラメーターを入力するとAIが予測される配合物性値を出力、人が予測された結果を判断しやすくするため、予測値の確からしさを表示する機能や、目標とする配合物性値に近しい配合を探索する機能を付加するなど、人とAIが協奏しながら新たな知見が得られるシステムとした。
横浜ゴムでは今後、このシステムを、タイヤのみならずホースやコンベヤベルトなど多岐にわたるゴム商品開発で利用していくとしている。
[HAICoLabについて]
Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語で、人とAIとの共同研究所という意味合いも込められた「HAICoLab」は、人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かした“人とAIとの協奏”によってデジタル革新を目指す構想。人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集とAIによる予測・分析・探索を繰り返すことで、未踏領域での知見の発見を目指している。
横浜ゴムは、これまでにも2017年にマテリアルズ・インフォマティクスによるゴム材料開発技術、インフォマティクス技術を活用したタイヤ設計技術を発表するなど、材料およびタイヤの設計開発プロセスでAIを活用した技術開発を推進。
現在は「HAICoLab」の下、プロセスに加え製品やサービスなどの革新を目指し、AI利活用を進めることで、ユーザーエクスペリエンスの向上や、内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現に貢献するとしている。
※タイトル画像：HAICoLabの概念図。