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2021年5月27日【イベント】

マツダ、「第71回自動車技術会賞」を受賞

NEXT MOBILITY編集部

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マツダ・ロゴ

 

 

マツダは5月27日、第71回自動車技術会賞において、「技術開発賞」を2件、「浅原賞学術奨励賞」を2件、「技術貢献賞」を1件受賞したと発表した。

 

自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展の奨励を目的に設けられ、公益社団法人自動車技術会より、自動車技術における多大な貢献・功績を認められた個人に贈られる。

 

「技術開発賞」は、自動車技術の発展に役立つ新製品または新技術を開発した個人およびその共同開発者が対象で、マツダ社員の受賞は10年連続となる。

 

今回受賞した技術、技術者および受賞理由(主催者発表)は次の通り。

 

 

■技術開発賞

技術開発賞は、過去3年間に自動車技術の発展に役立つ新製品または新技術を開発した個人および、共同開発者に贈られる。

 

受賞対象
高い開発効率を実現した多目的設計最適化とデータ分析を用いた知的発見的設計支援手法
受賞者
小平 剛央(こひら たけひさ)/釼持 寛正(けんもつ ひろまさ)/花田 裕(はなだ ゆう)/宮内 一行(みやうち いっこう)/岡沢 恭久(おかざわ やすひさ)
受賞理由
本技術は、設計者・エンジニアが高機能・軽量化を両立するための設計指針の発想を、高効率に支援する革新的な設計支援手法である。具体的には、機械学習、最適化手法、シミュレーションを駆使し、千を超える車両の要求性能と数百の多量な設計変数(車両部品)の複雑な関係をモデル化した上で、そのモデルを質量効率・コスト効率として表現する技術である。特に、従来のCAEのアプローチに加え、本技術で導き出されたモデルを活用することで、モノづくりに精通した設計者・エンジニアの発想と意思決定を支援する設計手法は、世界的にもほとんど例が無い。また、本技術は汎用的なモデル・解析プロセスであるため、自動車業界だけでなく、製造業全体へ貢献する技術であることから高く評価される。

 

受賞対象
世界中の腐食環境に対応できる腐食シミュレーション技術の開発

受賞者
山根 貴和(やまね たかかず)/福田 克弘(ふくだ かつひろ)/中本 尊元(なかもと たかよし)/丸山 慧(まるやま さとし)/本延 愛梨(もとのぶ えり)
受賞理由
本技術は、これまで経験によって開発されていた車両の防錆品質開発をシミュレーションによって開発するという防錆開発を変革する技術である。 (1)市場の腐食環境を定量的に推定する技術、(2)腐食の原因となる塩水が各部位にかかる量を推定する技術、(3)各部位で腐食が始まるまでの期間を推定する技術、(4)腐食が始まった後に腐食進行状態を推定する技術、の4つの技術から構成され、(1)~(4)を繋いで分析することで、適正な防錆処理の設定や車両構造の設計に反映することができる。その結果、防錆品質の向上や製造コスト削減だけでなく、めっき鋼板に使用されている亜鉛などの資源枯渇にも対応でき、さらに自動車のみならず、鉄道車両など幅広い展開が可能であり、産業界全体に貢献する技術として高く評価される。

 

 

■浅原賞学術奨励賞

浅原賞学術奨励賞は、過去3年間に、「自動車技術会論文集」等自動車技術に関係ある公表印刷物に、論文またはこれに準ずるものを発表した将来性ある新進の個人に贈られる。

 

受賞対象
圧力極小を考慮した自動車周りの渦同定手法
受賞者
中村 優佑(なかむら ゆうすけ)※広島大学大学院に設置している次世代自動車技術共同研究講座空気力学研究室に出向中
受賞理由
自動車の空気抵抗低減は、デザインとともに自動車の外形形状との関係が強い。デザインの意図を生かしながら空力開発を行うためには、空気抵抗に寄与する自動車周りの渦の制御が重要であり、渦を把握するための渦同定手法が必要になる。従来の渦同定手法は、自動車周りの複雑な流れ場に対して煩雑な同定結果を与えるため、明確な渦の把握が困難であった。さらには、空気抵抗に寄与する低圧で旋回する渦を必ずしも捉えられなかった。受賞者は、乱流の基礎研究で用いられる圧力断面極小旋回法を自動車周りの流れ場に拡張することで、空気抵抗に寄与する自動車周りの渦を容易に捉えることを可能にした。本手法は、デザインと空力開発の両立に繋がる渦の制御を支援し、自動車周りの複雑な流れ場の解明にも貢献するものであり、受賞者の今後の活躍が期待される。

 

受賞対象
多段ガソリン高圧噴射を用いた圧縮着火燃焼の制御
受賞者
伊藤 直也(いとう なおや)
受賞理由
予混合圧縮着火燃焼は、高圧縮比・希薄燃焼を特徴とし、ガソリンエンジンの熱効率を飛躍的に改善するキー技術として注目されている。しかし、この燃焼方式は自着火制御が困難であり、運転領域が狭いといった課題がある。受賞者は、圧縮行程中の高圧多段噴射によって温度や当量比の筒内分布を形成し、圧縮着火燃焼を制御する筒内分布制御型の燃焼コンセプトを提案した。このことによって、予混合圧縮着火燃焼を実用化する上で課題であった燃焼制御性の改善・運転領域拡大が可能であることを実証した。計算による燃焼コンセプトの可能性検討と各種光学計測による精緻かつ体系的な検証によりもたらされた本研究成果は、ガソリンエンジンの圧縮着火燃焼の利用と発展に大きく貢献するものであり、受賞者の今後の活躍が期待される。

 

 

■技術貢献賞

技術貢献賞は、自動車に関する技術の進歩発達に貢献し、その功績が顕著な個人に贈られる。

 

受賞対象
高効率ガソリンエンジンの技術開発と実用化への貢献
受賞者

山川 正尚(やまかわ まさひさ)
受賞理由
ガソリンエンジンの高圧縮比化は、それ自体による効率改善のほか希薄燃焼限界拡大による効率改善にも有効であるが、そのためには高負荷の異常燃焼を抑える必要がある。そこで、受賞者は燃料の化学反応に着目しながら異常燃焼を回避する技術を構築し、世界中のガソリンエンジンに圧縮比の向上を促した画期的な高圧縮比ガソリンエンジンの実用化に大きな役割を果たした。また、ガソリン高圧噴射を用いて異常燃焼を抑制する新たな方法でさらなる高圧縮比化を実証するとともに、予混合圧縮着火による希薄燃焼との組み合わせで大幅な効率改善を確認し、ガソリンエンジンの飛躍的な進化の可能性を示した。このように受賞者は高圧縮比化を中心とした技術開発と実用化を通して、ガソリンエンジンの高効率化に多大な貢献をした。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。