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2021年7月1日【ソフトウェア】

ボルボ・カーズ、自動車用OSを内製化

NEXT MOBILITY編集部

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ボルボ・カーズ(Volvo Cars/以下、ボルボ)は7月1日、ソフトウェア開発を内製化し、 将来のボルボ車に独自の自動車用OS(オペレーティング・システム)「VolvoCars.OS(以下、ボルボ・カーズOS)」を採用すると発表した。

 

 

ボルボでは、将来の自動車は機能や特徴ではなく、ソフトウェアによる機能や特徴によって、その魅力が決定されると考えていると云う。

 

そこで今後は、自動車用OSの開発を社内で行い、次世代電気自動車(EV)専用技術を用いた最初のSUV電気自動車にボルボ・カーズOSを搭載。これにより、より迅速で柔軟な開発を可能にすると共に、頻繁にOTA(無線アップデート)を行い、日々更新されるより良い製品をユーザーに提供していくとしている。

 

 

様々なOSを統合するボルボ・カーズOS

 

ボルボ・カーズOSは、車両とクラウドにまたがる様々なOS(Android Automotive OS、QNX、AUTOSAR、Linux)を統合し、ボルボのEVにおいて、包括的なシステムとして機能するもの。先に発表された「Extended Vehicle API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」を含む様々なAPIを通じて、ユーザー同意の上で、車両センサーデータやユーザーインターフェース、フリートデータ等、クラウドベース機能へのアクセスを開発者に提供し、新サービスやアプリケーションの作成にも貢献する。

 

これについて、ボルボの最高技術責任者のヘンリック=グリーン氏は、「ソフトウェアを自社開発することで開発スピードを上げ、お客様のボルボを今よりも早く改善することができます。スマートフォンやパソコンと同じように、新しいソフトウェアや機能をOTAで迅速に提供することができ、時間の経過とともに、お客様のボルボをより良く、より楽しくすることができます」と述べている。

 

ボルボでは今後、車内にある複数の電子制御ユニットよる情報処理を、社内開発したコア・コンピューティング・システムで集中して実行することで、複雑さを排除。このコア・コンピューティング・システムは、2022年発表の新モデルに初搭載され、3つのメイン・コンピュータから構成される「ビジョン処理」と「人工知能」、「一般的なコンピューティング、インフォテインメント」を実行する際、互いにサポートし合うと云う。

 

また、このコア・コンピューティングへの移行により、ハードウェアをソフトウェアから徐々に分離、新型車への最新ハードウェアの搭載を可能とするとしている。

 

 

主要テクノロジー企業と協力

 

ボルボでは現在、自社開発とコア・コンピューティングへの移行を、NVIDIA(エヌビディア)や、インフォテインメントシステムの共同開発パートナーであるGoogle(グーグル)等、主要なテクノロジー企業と協力して進めている。

 

主要テクノロジー企業と協力について、前出のグリーン氏は、「私たちは、必要のあるところで、真の技術リーダーと提携するという意図的な戦略を持っています。Googleは、GoogleマップからGoogleアシスタントに至るまで、ユーザー・エクスペリエンスとサービスにおいて真のリーダーであり、一方、NVIDIAは、最速かつ最高のコンピューティングへのアクセスを提供してくれています。このように、戦略的パートナーシップを選択するアプローチは、すべてを自力でやろうとするよりも遥かに効果的です」と述べている。

 

これらテクノロジー・リーダーとのコラボレーションを成功させ、顧客に最高のユーザー・エクスペリエンスを提供するという目標は、オープンAPIを通じてサードパーティのイノベーションにボルボ・カーズOSを開放するという決断の原動力にもなっていると云う。

 

 

■(Volvo Cars)第1回Volvo Cars Tech Moment(英語):https://live.volvocars.com/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。