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2020年8月7日【エネルギー】

京セラ、太陽電池モジュール材特許を中国企業に独占供与

NEXT MOBILITY編集部

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京セラは、太陽電池モジュールの封止材料を製造する中国の「杭州福斯特应用材料股份(ハンゾーファーストアプライドマテリアル/以下、ファースト社)」と、京セラが保有する太陽電池モジュール用封止材料に関する特許技術を、ファースト社のみにライセンス供与すること、および、新規封止材料の共同開発を行うことに関して、8月1日に基本合意書を締結した。

太陽電池モジュールの封止材料は、セルを保持し、表面のガラスと裏面のバックシートを接着、水分の浸入などの外部環境から保護する部材。

 

通常のモジュールには、紫外線や湿度、熱などのストレス下において、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる封止材料内に酸が発生してセルの電極が劣化、モジュール自体も劣化してしまうという課題があるが、特許技術ではEVA内の酸の発生を抑制して劣化を低減。京セラ製太陽電池モジュールは、この特許技術によって高い長期信頼性を実現してきたと云う。

 

 

 

 

京セラは、1975年に太陽電池に関する研究開発を開始して以来、45年以上にわたる研究開発の中で、製品の長期信頼性に関する技術を培ってきた。

 

一方、ファースト社は、2003年から太陽光関連事業に参入し、モジュール向けを中心に封止材料の研究開発や製造などを進め、2019年には世界シェア50%を占める世界トップメーカーにまで成長した。

 

両社は2018年から、ファースト社が京セラの太陽電池モジュール用「封止材料」を受託製造することを通じ、協力体制を構築するとともに製造技術を蓄積。

 

また、自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブのRE100推進のために太陽光発電をより普及させることや、SDGsのGoal 11(※)実現に向けた廃棄物総量削減のためのモジュールの長寿命化など、環境問題への解決策についても、それぞれ多面的に取り組んできたと云う。

 

このような背景から、太陽電池モジュールに関するさらなる技術開発が急務と考える両社は、今回の基本合意を締結。京セラは、長期信頼性に関する特許技術をファースト社に独占的にライセンス供与し、今後、さらなる長期信頼性向上のため、同技術をベースとした共同開発をファースト社と実施していく。

 

京セラとファースト社は、新たな封止材料の開発および普及を通して、太陽電池モジュールにさらに高い信頼性を担保し、今後、太陽電池モジュールの生涯発電量を増加させるとともに、太陽電池モジュールの廃棄総量の低減にも貢献。これにより、RE100やSDGsなどを推進していくとしている。

 

 

※Goal 11:より具体的には、「11.6.1 都市で生み出された固形廃棄物の総量のうち、定期的に収集され適切に最終処理されたものの割合(都市別)Proportion of urban solid waste regularly collected and with adequate final discharge out of total urban solid waste generated, by cities」

 

 

■杭州福斯特应用材料股份(英語):http://www.firstpvm.com/en/index.asp

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。