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2022年10月5日【テクノロジー】

DeNA、EVの実用航続距離予測システムで顧客拡大を目指す

NEXT MOBILITY編集部

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ディー・エヌ・エー(DeNA)は10月5日、使用環境により変動するEVの実用航続距離を予測するシステムを開発したと発表した。これにより対象車両の実用航続距離を「見える化」、このEV導入支援ソリューションをもとにマーケット開拓を目指す。

地球温暖化対策やSDGsという社会の流れを背景に、ガソリンエンジン車からEVへの転換を促す社会潮流が顕在化してきた。そうしたなかで自治体や企業などでのEVの導入動機も高まっている。

 

しかし一方で日本国内に於いては、車両導の入コストや(蓄電池を搭載しているゆえに車両価格自体が高い)、そもそも搭載されている蓄電池そのものの利用上の耐久性の問題(時間を追う毎に蓄電容量が低下する)、更に航続距離自体が短い、また予測し難いといった課題から、その普及の進展は遅れている。

 

上記のなかでも特に航続距離に係る課題については、エアコンの使用を筆頭に、外気温に係る蓄電池性能の低下、走行条件によっては回生能力が低下するなどの使用状況、充放電回数などの諸事要件により性能が大きく変動する。

 

この事から、実用性能の把握が困難である事自体が、法人に於いてEV導入時の大きな障壁のひとつになっている。

 

 

 

そこでDeNAは今回、特に法人のEV導入に係る車両導入決定を促すべく、EVの実用航続距離を予測するシステムを自社で独自開発した。その予測測定の仕組みは、先ず、既存車両の管理情報(車検証情報、定期点検履歴など)や用途から、車両毎に異なる使用環境を推定する。

 

次に、推定された使用環境下でEVが走行した場合の性能悪化要因と、その影響度を総合的に解析した上で、バッテリー劣化による将来の車両性能変化も加えて、実際のEV導入後の実用航続距離を予測・提案するという格好だ。

 

このDeNA独自の予測を、顧客対象の法人へ提案する事により、異なる車両用途や使用環境下で様々な走行データが出がちなEVに対して「期待される実用性能を発揮できるのか否か」といった車両導入に係る判断基準を提案する。

 

ちなみに対象車両は、車両独自のデータ抽出手段(コネクテッドカーなどの完成車メーカーの独自のデータ抽出ルート)に依存しないため、ほぼ全ての既存車両での予測が可能だという。従って汎用性の高いEV導入支援ソリューションとして提供できると結論付けている。

 

今後DeNAは、この独自システムを様々な自治体や企業に提案していく事を通じて、国内で根強い内燃エンジン車の維持・継続行動に対してEV転換を勧めるなどしていく事を狙う。

 

また自社システム導入後の顧客に対しては、自動車メーカーのコネクテッドサービス、フリート管理サービス、カーシェアリング、エネルギー、保険など、各種サービスと連携させて自社サービスの利用価値を高めて自らの立ち位置を確保。結果、2050年のカーボンニュートラル実現にも貢献していきたいとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。