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2022年9月15日【SDGs】

ボルボ・イケア・ラーベンの3社、炭素中立輸送の実現へ

坂上 賢治

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Volvo Trucks、IKEA、Raben Group が協力してゼロエミッション輸送を加速

 

ボルボトラックス、イケア・インダストリー、ラーベン・グループは9月14日(北欧時)、重量物輸送に関関わるゼロエミッション協定を締結した。( 坂上 賢治 )

 

これを基礎にイケアは、ラーベン・グループが担うポーランド内のイケア・インダストリーの製造2拠点に跨がる部材・商品輸送でボルボの大型BEVトラックを導入する。これにより特定の区域に限られるものの輸送ネットワーク下の輸送部門が100%電化される事になる。

 

そもそもイケアは、世界規模で年間200万件以上の輸送に係る出荷業務を消化している。また輸送に係る温室効果ガス排出量を、出荷毎にマイナス70%削減させるという戦略的な気候目標を掲げている企業でもある。

 

 

しかしイケアが、これを達成するためには大型車両による輸送の電動化が不可欠だ。そこでイケア・インダストリー、ボルボトラックス、ラーベン・グループは、ゼロエミッションのボルボFMエレクトリックトラックの配備で協業する事を決めた。

 

まずはポーランド西部のイケアインダストリー拠点間輸送に使用される

 

具体的には同車両が、ポーランド西部で14キロメートル離れたズボンシネクとバビモスト間のイケアインダストリー工場間で商品や部材輸送のために使用される。最初の電気トラック導入は、今秋に運行を開始。時間を掛けて運行上に於ける輸送効率と照らし合わせながら徐々に拡大させていく計画だ。

 

また輸送に使われる大型BEVトラックへの給電は、イケア・インダストリーの施設内で外部ソースから提供されている再生可能電力を利用して充電する。

 

この輸送プロジェクトについて、イケア・インダストリーでマネージングディレクターを務めるマウゴジャタ・ドビエス=トゥルルスカ氏( Małgorzata Dobies-Turulska )は、「この度、持続可能な輸送事業を推し進める同コラボレーションの発表を行えた事を誇らしく思います。

 

 

このプロジェクトの進展により、大規模輸送に於ける炭素中立の実現について、様々な学びを得る事が出来ます」と話しており、加えてボルボトラックスの欧州中部東部&東部担当のロベルト・グロズダノフスキー( Robert Grozdanovski )上級副社長は、「より持続可能なトラック輸送に向けて、イケア並びにラーベングループと協力出来る事を大変光栄に思っています。

 

両社は弊社と同じく、野心的な気候中立目標を掲げています。このプロジェクトは、私たちに貴重な知見をもたらし、未来に向けて3社の重要なコラボレーション基盤となるでしょう」と語っている。

 

更にFH、FM、FMXの44トン級の大型電動トラックの量産も開始へ

 

更にレーベン・トランスポートで、マネージング ディレクターをー務めるピョートル・バナシアク氏( Piotr Banasiak )は、「レーベン・グループにとって、このプロジェクトはSBTi( サイエンス・ベースド・ターゲット・イニシアチブ/科学的見地に基づく戦略目標 )を掲げる専門家達によって推し進める野心的なCO2削減計画に向けて、当社の脱炭素化プロセスを目指す最初のステップとなります。

 

 

またこれは、未来のトラック輸送の姿を求めていく重要なプロジェクトでもあります。当社は24トン級のトレーラーで電気トラックを走らせるという野心的な取り組みに着手した欧州最初の物流会社のひとつになりました」と胸を張る。

 

なおボルボ トラックスは現在、FH、FM、FMXの44トン級の大型電動トラックの量産も開始している。現時点で既存パワーユニットを含む3つのモデルは、同社の売上高の約3分の2を占める存在だ。

 

2030年迄に世界規模で電動トラックを50%とする壮大な目標を掲げる

 

ホルボ・トラックス社長のロジャー・アルムは、「これはマイルストーンのひとつであり、私たちが業界の変革をリードしている事を証明するものです。

 

 

実際、我々が世界に向けて初の大型電気トラックを披露してから2年も経っていません。しかしこれらの電動モデルの生産計画はスウェーデン・ヨーテボリのトゥーベ工場を皮切りに、来年にはベルギーのゲント工場でも始動します。

 

当社では、従来の内燃エンジン搭載トラックと同じ生産ラインでBEVトラックを造り出しており、電動トラックを生産する上での柔軟性と効率性で優位点があります。なおバッテリーは、ゲントの新しいバッテリー組立工場から供給されます。

 

昨今、カーボンフリーの実現を目指して電動トラックの需要は急速に拡大していますが、我々は欧州で使われるトラックの45%をカバー出来る体制を敷いています」と述べた。

 

 

実際、ボルボトラックスはこれまで大型BEVトラックを2,600台以上出荷しており、欧州地域で6車種の電動車は、都市内の配送やゴミ処理、地域輸送、建設作業など幅広い用途をカバーする。しかしボルボトラックスでは今後、2030年迄に世界で販売するトラック総販売台数の50%を電動化するという壮大な目標を掲げている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。