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2022年4月15日【テクノロジー】

パナソニック、配送ロボットの道路使用許可を国内初取得

NEXT MOBILITY編集部

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パナソニックホールディングス(以下、パナソニックHD)は4月15日、神奈川県藤沢市の“Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、藤沢SST)”で実施中の小型低速ロボットを使った住宅街向け配送サービスの実証実験が、同日、国内で初めて(※1)完全遠隔監視・操作型(フルリモート型)の公道走行の許可に関わる審査に合格し、道路使用許可を取得したと発表した。

 

これにより、従来、道路運送車両法に基づく保安基準緩和認定の条件として、ロボット近傍に必要とされる保安要員の配置が不要となり、完全遠隔監視・操作による、ロボットを活用した配送サービスなどの実証実験が可能になると云う。

パナソニック・ロゴ

ロボットによる配送実用化への取組み

 

パナソニックHDでは、少子高齢化による労働力不足の解消を目指し、小型低速ロボットを活用した配送サービスの実用化に向けた取り組みを推進。2020年11月に藤沢SSTでの実証実験を開始(※2)し、これまで、31名のオペレーターが小型低速ロボット4台を同時遠隔監視しながら公道を自動走行する国内初(※)の実証や、自動走行ロボットを活用した店舗から住宅への配送サービス実証などを実施してきた。

 

これらの実証実験では、安全確保の徹底や緊急時の対応のため、オペレーターによる遠隔監視・操作に加えて、ロボット近傍に保安要員を配置した運行が行われてきた。

 

 

保安要員の随行なしで公道走行が可能に

 

今回、パナソニックHDは、藤沢SSTでの1,200kmを超える走行実証実験により培った、小型低速ロボットの認識能力の向上や遠隔監視・操作に関するAI技術の進化により、警察庁の定める「特定自動配送ロボット等の公道実証実験に係る道路使用許可基準(※4)」に於ける完全遠隔監視・操作型の公道走行の許可に関わる審査に、国内で初めて合格し、道路使用許可を取得。

 

ロボットの認識能力に於いて、遠方の人や近接車両等の移動物体、路上落下物などを即時発見し、遠隔監視・操縦を行うオペレーターに通知することで、緊急時でもオペレーターが遠隔介入・適切な対応がとれるようにした他、遠隔操作に関しては、ロボットが横断歩道を走行する際、通信が途切れた場合でも自律的に安全な場所まで走行できるよう進化。これらにより、完全遠隔監視・操作のみ、ロボット近傍の保安要員のサポートを必要としない、ロボットの自律走行を実現(※5)した。

 

なお、藤沢SSTでは、5月から商品の配達実証サービスが提供される予定だと云う。

 

 

 

 

パナソニックHDは、この進化させた技術を搭載した小型低速ロボットや遠隔管制システムを、エリアモビリティサービスプラットフォーム「X-Area(クロスエリア/※)」と名付け、今後、暮らしに寄り添う次世代モビリティサービスが街にあふれ、望むモノやサービスがいつでも・どこでも・非対面で・気軽に受けられる世界の実現を目指すとしている。

 

 

 

 

※1:2022年4月15日現在・パナソニックHD調べ。
※2:(パナソニックの2020年12月7日付ニュースリリース)小型低速ロボットによる住宅街向け配送サービスの実証実験をFujisawaサスティナブル・スマートタウンで実施:https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/12/jn201207-2/jn201207-2.html
※3:2021年8月3日現在・パナソニックHD調べ。
※4:特定自動配送ロボット等の公道実証実験に係る道路使用許可基準(PDF):https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/selfdriving/robotkijun2.pdf
※5:万が一の場合は人が駆け付けることができるバックアップ体制も整備。
※6)X-Area:地域の人々や企業、NPOなど様々なコミュニティに寄り添い、エリアに合った最適なサービスの実現をサポートするサービスプラットフォームの総称。なお、X-Areaで用いられている遠隔管制システム「X-Area Remote」では、多様なモビリティを複数台まとめて統合的に監視・操作・運用管理するクラウドシステムを提供。2022年3月1日から大阪・舞洲地区にて実施されている次世代都市交通システムの実用化を目指した実証実験で活用されている。

 

 

■(パナソニック)エリアモビリティ向けソリューション:https://holdings.panasonic/jp/corporate/mobility/solutions/areamobility.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。