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2022年7月2日【オピニオン】

三洋貿易の新谷正伸社長に訊く、モビリティ産業の未来予想図

松下次男

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新事業の開発と人材育成は自社事業の両輪

 

 

――将来に向けた経営ビジョンがあれば、お聞かせください。

 

 

 新谷社長 今年の75周年に続き、次の25年後の100周年を見据え、どういうふうに成長するかというビションを持っています。これらを検討する事業開発室を2年前に開設しました。

 

 それともう一つは人材育成に力を入れています。人が大事だという事で、今まで総務部の中にあった人事関係の部署を独立させ、人事部を設置しました。

 

新事業の開発と人材育成、この車の両輪が大事ということで、2年前にそのような組織を立ち上げました。これらを基軸に新事業の創設および人材育成を目指します。

 

 

――自動車産業も100年に一度の大変革期と言われていますが、これについては。

 

 

 新谷社長 個人的な意見でいえば、やはり内燃機関が変わるというのは大きなトピックになると思います。

 

また、ITに自動車がつながり、一つのデバイスになっていくという見方もできるでしょう。自動車のステータス、定義が変わっていくことになるでしょう。ソニーも自動車に参入しますね。

 

 希望も入れますと、クルマがこれまでのA地点からB地点への移動手段から、今度はその間に付加価値を付ける空間となります。

 

そうしますと、例えば移動の間に予防検査や学習することが可能になり、時間軸の移動を含めて付加価値をつけられるような存在になっていく事が想像できます。

 

 これを踏まえれば、内装部材についてもいろいろな意味で付加価値を付ける展開が考えられと社内でも議論しています。EV、水素燃料になろうとも、内装部品は必要かつバリエーションも広がるでしょう。

 

 当社が今扱っているものは快適に関したものが多いが、今後、環境関連、それと安心安全に関するニーズが高まってくると思っています。

 

 シートベルトリマインダーや今回発表した車内置き去り検知センサーはまさにこの安心安全のところであり、当社の有望、かつ重要な仕入れ先であるIEEが扱っているものです。

 

東証のプライム市場上場企業として、これからは社会貢献のために安全・安心を実現する事が重要であると会社方針として決めています。

 

 

――座右の銘を聞かせてください。

 

 

 新谷社長 “人事を尽くして天命を待つ”です。明らかにできない事はやらない。

 

要は自分の手が及ばない事は幾らやっても仕方がない。出来る事に集中し、そこを徹底的に行う事が大切だと考えています。そういう意味でも、社員にはやりたいことはどんどんやりなさいと背中を押しています。

 

 

――将来ビジョンに関し、数値目標を掲げているのでしょうか。

 

 

 新谷社長 今進めている5年間の長期経営計画、ビジョン2023があり、来年9月の連結決算で経常利益75億円、ROE15%、海外拠点成長率(売上高)で年率10%を目指す数値目標に挙げています。あまりあっても散漫になるため、この3つを目標にしています。

 

 

PROFILE
新谷 正伸(しんたに まさのぶ)
三洋貿易代表取締役社長

1958年6月28日生まれ(64歳)。1982年早稲田大学理工学部卒。同年4月三洋貿易入社、合成ゴムなどの素材営業を皮切りに、2004年タイの現地子会社社長。2012年10月米国子会社Sanyo Corporation of America社長。2012年執行役員、2013年12月取締役兼執行役員事業本部長/三洋物産貿易(上海)有限公司董事長、2014年10年取締役兼執行役員経営戦略室長、2018年代表取締役社長兼社長執行役員。趣味は野球観戦。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。