NEXT MOBILITY

MENU

2023年8月1日【アフター市場】

東京海上、ビッグモーター保険金不正請求への対応

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ビッグモーター店舗外観

 

東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)は8月1日、ビッグモーターとビーエムホールディングス、ビーエムハナテンの3社(以下、ビッグモーター社)の板金部門に於ける保険金不正請求について、同社と保険契約を結んでいる被害者への対応を発表した。

 

東京海上日動は、被害回復を最優先事項と位置づけ、ビッグモーター社で自動車修理をした経歴のある契約者の不安を取り除くこと、また実際に不正な修理を受けた契約者の被害回復に向け、各種対応を行っていくとしている。

東京海上日動+ビッグモーター・ロゴ

1.対応の基本方針

 

東京海上日動は、ビッグモーター社の板金部門に於ける保険金不正請求を保険会社と自動車修理工場との信頼関係を裏切り、保険金を詐取したものと認識しているが、一方でそれら不正請求を防げなかったことや、事故修理の際に同社の自動車修理工場を紹介していたこと、また、同社が東京海上日動の保険代理店であることにより、保険契約者に迷惑を掛けたとして謝罪。ビッグモーター社に対して、被害回復に必要な措置を強く求めているが、未だ被害の全容把握の見通しが立っていないことなどから、保険金不正請求に繋がる同社不正修理の被害回復と、被害に遭った可能性のある契約者の不安を取り除くため、以下の対応を行う。

 

 

2.不正修理の被害者・被害に遭った可能性のある契約者への対応

 

(1)保険契約者向けの専用コールセンターの設置

 

過去の自動車修理に関する不安や、この事案への不満の申し出があることを踏まえ、自動車保険契約者専用の問い合わせ窓口(コールセンター)を7月28日に設置した。

 

・「ビッグモーターグループの不適切な保険金請求」に関する問い合わせ窓口
フリーダイヤル:0120-365-332(受付時間:平日・土日祝 9時~17時)

 

(2)ビッグモーター社の修理工場を紹介した人への連絡

 

事故に遭った際、東京海上日動がその修理先としてビッグモーター社の自動車修理工場を紹介した契約者などに対して、書面による連絡を順次実施。同社による保険金不正請求の全容解明および個々の被害状況の究明には一定の時間が掛かることも想定されるため、それまでの間、不安を感じる人については、車に安心して乗れるような対応を検討する(例えば、車の走行安全性の確認の手伝いや修理内容の説明等)。

 

<連絡を行う保険契約者>

 

①過去3年間に事故の修理をビッグモーター社の自動車修理工場で受けた東京海上日動の自動車保険契約者(注2)

(注2)東京海上日動またはその代理店から同工場を紹介されたか否かを問わない。また、実際に保険金請求を行ったか否かも問わない。

 

②過去3年間に東京海上日動の自動車保険の契約者との事故により、修理が必要となり、東京海上日動かその代理店から同工場を紹介された、もしくは自身で同工場を選択し、実際に修理を受けた事故の相手。

 

 

(3)ビッグモーター社の特別調査委員会にて判明済みの不正修理事案への対応

 

現時点に於いて、ビッグモーター社が設立した特別調査委員会の調査により判明している個々の不正修理事案についての情報開示がないため、東京海上日動は、被害回復を迅速に進めるため、同社および特別調査委員会に対して、特に早期の開示を強く求めていく。そして、開示され次第、順次早急に契約者への連絡を行う。

 

(4)不正修理被害者の自動車保険契約の等級に関する確認連絡

 

ビッグモーター社による水増し請求がなければ、修理の際に自動車保険を使用しなかったと思われる保険契約者については、水増し請求が判明した時点等で、「保険金のご請求がなかったと仮定した場合の保険料」と「実際に支払った保険料」の差額や「正しい修理金額」等を確認の上、連絡。この連絡に基づき、「正しい修理が行われていれば保険金の請求を行わなかった」ことが考えられる契約者については、等級の訂正の手続きを行う。

 

 

3.補足

 

東京海上日動では、これまでも、ビッグモーター社による不正修理の被害者に対して、被害回復を最優先事項と位置づけ、同社に対して毅然と対応してきたが(東京海上日動によるこれまでのビッグモーター社への対応(概要)参照)、現在は、同社に対し、独立性と専門性をもつ第三者による調査委員会を設置し、過去の修理事案の全数調査を実施することを強く要望。全数調査の際には、調査スピードを速めるための技術的な助言や提言等を行う構えであると云う。

 

また、ビッグモーター社の自動車保険を販売する部門に、2020年4月から 2023年3月までの3年間に延べ3名(常時1名)の社員を出向させていたが、板金部門への出向ではなかったため、保険金の不正請求を知り得る立場になく、また、保険金の不正請求に関与した事実も、認識していた事実もないことを確認。ビッグモーター社の自動車修理工場を、一定の基準を満たす設備を有し、事故に遭った保険契約者の車の引き取りや修理の出張見積もり等のサービスが一定水準確保されているとの判断の下、修理先として紹介してきたが、その結果として、今回の不正修理で被害者が出てしまったことを申し訳なく思っていると云う。

 

また、今後は、契約者の保護を目的に、ビッグモーター社との代理店委託契約の解約に向けた協議を実施。契約が解消された場合には、同社を代理店とする現在の保険契約を、契約者の意向も踏まえて、同社以外の代理店での取り扱いとし、引き続き、有効に継続していくとしている。

 

 

[東京海上日動によるこれまでのビッグモーター社への対応](概要)

 

2022年3月:

「防犯対策協議会(*)」に於いて、ビッグモーター社による不正請求の疑義が損保各社に対して提起されたことを受け、不正請求・不正修理の被害に遭った可能性のある自動車保険契約者の被害回復を最優先事項として位置づけ、自主調査を開始。

*警察をはじめ関係機関・団体と連携し、健全な損害保険事業の運営を行うための協議会。

 

2022年6月:

各損保の自主調査により不正請求の疑義が発覚した25工場の紹介を停止。またビッグモーター社に対して、過去事案の徹底的な調査と、不正請求・不正修理の被害に遭った契約者への対応(修理費の返金や再修理など)を強く求めた。

 

2022年6月末~8月:

2022年6月末にビッグモーター社の自主調査結果を受領したが、その内容が不十分であると判断。ビッグモーター社に対して、調査結果に対する東京海上日動による直接的な検証、調査対象範囲の拡大を申し入れた。また、被害者を特定し、適切な対応を行うため、ビッグモーター社から独立した第三者で構成される特別調査委員会による徹底した事実調査および真相の究明を行うよう要請したが、特別調査委員会は設置されなかった。

 

2022年9月:

その後、自主調査により全国の工場で不正疑義が発覚したことを受け、紹介の停止範囲を全33工場に拡大。

 

2022年12月:

度重なる要請にもかかわらず、特別調査委員会が設置されず、客観性・透明性を確保した事実確認がなされていない状況を踏まえ、特別調査委員会の設置を、さらに強く要請。

 

2023年1月:

ビッグモーター社により、社外弁護士を委員長とする特別調査委員会が設置された。

 

2023年3月:

既に不正が明らかになっている事案について、早期の対応を申し入れると共に、契約者への対応態勢の整備を要請。

 

2023年6月26日:

特別調査委員会の調査報告書が完成したが、東京海上日動への開示はなされなかった。

 

2023年7月4日:

東京海上日動に対し、ビッグモーター社から調査報告書の抜粋版のみが開示された。東京海上日動では、調査報告書の全文開示および広く公表することを要請した。

 

2023年7月5日:

ビッグモーター社が、特別調査委員会からの報告書を受領した旨をホームページに掲載したが、報告書本文は未公表となっていた。

 

2023年7月12日:

東京海上日動に対して、ビッグモーター社から調査報告書の全文の開示がされたが、公表は行わないとの意向が伝えられたため、改めて全文の公表を要請した。

 

2023年7月18日:

ビッグモーター社が、調査報告書の全文をホームページに掲載。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。