NEXT MOBILITY

MENU

2022年7月2日【オピニオン】

三洋貿易の新谷正伸社長に訊く、モビリティ産業の未来予想図

松下次男

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

国内自動車産業の成熟に伴い自動車・製品メーカーとの関わりも親密に

 

 

――どのようにモビリティ分野の事業が拡大したのでしょうか。

 

 

 平澤 1980年後半からトヨタさんのレクサス・ブランドを中心に展開し、それらを契機に多くの自動車メーカーと取り引きして頂けるようになりました。ホンダさん、マツダさんなどの多くの自動車メーカーのクルマに本革素材を採用して頂きました。

 

 それから、今はもう企業名が変わっているのですが、カナダのシュクラ社、ドイツのWET社などからも、多様な製品を取り扱うようになりました。

 

 

 例えば、シュクラ社で言えばランバーサポート製品があります。これについては人間工学的な理論で作られており、3点支持で体を支え、運転中に疲労軽減や集中力が散漫になる事を防止する製品です。

 

 構造的には、シートの背中部分に入っている黒子的な製品であり、今は大半が電動で作動します。オンにすると樹脂板が前にせり出してきて腰を支えてくれます。

 

 実は米国や欧州では、このランバーサポート装備が付いているのか、付いていないのか。また機能が良いのか、悪いのかが、車種選択時の重要な購入基準になります。広域なエリアを走る場合、クルマを5時間、6時間と運転する際を考えるとその大事さが分かります。

 

 もうひとつのWET社はシートヒーターの製造会社で、ここからはシートを温める製品を取り扱っています。結果、当初の本革関連の製品提供を皮切りに、ランバーサポート、シートヒーターなど販売対象の拡大は1990年代から始まっています。

 

 

――製品は、直接、自動車メーカーに納入するのでしょうか、それとも部品メーカーに供給するのでしょうか。

 

 

 平澤 当初は、自動車メーカーに直接に提案し、評価を経て、採用を決めて頂く事も多かった傾向です。もしくは採用自体は早々に決まったものの、細かなスペック変更やデザイン変更では、我々ならではの知見を活かすというケースもあります。

 

 特に本革素材に関しては、お客様がクルマをお使い頂く際、最初に触り、目に入る重要な部分という事から、触感、色、デザインも含めて現在も自動車メーカーから直接、ご指示頂くケースは多いです。対してランバーサポートやシートヒーターなどについては、現在はシートメーカーに納入させて頂くケースが大半です。

 

 

次ページへ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。