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2021年10月17日【イベント】

TGR阪口、SF第6戦で2位。今季2度目の表彰台を獲得

NEXT MOBILITY編集部

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TOYOTA GAZOO Racingは10月17日、スーパーフォーミュラの第6戦で、阪口 晴南(P.MU/CERUMO・INGING)が2位でフィニッシュし、今季2度目の表彰台を獲得。また、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)が4位となったことを発表した。

 

スーパーフォーミュラの第6戦は10月16日(土)、17日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで開催された。同じもてぎを舞台として戦われた第5戦から約1ヶ月半。2戦連続の開催とはいえ、真夏の暑さの下で行われた前戦とは異なる涼しいコンディションで、さらにハイレベルな戦いとなることが予想された。

 

今季のスーパーフォーミュラでは、トヨタエンジン搭載勢は第3戦での1勝のみと厳しい戦いが続いており、全7戦中の5戦を終えた時点でタイトルの可能性を残すのは関口と平川亮(carenex TEAM IMPUL)の2人のみ。しかし、関口は直近の2戦で連続表彰台を獲得しており、3位、2位と上り調子の関口の走りに期待がかかる。

 

また、今大会には、今季WECとのスケジュールの都合でなかなか参戦が叶わなかった小林 可夢偉(KCMG)と中嶋 一貴(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が出場。中嶋は開幕戦以来、そして小林は今季初のスーパーフォーミュラで、2021年のル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを飾った2人の凱旋レースとなった。

 

そして、今季シリーズエントリーしていながら、入国制限により参戦が叶わなかったサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)もようやく今大会より出場。本来のドライバーが出揃っての一戦に、注目が集まった。

TOYOTA-GAZOO-Racing・ロゴ

 

■予選
16日(土)は曇り空の下、予選セッション開始30分くらい前に軽く小雨が落ちてきたものの、路面を本格的に濡らすまでには到らない、非常に悩ましいコンディション。午後1時35分より、気温20度、路面温度24度の中、ノックアウト方式の予選が開始された。

 

Q1とQ2はそれぞれ2グループに分けて実施。上位7台がQ2へと進出するQ1のA組では、早速注目の小林と中嶋が出走。小林は他車に先んじてアタックに入り、好タイムを期待させる走りを見せていたが、90度コーナーを立ち上がったところで痛恨のスピンを喫し、ブリッジ内の壁に軽くヒット。車両前部にダメージを負い、車両を停めることとなった。

 

セッション残り3分を切ったあたりで発生したこのアクシデントにより、赤旗が出され、車両排除の後に残り3分で再開。全車1周でのアタックとなった。ここでは山下 健太(KONDO RACING)がトヨタ勢最上位の4番手タイム。平川が5番手、阪口が6番手、最初にタイムを出した中嶋は7番手でQ1を突破。大嶋 和也(NTT Communications ROOKIE)は8番手となり、ノータイムの小林とともにQ1敗退となった。

 

B組では、セッション後半にどんどんタイムが塗り替えられていく中、坪井 翔(P.MU/CERUMO・INGING)が5番手、関口が6番手タイムをマーク。チェッカーが振られた後、最後の最後にタイムを更新した国本 雄資(KCMG)が7番手に滑り込み、Q2へと進出。これで押し出される形となった宮田 莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)は8番手で、今季これまで全戦でQ3進出を決めていたものの、初めてQ1敗退となった。今季初出場となったフェネストラズはこれまでのコースレコードを塗り替える、1分30秒台のタイムをマークするも、9番手でQ2進出はならなかった。

 

Q2はやはり2グループで、それぞれ7台中の上位4台がQ3へと進出する。7分間と短いQ2が開始される頃には小雨が降り始め、一旦は全車スリックタイヤでコースへと出て行きたが、山下らはすぐにピットに戻ってウェットタイヤへと交換し、再アタックに出た。平川も翌周ピットに戻り、ウェットタイヤに交換し残り2分というぎりぎりのタイミングで再コースイン。しかし、1周して戻って来た平川は、アタックに入ろうとする直前、2秒前にチェッカーが振られてしまい、この周回のタイムでQ2を終えることとなった。

 

先にアタックに入っていた山下が、ここではトップタイムをマーク。スリックタイヤのままアタックすることを選んだ阪口が3番手。同じくスリックのままアタックした中嶋はタイムを伸ばせず。平川は最後にライバルにかわされることとなり、5番手で無念のQ2敗退。山下と阪口がQ3への進出を決めた。

 

Q2のB組でもタイヤ選択に悩まされることとなったが、最初からウェットタイヤでアタックした関口がトップタイムをマーク。最初スリックタイヤで出て行ったもののすぐに戻ってウェットタイヤに履き替えた坪井は僅かに及ばず5番手。スリックのままアタックを敢行した国本も7番手に留まり、関口のみがQ3進出となった。

 

Q3では雨が止んでさらに路面コンディションが難しい状況となり、関口、阪口、山下のトヨタ勢は全車ウェットタイヤでアタック。しかし、セッションが進行していく間に路面状況は良くなっていき、唯一スリックタイヤでアタックした車両がポールポジションを獲得。トヨタ勢では今季初のQ3進出を果たした山下が2列目4番手。阪口が5番手、関口が6番手で続き、決勝レースに臨むこととなった。

 

 

今季初のQ3進出を果たした山下 健太(ORIENTALBIO KONDO 3号車)

今季初参戦となる小林 可夢偉(KCMG Elyse 7号車)

入国制限により参戦が叶わなかったサッシャ・フェネストラズ(ORIENTALBIO KONDO 4号車)も今季初の参戦となった

 

 

■決勝
17日(日)午前中降り続いた雨は止み、空は明るくなり始めてはいるものの路面はフルウェット、気温14度、路面温度17度という難しいコンディションで午後2時45分より35周で争われる決勝レースのスタートが切られた。

 

全車ウェットタイヤを装着し、まだ水煙を上げながらのスタートで、6番手グリッドの関口は好ダッシュを見せたものの、続くコーナーでアウトにはらみポジションアップはならず。5番手スタートの阪口がひとつポジションを上げ、さらに前の車両とのバトルを繰り広げると、4番手から阪口にかわされた山下がこのバトルの隙を突き3位へと浮上。阪口も続き、1周を終えて山下が3位、阪口が4位、関口が6位、そして後方では18番手スタートの小林が一気に9位へとジャンプアップを果たした。

 

しかし、どんどん乾いていく路面でのウェットタイヤの走行で、序盤速さを見せた山下や小林のペースが落ち、ポジションダウン。8周目を終えたところで、早くも小林はピットインし、最初にスリックタイヤへの交換を行うと、山下も翌周ピットイン。

 

10周目、16位を走行していたフェネストラズが5コーナーでスピンを喫し、コースアウト。グラベルに捕まったフェネストラズはなんとか脱出したが、セーフティカーが出されることになり、このタイミングで多くの車両がスリックタイヤへ交換すべくピットイン。トヨタ勢では唯一平川のみがウェットタイヤのまま走行を続ける選択を取った。

 

13周を終えたところでセーフティカーが退去しレース再開。翌周にはウェットタイヤのまま走行した車両と、スリックへと交換した車両のタイム差が無くなり、16周目を終えたところで平川もピットイン。全車がスリックタイヤへの交換を終えた時点で、阪口が2位、関口が4位、中嶋が7位、山下8位、坪井9位、小林10位、宮田11位、大嶋12位、平川は14位。

 

17周目に別の車両のクラッシュがあり、2度目のセーフティカーが導入され、21周目に再スタートが切られると、各車マージンが無くなったチャンスを活かすべく猛プッシュを見せることになった。しかし、周回遅れの車両が首位と同一周回車両を前に行かせようとスローダウンしていたところにこのバトル集団が殺到したことで、後方グループで接触やスピンの多重アクシデントが発生。坪井と平川がこれに巻き込まれ、無念のリタイアとなった。

 

3度目のセーフティカーが出され、車両排除及びコース上の清掃を終えた25周目、残り11周でレースが再開されると、4位の関口が前の車両を猛追。2位を行く阪口もオーバーテイクシステムを使って首位の車両に迫り、並びかけるところまでは行きましたが、惜しくも逆転には至らず。

 

関口は28周目に前車をパスし、3位へ。さらに阪口へと迫っていったが、33周目、最終コーナーで痛恨のオーバーラン。後続にかわされ、4位へとポジションダウン。

 

阪口も最後まで首位の車両を追ったが、逆転には至らず、2位でチェッカー。それでも今季フル参戦初年度の阪口が、雨天で途中終了となった第3戦オートポリスに続く2度目の2位表彰台を獲得した。

 

関口は惜しくも表彰台に届かず4位フィニッシュ。逆転タイトルへの望みをかけて今大会に臨んだ関口であったが、今大会の結果、タイトル獲得は叶わなかった。

 

開幕戦以来の出場となった中嶋が7位、山下が8位で今季初ポイントを獲得。宮田が9位、そして小林も今季唯一のレースで10位となりポイント獲得を果たした。

 

 

決勝オープニングラップ

今季2度目の2位表彰台を獲得した阪口 晴南(P.MU/CERUMO・INGING 39号車)

4位フィニッシュを果たした関口 雄飛(carenex TEAM IMPUL 19号車)

12番手スタートからの追い上げで7位フィニッシュした中嶋 一貴(Kuo VANTELIN TOM’S 36号車)

 

 

■スーパーフォーミュラ 2021年 第6戦 もてぎ 決勝結果

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。