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2022年9月30日【企業・経営】

ロールス・ロイス、ワイルドライフ・ガーデンの改修を完了

坂上 賢治

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ロールス・ロイス・モーター・カーズは先の8月30日、英・グッドウッド工場内にあるワイルドライフ・ガーデン改修プロジェクトの完了式典を行った。このワイルドライフ・ガーデンは、拠点正門脇にある小さな〝自然の杜〟で、イングランド南部原産の独特かつ多種多様な植物・昆虫・鳥・動物が生息する地域の憩いの場でもある。( 坂上 賢治 )

 

同社は、BMW傘下となった2003年に、グッドウッドの地を自らの新たな中核拠点として選び、42エーカーもの敷地内へ車両生産のための工場建設を手掛けた。その際、あえてマーチCE小学校に隣接する区画に手つかず自然環境を設け、そこを自ら〝ワイルドライフ ガーデン〟と名付けた。

 

 

それから18年を経た2021年2月25日、同社はチチェスター地方議会と、サウス・ダウンズ国立公園トラストの後援を得て、ワイルドライフ・ガーデンを再野生化する計画を発表。

 

地元の5歳から11歳までの子供達に対して、この地の動植物の生息に相応しい環境づくりのためのアイディアを募る「ワイルドライフ・ガーデン・コンペティション」の開催を呼び掛けた。

 

 

実際に2021年に開かれたワイルドライフ・ガーデン・コンペティションで、例えば当時8歳のアイリスちゃんは、減少し続ける野生のハリネズミを保護するため「ティギー」と名付けたハリネズミの家をデザインした。この家はひとつひとつに住所が付けられ、ハリネズミ以外にも鳥、コウモリ、ヤマネ、蜜蜂のための巣箱や玄関の標識も制作した。

 

ハリネズミに関わるもうひとつのアイディアは、ワイルドライフ・ガーデンのフェンスに設ける「ハリネズミの通り道」だ。

 

 

これはリサイクルしたテラコッタ製のパイプを半分に切り、ハリネズミが通り抜けられるようアーチ状にしたもの。この仕組みで1番大事だったのは、ハリネズミが安全に水飲みと水浴びが出来るよう設けた浅い池で、疲れたら板の道を通って外に出られるようにした。

 

これらのアイディアの中核は「再自然化」がテーマだ。それは、自然保護活動家や国連などの国際機関から推奨されているものである。

 

 

しかしもっと大事だったのは、当地独特の生態系を維持しつつも生物多様性の損失を減らすため、対象地をかつて人によって耕作されていなかった状態に戻して生息地を繋げ、ミツバチ、マルハナバチ、蝶などの花粉を媒介する動物たちを保護し、人間の介入や管理を減らして自然な生態系に近づけていく事であった。

 

そんな実証と検証を経た2022年の夏、遂にワイルドライフ・ガーデンのアップデートプロジェクトが完了した。

 

 

この開催式典に於いて、同社のコーポレート・リレーションズを統括するアンドリュー・ボール氏は、「本日、ロールス・ロイスで働く人々にとって思い入れ深いプロジェクトが無事終了しました。

 

今から約20年前、このグッドウッドの拠点一帯が我々の手で再開発された時に、意図的に残した自然の杜だったワイルドライフ・ガーデンは、今日に於いても、自然を観察し・学ぶ機会を必要とする隣接のマーチ CE小学校の皆さんなどの地元の子供達。

 

ボーイスカウトやガールスカウトやその他のグループ、そして当社のスタッフにも幅広く利用されて来た憩いの場でもありました。

 

 

そうしたステークホルダーによって支えられた我々のワイルドライフ・ガーデン改修プロジェクトは、子供たちの創造性や地元コミュニティからの協力。一丸となって取り組んだ社内外とのチームワークなどポジティブな要素に溢れていました。

 

しかも、これらすべてが地元の野生生物の保護に繫がっています。私たちは、企業という自分たちの境界を大きく越えて、生物多様性をサポートするという再自然化プロジェクトの一部になれた事をとても嬉しく思っています。

 

今回のリニューアルによりワイルドライフ・ガーデンは、今後も人と自然にとって真に価値ある資源であり続けることでしょう」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。