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2023年7月12日【物流】

パナの中国合弁など、工業地帯で大型EVトラック輸送実証

NEXT MOBILITY編集部

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パナソニックホールディングスは7月12日、中国の“北京四維図新科技”との合弁会社「パナソニック四維モビリティテクノロジーサービス北京(以下、松下四維)」が、三井住友海上火災保険(中国)(以下、三井住友海上中国/※1)および日郵振華物流(天津)(以下、日郵振華物流/※2)と共同で、大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を中国の工業地帯で7月から開始すると発表した。

パナソニック・ロゴ

脱炭素の潮流を受け、EVの利用が世界規模で拡大するなか、今後その流れが日本に波及することが予想されている。EVの利用で世界最大の市場を有する中国では、電池の異常や劣化などによる安全性や経済性のリスクが、EVを利用する上での課題となっていることから、特に物流事業者など、保有台数が多く、使用頻度が高い企業では、環境負荷低減に向けてEV導入を進めるにあたり、こうしたリスクに対して強い危機感を持っていると云う。

 

そこで、松下四維と三井住友海上火災保険中国、日郵振華物流の3社は、EVトラックを安全・経済的に運用するサポートを目的に、大型EVトラックを用いた自動車部品輸送の実証実験を7月から共同実施する。

 

実証実験では、日郵振華物流が大型EVトラックを導入し、中国の天津市内にある工業地帯で工場間の自動車部品を輸送。松下四維は、電池分析クラウドサービス「BetteRRRy (ベタリー/※3)」を用いて電池データを分析し、電池異常の検知や劣化状態を可視化する。

 

※1:中国で損害保険事業を展開する三井住友海上火災保険の子会社。
※2:中国で物流事業を展開する日本郵船の合弁会社。
※3:パナソニックグループが約30年のリチウムイオン電池開発で蓄積してきた知見と独自のAI技術を応用して開発した電池分析クラウドサービス。松下四維では、電池状態の正確な把握によって製造、一次利用から二次利用、電池リサイクルに至るまでバッテリーのエコシステムを様々な企業と共に構築し、EVを含む新エネルギー車の生涯価値最大化を目指している。

 

 

[各社の狙いと主な役割]

 

■日郵振華物流

・自動車部品物流事業に於ける脱炭素化推進を目指し、大型EVトラックを実際の輸送業務に試験導入し、環境貢献性・経済性・安全性を検証。

・大型EVトラックには松下四維の電池分析クラウドサービスBetteRRRyを搭載し、電池状態の可視化や異常検知を行う。

・実証実験における電池状態のデータをBetteRRRyを通じて三井住友海上中国に提供。

 

■松下四維

・物流業界でのEV利用促進に向けて電池分析クラウドサービスBetteRRRyを提供。
・電池の異常予兆検知や異常アラート発信による運用の安全性向上。
・電池劣化状態の可視化に基づくコンサルティングによる運用の経済性向上。

 

■三井住友海上中国

・松下四維との連携を通じて、以下2つの新たな保険商品の開発・提供の検証を行う。

①電池のバックアップサービス責任保険:電池発火などの異常予兆を検知した際、対応を講じる費用を補償する(レッカーや点検・修復に要する費用など)。

②電池の修理・交換等保険(商品開発中、商品名未定):電池に、電池無償交換のメーカー保証範囲外で異常な劣化が発生した際、修理や交換に要する費用を補償する。

 

実証実験で使用する大型EVトラックと同型の車両。

実証実験で使用する大型EVトラックと同型の車両。

 

松下四維は、中国の大手物流事業者やEVリース会社など、多くの車両を高頻度で運用している事業者向けに電池分析クラウドサービスを提供してきた実績を活かし、今後も拡大し続ける市場に合わせて、電池に関わる課題を解決しながら、EVの導入や運用をサポートし、環境課題の改善に貢献していくとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。