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2020年12月18日【テクノロジー】

ホリバMIRA社、自動運転車の技術開発拠点を英国に開設

NEXT MOBILITY編集部

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自動車や化学、医療等の計測機器の製造販売を行う堀場製作所(ホリバ)の英国子会社である「ホリバMIRA社」は12月18日、コネクテッド・自動運転車(CAV)の設計から実車検証までを包括的に支援する開発エンジニアリング総合施設「ASSURED CAV」を、来年3月に英国に開設すると発表した。

 

現在、自動車産業では、環境規制の強化を見据えた電動車の開発や、IoT・人工知能(AI)技術を駆使し、クルマとあらゆるものをつなげて実現する「モビリティサービス」の本格的な普及に向け、異業種の知見を交えた技術開発が加速。特に、自動運転やコネクテッド技術の高度化は、スマートモビリティ社会実現のための最重要テーマのひとつになっている。

 

そうした背景を受け、ホリバMIRA社は、デザインコンセプト、シミュレーションから試験・評価まで、コネクテッド・自動運転車(CAV)開発における、あらゆる段階での開発エンジニアリングを提供するエンジニアリング総合施設「ASSURED CAV」を、英国に開設。

 

自動運転技術の実用化に向けて、公道で起こりうる様々な事象及び環境を再現し、システムユースケースやシナリオを柔軟に作成する技術・機能を備えるこの施設では、ホリバMIRA社が保有する様々な車両試験施設と連携させることで、車両の制御性能や安全性を評価・検証するための試験が包括的に実施できると云う。

 

ホリバMIRA社は今後、これまでの車両開発エンジニアリングの提供に加え、コネクテッド・自動運転技術の高度化やスマートモビリティ社会の実現も支援していくとしている。

 

 

[施設概要]

・直線1km、直径300mの制御可能通信網を備えた専門評価コースを設置。高速走行での限界性能、分合流、レーンチェンジ、高速走行からのブレーキなどの様々なシナリオでの評価が可能。

 

・市街地環境(歩行者、自転車、渋滞、路上駐車など複雑な交通状況)を再現可能な専用コースを設置。

 

・自動駐車評価エリアを設置。立体駐車場などの複雑な環境で車が自動的に駐車スペースを探し駐車、また自ら出庫して運転者の元へ戻る一連の動作検証が可能。

 

・5Gモバイルプライベートネットワークにより、車両間および車両から各インフラとの通信を検証、車載インフォテインメントシステム(※1)とサイバーセキュリティシステムの試験が可能。

 

・仮想空間(バーチャル)によるシミュレーション試験が可能。

 

・ホリバMIRA社に隣接するCAV対応公道(約300km)とMIRAテクノロジーパーク内試験コースを活用した実車評価試験が可能。

 

・先進運転支援システム(ADAS/※2)評価設備及び評価コースを設置。

 

 

[ホリバMIRA社について]

– 社名:HORIBA MIRA Limited
– 創立:1946年(2015年にHORIBAグループ加入)
– 所在地:Watling Street, Nuneaton, Warwickshire, CV10 0TU, United Kingdom
– 代表者:Executive Director / Dr. George Gillespie OBE

 

<主な事業>

・車両開発エンジニアリングビジネス:車両走行性能・ブレーキ性能・対電磁波性能・衝突安全性能・機能安全性性能・ハイブリッドシステムの設計等の技術開発サービス、自動走行や遠隔操作技術等を利用した自動運転車両の技術開発サービスを提供。

 

・試験エンジニアリングビジネス:大規模な実験設備および自動車試験コースを利用し、衝突安全性試験や排ガス認証試験などの車両型式認証試験に関する車両の検査や型式認証など欧州認証機関から委託されたサービスを提供。

 

:研究開発棟のリースビジネス:自動車メーカーを敷地内に誘致するMIRAテクノロジーパークの運営。英国政府によるEnterprise Zones(※3)にも指定。同様に英国政府が推進する自動運転プロジェクトからも融資を受け、プロジェクトをリード。

 

※1)車載インフォテインメントシステム:自動車に「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」の機能を幅広く提供するもので、位置情報サービス、音声通信、インターネット接続のほか、音楽や動画などのマルチメディア再生、ニュース、電子メールなどへのアクセス・検索機能などを指す。また、従来のカーナビゲーションシステムやカーオーディオなどとは異なり、車載インフォテインメントシステムの利用範囲は、車内だけにとどまらず、車内と家庭/オフィスといった車外環境とのシームレスな接続や、ほかの外部機器との連携といった、統合運用・利用が想定されている。

※2)先進運転支援システム(Advanced Driving Assistance System(ADAS)):自動ブレーキ装置や急発進防止装置など、ドライバーの安全・快適を実現し、ドライバーに代わって自動車を制御するなどの運転を支援する機能の総称。

※3)Enterprise Zone:英国政府が進める経済特区プロジェクトの一つ。特区内に拠点を持つ企業は税率低減などのメリットを受けることができる。MIRA社施設を含め英国内に24か所指定されている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。