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2021年1月14日【テクノロジー】

農業用ドローンのナイルワークス、16億の第三者割当増資実施

NEXT MOBILITY編集部

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ナイルワークスは、INCJ、住友化学、住友商事、クミアイ化学工業、スパークス・グループを運営者とする未来創生2号ファンド、Drone Fund2号(以下、「出資企業・ファンド」)を引受先とする総額約16億円の第三者割当増資を実施したと、2019年3月14日発表した。創業以来の累計資金調達額は、約24億円となる。

 

日本では、農業従事者の高齢化や後継者不足を背景に離農が加速しており、過去から培われてきたノウハウが失われつつある。また、生産者の減少により耕地の集約や農業法人の大規模化が進み、ドローンやロボット、ICT等を活用した農作業の省力化や、品質管理の効率化が求められている。

 

ナイルワークスは、「空からの精密農業」をビジョンに掲げ、センチメートル精度で完全自動飛行する農業用ドローンの開発および、ドローンに搭載した専用カメラで作物の生育をリアルタイムで診断し、診断結果に基づいた栽培管理を提案する生育診断クラウドサービスの事業化を推進している。2018年夏には、全国各地で75回におよぶ実証実験で農作業の省力化を検証し、地域や水稲の品種ごとの生育データをもとに、診断技術の精緻化を行った。また、VAIOを委託先とした量産化体制を住友商事と共に構築し、量産化モデル第一弾である新型機「Nile-T19」を、2019年6月より販売開始するよう準備を進めている。「Nile-T19」は、プロペラガードを装着し、通信手段も二重化した作業者の安全性と作業の効率性を高めた機構になっている。販売にあたっては、出資企業・ファンドや、既存株主の全国農業協同組合連合会、農林中央金庫および各販売店とも協力しながら準備を進めているところであるとしている。

 

ナイルワークスでは、今後も各出資企業・ファンド・組合と連携し、保有する技術を水稲以外の作物に展開し、日本のみならず海外にも進出することで、精密農業のリーダーになることを目指している。

 

 

<ナイルワークスならびに出資企業・ファンドの概要>
■ナイルワークス
https://www.nileworks.co.jp/

 

■INCJ
一昨年に初回投資して以降、リードインベスターとして経営面のサポートを行ってきた。今後もナイルワークスへの継続的な支援を通して、我が国の農業の生産性向上・国際競争力の強化を支援するとともに、産業界の枠組を越えた連携・オープンイノベーションを推進することで、ICTと農業の融合による新しい産業の創出に貢献していくとしている。
https://www.incj.co.jp/

 

■住友化学
総合化学メーカーとして長年培ってきた確かな技術とナイルワークスの先進的な技術を融合させ、農業の大幅な省力化・効率化と農作物の収量および品質の向上を目指す。また、農業経営の競争力強化を支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」型ビジネスならびに精密農業の取り組みをより一層加速させていくとしている。
https://www.sumitomo-chem.co.jp

 

■住友商事
革新的技術を有するナイルワークスを総合商社として広くバックアップし、早期事業化を支援する。また、ナイルワークスに加え、インターネットイニシアティブ、農業情報設計社などとも協業し、先端技術を分かりやすく、使いやすい形で生産者へ提供することで、精密農業の普及や農業の活性化を目指すとしている。
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp

 

■クミアイ化学工業
国産第一号の農薬を市場に提供して以来、安全で効果的な農薬の研究開発・普及を図ってきた。スマート農業への取組みの一環として、ナイルワークスとは実証実験などを通じた協働を行っている。今後とも、農業生産の課題を技術革新で克服する「社会に貢献する企業」としての取り組みを進めていくとしている。
https://www.kumiai-chem.co.jp/

 

■スパークス・グループ
スパークス・グループを運営者とする未来創生2号ファンドは、「知能化技術」、「ロボティクス」などの5分野で、未来社会に向けた革新技術を持つ企業を対象に出資を行っている。ドローン自動飛行技術や生育診断技術により世界の農業を変えようとしているナイルワークスへの出資を通して、より良い未来社会の実現とイノベーションの加速に貢献していくとしている。
https://www.sparx.jp/

 

■千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合(Drone Fund2号)
ドローン前提社会とエアモビリティ社会の実現を目指し、投資を行っている。ナイルワークスのドローンによる農作業の自動化は、現場の負担軽減や産業としての競争力の向上に繋げられ、農業分野におけるドローン活用の可能性が広がる。今回の出資を通じて、農業分野でのドローンの活用を支援し、ドローンの社会実装を目指していくとしている。
http://dronefund.vc/

 

 

<参考資料>
■新機種「Nile‐T19」

 

 

 

 

※「空からの精密農業」
ナイルワークスでは、世界初のセンチメートル精度でドローンを完全自動飛行する技術開発に成功しており、本技術を搭載したドローンを作物上空30~50cmの至近距離を飛行させることにより、薬剤の飛散量を大幅に抑えるだけでなく、作物の生育状態を1株ごとにリアルタイムで診断し、その診断結果に基づいて最適量の肥料・農薬を散布する技術に取り組んでいる。
※第8回 ロボット大賞 農林水産大臣賞受賞(2018年)

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。