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2022年7月2日【オピニオン】

三洋貿易の新谷正伸社長に訊く、モビリティ産業の未来予想図

松下次男

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海外からの製品調達を皮切りに、自動車事業が育つ環境の構築へ

 

――三洋貿易は、旧三井物産の有志が設立した商社という事ですが。

 

 

 新谷社長 財閥解体がなされた時、三井物産・神戸支店の社員達が新しい会社を興す形で再スタートを切ったのが発祥です。今年で75周年になります。

 

 

――当時はどのような素材や製品を主に扱っていたのでしょうか。

 

 

 新谷社長 神戸支店の人たちが会社を興した訳ですが、〝さて、どうするか〟という事になったので自らの支店の強みを掘り起こしたのですが、まだその頃の段階では〝唯一無二の強み〟を手にしていなった。

 

 そこでまずは彼らが頼ったのが、その当時の米国・ニューヨークに於ける「カスタマーリスト」でした。
後々聞いた話ですが、これが望外に使えるものだったようです。そこで片っ端からコンタクトして猛進した結果、北米の素材関連企業と代理店契約を結ぶ事が出来たのです。

 

 

――海外資材関連の取り扱いが始まったと言う事ですね。

 

 

 新谷社長 その当時、例えば米国にローム・アンド・ハース社という企業がありました。同社は、化学品や農薬を扱う大手の化学品メーカーです。同社とは、いち早く日本向けの総代理店契約を結ぶ事が出来、1950年代前半から事業が動き出しました。

 

 もう一つは、カナダ政府の国策に添った合成ゴムメーカーでポリサー社という企業がありました。我々は同社とも日本向けの総代理店契約を幸運にも結ぶ事が出来た。その二つの商権獲得が実質的な事業のスタートと言えるでしょう。

 

 1950年から60年代と言えば、まだ日本に合成ゴムメーカーが無かった。そこで製品や素材輸入を始めたのです。翻ると今日に於いては、既に数多くが国産化されている分野です。

 

 

――輸入した合成ゴムは、タイヤメーカーなどに供給していたのでしょか。

 

 

 新谷社長 タイヤメーカーを筆頭とする日本資本のゴムメーカーです。供給先の製品としては、確かにタイヤが多かったのですが、それ以外にもホースやOリングなど、供給先は多岐に亘っていました。

 

 

――ゴム事業のスタートが、現在の主力である自動車関連事業へと繫がって行くのでしょうか。

 

 

 新谷社長 ストーリーの詳細を辿ると少し違っています。当社は、まずゴム・化学品の事業が皮切りとなって推移し、それから機械分野などへ業態を拡大しました。それでも今日に於いても化学品が当社の重要事業ではあります。

 

 その化学品の中で、タンニン、いわゆる〝なめし〟がありあますが、それを製品として当社が事業化して供給する事になりました。そこから先は、産業資材事業部で事業開発室を担当する平澤の方が詳しいので本人が紹介します。

 

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。