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2021年6月1日【ESG】

BASFと三井化学、国内ケミカルリサイクル推進に向け協業検討へ

NEXT MOBILITY編集部

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BASFジャパンと三井化学は6月1日、ケミカルリサイクル推進に向けた協業検討を開始したと発表した。両社は、バリューチェーン横断的な連携を通じて、日本国内におけるプラスチック廃棄物のリサイクル課題に応えるケミカルリサイクルを日本で事業化することを目指し、共同ビジネスモデルを含めあらゆる可能性を検討していく。

近年、カーボンニュートラルやプラスチック資源循環に向けた取り組みが、世界的に加速、日本でも昨年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されるなど、リサイクルの重要性が一層高まっている。

 

ケミカルリサイクルは、技術的、経済的、生態学的な理由からマテリアルリサイクルされていないプラスチック廃棄物に焦点を当てた、マテリアルリサイクルを補完するソリューションとして注目を集めており、欧州では、この手法により製造された最終製品も既に市場展開されていると云う。

 

サステナビリティを経営の根幹に据えるBASFは、「ChemCyclingプロジェクト」において、革新的なプロセスをもつ技術パートナーと協働し、プラスチック廃棄物を化学品製造の原料として使用可能な熱分解油に変換するマテリアルリサイクルを実施。また、2025年には、化石原料を年間25万トンのリサイクルおよび廃棄物ベースの原材料に置き換えることを目指している。

 

ケミカルリサイクルにより生まれた化学品は、要求の厳しい用途でも品質を損なうことがない特徴を持ち、プラスチックなどの新素材の製造に使用され、また、このリサイクル原料の量は、第三者による認証済みのマスバランス方式に基づいて特定の最終製品に割り当てられると云う。

 

一方、化学企業として社会に貢献し続けるため、2050年カーボンニュートラル目標を掲げる三井化学は、気候変動とプラスチック問題を一体の課題として捉え、リサイクル技術・システムの開発とバイオマス製品ラインナップの拡充により循環経済の実現を目指している。

 

今回、そんなBASFと三井化学が、ケミカルリサイクル推進に向けた協業について検討を開始した。両社は今後、各関係省庁・業界団体と共に、日本におけるケミカルリサイクルの社会実装に向けた協議を加速していくとしている。

 

 

[各社コメント]

 

BASFジャパン 代表取締役社長 石田博基氏

「BASFは現在、統合生産ネットワークの恩恵を受けられる欧州のフェアブントサイト(統合生産拠点)を中心に、“ChemCyclingプロジェクト”を進めています。これまで培ってきた技術やノウハウを活用し、三井化学とともに日本国内におけるプラスチックのサーキュラーエコノミーの実現に向けて大きな一歩を踏み出せることを嬉しく思います」。

 

三井化学 ESG担当常務執行役員 平原彰男氏

「日本においてもプラスチック問題は大きな社会課題であり、バリューチェーン全体での社会変革を求められています。BASFが欧州で実証しているケミカルリサイクル技術は価値あるソリューションであり、当社が持つ技術やエチレンクラッカーなどのアセットと組み合わせることで、循環経済の実現に向けた大きな布石になるものと思っています」。

 

 

■BASFジャパン:https://www.basf.com/jp/ja.html
■三井化学:https://jp.mitsuichemicals.com/jp/index.htm

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。