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2020年1月27日【テクノロジー】

東工大の千葉明教授、IEEEニコラ・テスラ賞受賞

NEXT MOBILITY編集部

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東京工業大学 工学院 電気電子系の千葉明教授が、国際的な学会「IEEE(アイ・トリプル・イー、Institute of Electrical and Electronics Engineering)」の2020年「ニコラ・テスラ賞(IEEE Nikola Tesla Award)」を受賞することが決まった。

 

千葉明教授は、「ベアリングレス・リラクタンスモータへの貢献」が認められ、2020年受賞者として選出された。

東工大・ロゴ

IEEEは電気・電子・情報関連分野における最も権威がある世界最大(43万人)の技術系の学術団体。32の専門分野(Field)にわけ、各分野に1人、あるいは3人までのグループに毎年Field Award(フィールド・アワード)を授与。いずれの賞にも、その分野の著名な人物の名前などが冠せられている。

 

ニコラ・テスラ(1856 – 1943)は、エジソンの時代に、現在でも多数利用されている交流送電、誘導モータの発見・実用化などに多大な貢献を行った人物で、磁束密度の単位の「Tesla」はテスラ氏の名字を発祥としている。

 

IEEEは、ニコラ・テスラ賞の受賞者に「電力の利用・発電に関して特筆すべき貢献を行った人」を毎年1人選出。1976年から44年間続くニコラ・テスラ賞は、IEEEでも歴史ある賞である。

 

IEEEのField Awardは、東工大の電気・電子・情報分野では、1986年に末松安晴栄誉教授・元学長、2003年に伊賀健一名誉教授・元学長、2008年に赤木泰文特任教授、2009年に深尾正名誉教授、2010年に古井貞熈名誉教授、2015年に岩井洋名誉教授らが受賞。

 

また、著名な日本人では、1961年に江崎玲於奈氏、1998年には赤崎勇氏と中村修二氏などのノーベル賞受賞者も受賞している。

 

 

 

 

[千葉教授のコメント]

 

ベアリングレスモータは磁気浮上して非接触で回転するモータです。東工大の博士後期課程で発明し、1989年より文部科学省の科学研究費などに支えられ独自研究開発を行ってきました。

 

モータは回転する力(トルク)を発生しますが、回転子は半径方向の電磁力も発生しています。この半径方向の電磁力はあまり有効利用されていなかった状況にありました。

 

この電磁力を調整することによってモータが磁気浮上して回転できるようになりました。

 

当初は「ユニークだね」とのコメントしか得られませんでしたが、現在では世界各国の研究者が研究を行い、また、企業が超純水のポンプ、半導体・液晶プロセス、超高速回転モータなどに実用化しつつあります。

 

一方、リラクタンスモータとしては、次世代自動車用駆動用として、レアアース永久磁石を使わないスイッチドリラクタンスモータの設計を工夫し、永久磁石モータと同等の効率、トルク密度、また、それ以上の出力が可能であることを理論的に、また、実験的に明らかにしてきました。

 

永久磁石モータと同等のパフォーマンスを持つモータをRare-earth-free-motor(レア・アース・フリー・モータ)と名付けました。

 

恩師の深尾正名誉教授、30歳の時にポスドクとして留学したカナダのメモリアル大学のRahman(ラーマン)教授のご指導に感謝します。

 

先輩の赤木特任教授にはIEEE Fellow, Field Award の価値についていろいろアドバイスをいただき感謝いたします。これまでともに研究を進めてきた同僚の研究者、大学院生など、多くの方々の貢献によるもので、深く感謝しています。

 

私としては定年ごろに受賞できればありがたいと思っていましたが、まさか50歳台で受賞することになるとは思いませんでした。この受賞を励みに、今後も研究に邁進していきたいと思っています。

 

 

■東京工業大学・千葉研究室:http://www.chiba.ee.titech.ac.jp/index.html

 

■(東京工業大学・千葉研究室)ハイブリッド自動車用スイッチドリラクタンスモータ、磁気浮上ベアリングレスモータ:https://educ.titech.ac.jp/ee/news/2016_11/052883.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。