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2020年12月22日【SDGs】

住友理工のセル用ガスケット、新型MIRAIに継続採用

NEXT MOBILITY編集部

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新型「MIRAI」

 

 

住友理工は12月22日、12月9日に発売されたトヨタ自動車のFCV(燃料電池自動車)、新型「MIRAI」に、同社の「セル用ガスケット」が継続採用されたことを発表した。

 

この製品はFC(燃料電池)スタック向けのゴム製シール部材で、2014年に発売された初代モデル向けの従来品から品質や性能を向上させつつ、量産性を大幅に改善し、より安全で快適なFCVの提供に貢献する。

 

FCVは、FCスタック内に水素と空気中の酸素を取り込み、化学反応を起こして作った電気を動力源として走行。地球温暖化の一因となる温室効果ガスの二酸化炭素を放出せず、水のみを排出して環境にやさしいことから、「究極のエコカー」とも呼ばれている。

 

今回採用されたのは、セパレータと呼ばれる板状の部材や発電部材などからなるセルの構成部品のうち、水素と酸素、そして水の漏れを防ぐゴム製シール部材「セル用ガスケット」。FCスタックはセル330枚が積層された構造で、これら1枚1枚に製品が搭載されている。

 

また、セル用ガスケットは氷点下から100℃以上の広い温度領域において高いシール性を発揮し、FCVの長期安全性、高効率な発電性能に貢献。

 

継続採用にあたって住友理工は、コアコンピタンス「高分子材料技術」により、新材料を創出するとともに、初代モデル開発で培ったシール設計技術および評価技術を駆使し、より高品質かつ高耐久な製品を開発。さらに材料開発を通じて製法を刷新し、高速成型を可能にするなど、製造プロセスの大幅な短縮を実現した。

 

自動車産業で「CASE(「C:Connected(つながる)」「A:Autonomous(自動運転)」「S:Shared & Services(シェアリング)」「E:Electric(電動化)」)」と呼ばれる新たなトレンドが台頭する中、政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の政策を打ち出しており、電動化「E」の流れはますます加速することが予測される。

 

「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指すべき企業像に掲げる住友理工グループは、FCVの基幹部品であるFCスタックの構成部材を担うことで、よりクリーンで持続可能な社会、そして快適なモビリティライフの実現に寄与したいという。

 

 

<新型「MIRAI」に搭載された住友理工の主要製品>

 

■防振ゴム

 

①FCスタックフレームマウント

FCスタックケースが搭載されるフレームとボデーの締結部分に配置され、エアーコンプレッサーなどからの振動伝達の低減や、車両自体の振動の低減にも貢献する。

 

②レギュレーターマウント

水素減圧弁の支持部分に取り付けられる。水素減圧弁からの振動低減に貢献する。

 

③水素タンクマウント

水素タンクをボデー部分に固定するために取り付けられる。水素タンクの安定支持の役割を担い、タンクバルブからの振動低減に貢献する。

 

 

④エアーコンプレッサーマウント

FCスタックに空気を供給するエアーコンプレッサーを支持。コンプレッサーからの振動低減に貢献する。

 

 

 

■ホース

 

①水素ホース

水素タンクに充填された水素をFCスタックへ供給。分子量が小さい水素に対する非常に高度なシール性要求に応える。

 

②エアー系ホース

エアーコンプレッサーで圧縮された空気中の酸素をFCスタックへ供給。水素との反応を阻害しないようにコンタミ管理が行き届いた工程で生産されている。

 

③FC冷却用ホース

FCでの発電を安定化させるための冷却回路に使用するホース。高電気抵抗のゴム材料を採用し、発電した電気への安全性を高めている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。