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2020年4月24日【エネルギー】

ミシュラン、使用済みタイヤの熱分解リサイクル企業と提携へ

NEXT MOBILITY編集部

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フランスのミシュランは、使用済みタイヤをリサイクルする熱分解テクノロジーの大規模な開発・事業化を目指し、スウェーデンのEnviro(エンバイロ)社との今年半ば迄の最終的な提携合意に向け、話し合いを進めている。

 

両社は、世界で毎年約10億本も排出される使用済みタイヤについて、これらを良質の原材料に生まれ変わらせることで、タイヤリサイクルの課題を解決していきたいとしている。

2001年設立の社員20名から成るスウェーデンの新興企業エンバイロは、熱分解プロセスにおいてエネルギー消費を最小限に抑えながら、素材の化学的組成及び物理的状態を変化させるテクノロジーを開発。

 

この革新的なテクノロジーでは、有機化合物を急激に加熱することにより化学的に分解する手法が採られており、対象の有機化合物には元来含まれていない新たな成物の抽出を可能にすることから、再生カーボンブラック、熱分解油、鋼鉄など、他の産業分野の生産工程で再利用できる生成物の生産が可能に。現在、廃棄物として処分されているタイヤも、原材料としてリサイクルできるようになると云う。

 

 

 

 

この提携により両社は、相互に補完し合うノウハウを持ち寄り、タイヤのリサイクルを加速。ミシュランは自社の事業ノウハウを工場建設プロジェクトや研究開発・製造に活かし、エンバイロは特許権を取得している熱分解テクノロジーを提供することで、高品質の製品を生み出していくとしている。

 

 

 

 

エンバイロとの提携に関して、ミシュラン サービス&ソリューション ハイテクマテリアルビジネス部門のディレクター Sonia Artinian-Fredou氏は、以下のように話している。

 

「エンバイロとの提携は、ミシュランの“すべてを持続可能に”というビジョンに沿っています。2017年のリーハイテクノロジー社(ハイテクを活用して使用済みタイヤから微粉化粉末を抽出する専門事業者)の買収に続き、今回の提携も、ミシュランがリサイクルと持続可能なモビリティに長期的にコミットしていることの確かな証しです」。

 

 

[両社提携への道程]

 

・エンバイロの熱分解テクノロジーを大規模に展開するための開発契約の締結。

 

・ミシュランは、エンバイロ株式の20%(116,165,223株)取得のため、総額3,252万6,262クローネ(約3百万ユーロ)を出資し、筆頭株主となり、取締役を派遣することを株主総会に提案する(4月15日、株式引受手続きに署名)。

 

・同テクノロジーの事業化を進めるための工場建設共同プロジェクトを発足(工場の立地は検討中)。

 

・ミシュランとエンバイロ間の相互供与契約を締結。

 

 

■(vimeo)Enviro 廃タイヤリサイクルプレゼンテーション(動画/英語):https://vimeo.com/143231063

 

■Enviro(英語):https://www.envirosystems.se/en/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。