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2020年12月16日【SDGs】

デロイトトーマツ、2050年の炭素中立社会を定量的に検証

NEXT MOBILITY編集部

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デロイト トーマツ グループは12月21日、新たに立ち上げたグループCEO直轄の「Climate Sustainabilityイニシアチブ」の取り組みの一環として、2050年にカーボンニュートラルが実現された時点での日本の経済社会のあり方に関するシミュレーション結果をまとめたレポートを公開した。

 

今回のシミュレーションは、グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社が国際エネルギー機関(IEA)の提供するシミュレーション開発環境TIMES (The Integrated MARKAL-EFOM System)を活用して独自に開発したエネルギーシミュレーションモデル(2020年6月発表)を活用して実施された。

 

シミュレーションは、国民生活に影響の大きい電力料金の増額を最小限に抑え、原子力発電所の新設を行わないなど政府方針を踏まえた上で、カーボンニュートラルを実現した場合の電源構成、再エネ大量導入を支えるエネルギーインフラ像、モビリティ電動化、水素活用等のエネルギー社会像を定量的に示している。

 

なお、レポートで公開されたシミュレーション結果はあくまで予測される将来像の一つのシナリオにすぎず、前提条件が変わることで分析結果も変化する。

 

【レポートの主なポイント(抜粋)】

 

1. カーボンニュートラル社会の電源構成・発電等コスト

 

カーボンニュートラル社会の電源構成において、再生可能エネルギー及び原子力発電といった脱炭素エネルギーのシェアはほぼ100%となる。シミュレーションではガス火力発電所において水素を活用する水素発電やCCS(CO2回収・貯留技術)を活用する場合、しない場合の2つのパターンで電源構成を試算している。

 

水素発電やCCSを活用できない場合、電力供給量が安定しない変動型再生エネルギー(風力・太陽光など)の割合が増加し(再エネ中心ケース)、基幹系統の新設・拡充に加え、需給調整の安定化のための蓄電設備に対する投資が拡大。加えて既存の火力発電のインフラの活用もできないため、発電・系統費用が増大する。

※上記グラフの金額はシミュレーション結果をベースとして、DTCで発電にかかる費用と系統・蓄電等のインフラ投資にかかる費用を推計したもの。実際の電力需要者に課せられる電力料金は、この数値以外に各種費用等が加算されるため、実際の電力料金とは異なる。

 

 

2. 再生可能エネルギー大量導入を支えるエネルギーインフラ

 

シミュレーションではカーボンニュートラル社会において、多い場合で約40GW以上もの蓄電設備を導入する必要があることが分かった。その投資は電力コスト上昇の要因となるため、水素発電やCCSの導入、蓄電設備の代替として活用するためのEV(電気自動車)などの電動モビリティの普及、VPP(Virtual Power Plant)などのソフト的な需給調整、再エネの地産地消の推進、などの取り組みを行って、系統網の負荷を軽減する必要がある。なお、CCSや水素発電を導入することによって、蓄電池や系統網への投資は、導入しない場合と比べて1/3~1/4に抑制できる分析結果となっている。

 

3. エネルギーインフラとしての電気自動車(EV)の重要性

 

シミュレーションの結果、カーボンニュートラル社会においてはクリーンエネルギーを活用しつつ、モビリティの電動化(EVや燃料電池自動車)を進めることが必要であることが判明した。変動型再生可能エネルギーの調整のための蓄電機能として、EVを活用することも可能として分析を行うと、乗用車におけるEV比率は約7割まで上昇することとなった。

4. セクターカップリング型水素社会の到来

 

このシミュレーション分析においては、変動型再生可能エネルギーの調整力として電解水素を生成し、需要側において燃料利用していくことを織り込んでいる。この場合、約1,300億Nm3の水素需要が推計された。

カーボンニュートラル社会においては、大量に生じる再生可能エネルギー余剰電力を活用してクリーン水素を生成し、熱源や輸送用燃料(E-fuel)、基礎化学原料等として利用する「セクターカップリング」の考え方が重要となる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。