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2021年7月30日【トピックス】

緊急事態宣言、埼玉・千葉・神奈川・大阪追加。8月末迄延長

NEXT MOBILITY編集部

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菅内閣総理大臣は7月30日の記者会見で、全国で新型コロナウィルスの感染者が1万人を超えるなど、感染がかつてないスピードで拡大しているとして、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府に緊急事態宣言を発出すると共に、北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県でまん延防止等重点措置を実施し、期間をそれぞれ8月2日から8月31日までとすること、東京都、沖縄県の緊急事態宣言を8月31日まで延長すると発表した。

 

<其々の措置が実施される区域と期間>

 

■緊急事態宣言
・沖縄県:5月23日~8月31日
・東京都:7月12日~8月31日
・埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府:8月2日~8月31日

 

■まん延防止等重点措置
・埼玉県、千葉県、神奈川県:4月20日~8月1日
・大阪府:6月21日~8月1日
・北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県:8月2日~8月31日

 

 

首相官邸・ロゴ

菅総理は会見の冒頭で、東京の感染者数が3,300人に上るなど、爆発的な今回の感染拡大の要因について、アルファ株よりも1.5倍ほど感染力が高いとされるデルタ株の影響について言及。東京でコロナ感染者に占めるデルタ株の割合が7割を超えているとの報告もあることから、全国的にデルタ株への置き換わりが急速に進むにつれ、更に感染の拡大が進むことが懸念されることから、今回の判断に至ったと述べた。

 

 

 

またこれに伴い、飲食店に対して引き続き20時までの時短要請を実施する一方で、協力金の早期支払い等、要請への協力の環境整備に努めると共に、各都道府県において飲食店への見回りを拡大し、対策の実効性を高めていくなど(主な内容については、以下に記載)、今後の対策の内容について語った。

 

宣言の出口については、ワクチンの接種状況と併せ、重症者や病床利用率など、医療提供体制への負荷に着目した具体的な分析を進め、適切に判断した上で、社会経済活動の制限の緩和に向けた道筋を示すとしている。

 

 

 

ワクチン接種について

 

ワクチンについては、高齢者の73パーセントが2回の接種を完了し、東京における65歳以上の新規感染者数の割合が、4月までの20パーセント台から、今では2パーセント台に低下しているほか、東京では人工呼吸器が必要な重症者の数は、1月と比較しても半分程度に留まり、そのための病床の利用率も2割程度に抑えられていること、また死亡者の数も1月の水準と比較し、大幅に低い水準に留まっていることなどから、その効果のほどを強調。今後は重症化リスクが次に高い40代、50代、そして感染が大きく広がっている若い世代へのワクチン接種に注力していくと述べた。

 

具体的には、全国の自治体に、先々の配分量を速やかに示すことで、計画的な接種を進めることができるように努めていく他、今日(7月30日)承認されたアストラゼネカ製のワクチン200万回分を、希望する自治体などに速やかに提供。8月下旬には、2回の接種を終えた方の割合が全ての国民の4割を超えるよう取り組んでいくと語り、国民へのワクチン接種への協力を呼び掛けた。

 

オリンピック開催とお盆の帰省

 

総理は、オリンピック開催に伴う交通規制、そしてテレワークや都民の外出自粛への協力などにより、東京の歓楽街の人流は減少傾向にあるとしながらも、更なる削減のため、選手への声援は自宅のテレビなどで行うよう国民への協力を求めた。また、夏休みやお盆の期間中は、不要不急の外出や移動を自粛すること、また外出が必要な場合でも、感染防止策の徹底や検査を受けるなどの対応を心がけ、路上の飲み会や大人数・長時間での飲食を控えるよう、呼び掛けた。

 

治療薬について

 

治療薬については、今月19日に承認された重症化リスクを7割減らすともいわれる中和抗体薬の使用希望に、全国2,000を超える医療機関からの登録があり、政府は今後、その要請に応じて順次これを配送。50代以上の患者に加え、基礎疾患のある方に積極的に供給し、重症化を抑えていくと語った。

 

 

 

 

[菅総理発言の冒頭(全文ママ)]

 

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府に緊急事態宣言を発出するとともに、北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県にまん延防止等重点措置を実施し、期間はそれぞれ8月2日から8月31日までとすること、東京都、沖縄県の緊急事態宣言を8月31日まで延長することを決定いたしました。

 

全国の新規感染者数は増加を続けています。昨日の全国の感染者は1万人を超え、本日の東京の感染者数は3,300人に上っております。首都圏、関西圏を始め、多くの地域で増加傾向が続き、これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大をいたしております。
 大きな要因として指摘されるのが、変異株の中でも世界的に猛威を振るっているデルタ株です。4月の感染拡大の要因となったアルファ株よりも1.5倍ほど感染力が高く、東京では感染者に占める割合は7割を超えている、このように言われております。全国的にデルタ株への置き換わりが急速に進むにつれ、更に感染の拡大が進むことが懸念されます。

 

一方で、足元の感染者の状況を見ますと、既に高齢者の73パーセントが2回の接種を完了する中で、これまでの感染拡大期とは明らかに異なる特徴が見られております。東京における65歳以上の新規感染者の数は、感染が急拡大する中にあっても、本日も82人にとどまり、その割合は4月までの20パーセント台から、今では2パーセント台に低下しております。これに伴い、重症者の数の増加にも一定の抑制が見られて、東京では人工呼吸器が必要な重症者の数は、1月と比較しても半分程度にとどまり、そのための病床の利用率も2割程度に抑えられております。また、死亡者の数も1月の水準と比較し、大幅に低い水準にとどまっています。
 このように、ワクチン接種の効果が顕著に表れておりますが、それでもなお強く憂慮すべきことがあります。1つは、若い世代での感染が急拡大をいたしていることであります。東京では30代以下の感染者の割合が7割に達し、中でも20代の感染者が連日1,000人を超えています。そして40代、50代の重症者が増加傾向にあり、1月と比較しても1.5倍という水準となっております。このまま感染者の増加が止まらなければ、重症者数も更に増加し、病床がひっ迫するおそれがあります。また、新規感染者数の急増に伴い、保健所による入院の調整に大きな負担が掛かり、自宅で待機する方も増えているのが現状です。

 

こうした状況を勘案し、私は、ワクチン接種を進めながら、各地域でしっかりした対策を講じ、病床のひっ迫を招かないように、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置のそれぞれの地域を拡大し、期限を延長する判断をいたしました。
 これまでに経験のない、新しい感染症との闘いのため、国民の皆さんには1年半にわたり対策に御協力いただいておりますことに、心より感謝を申し上げます。
 一方で、自粛の期間が長期化する中で、自粛疲れの広がりが懸念されております。特に若い世代の方々からは、コロナは怖い病気ではない、こうした声も聞かれます。感染対策よりも通常の生活や楽しみを優先させたいという気持ちもあると思います。しかし、御理解いただきたいのは、デルタ株の出現によってこれまでとは変わり、若い世代の方々であっても重症化リスクが高まっており、感染後の重い後遺症に苦しんでいらっしゃる方がいるということであります。
 再三にわたる皆様へのお願いですが、大変に心苦しい思いで、ワクチン接種が更なる効果を発揮するまでの今しばらくの間、お一人お一人が高い警戒感を持って、感染予防を徹底し、慎重な行動を採るようにお願いいたします。

 

デルタ株であっても感染対策の肝は、マスクを外した会話の機会が多くなる飲食です。そして飲食の場における感染が職場や家庭などにおいて広がっているという現実があります。マスクの着用、手洗い、3密の回避という基本的な防止対策を徹底して、とりわけ会話をするときにマスクの着用を改めてお願いいたします。
 飲食店に対しては長きにわたり御迷惑をお掛けしてきております。協力金を早期に支払うこととし、併せてこれまでの協力金を簡素な審査で速やかに支給するなど、要請に協力していただける環境の整備に努めてまいります。同時に、今後、各都道府県において飲食店への見回りを拡大し、対策の実効性を高めてまいります。

 

夏休みが続き、お盆の時期を迎えますが、不要不急の外出や、移動の自粛をお願いします。外出が必要な場合にも、極力、家族やふだんの仲間と少人数で行うことや、帰省など避けられない都道府県の移動であっても、感染防止策の徹底や、必ず検査を受けるなど、極力慎重に対応していただきたいと思います。また、路上の飲み会、ふだん会わない人との会食や、大人数や長時間での飲食は控えるようにお願いします。

 

オリンピックが始まっても、交通規制やテレワーク、さらには皆さんの御協力によって東京の歓楽街の人流は減少傾向にあります。更に人流を減らすことができるよう、今後も御自宅でテレビなどを通じて声援を送っていただくことをお願いいたします。

 

新型コロナとの闘いのゴールは、国民の命と健康を守ることであり、そのために必要なことは、地域で機能する医療体制を維持していくことです。そして切り札であるワクチンの接種と効果的な治療薬により、病院に大きな負荷を与える重症化を防ぐことです。こうした考え方の下に、本年2月に医療従事者への接種を開始し、4月からは65歳以上の高齢者への接種を進めるなど、戦略的なスケジュールで接種を進めてきました。
 幸いなことに、全国の多くの方々の協力を得て、自治体・医療機関での接種は1日130万回、企業・大学での接種は1日20万回と、予想を上回るペースで進んでいます。この結果、これまでの接種回数は、企業・大学での接種と合わせ9,000万回に近づき、今月末には高齢者の8割近くが2回の接種を終える見込みであります。病院におけるクラスターの発生を防ぎ、高齢者への接種にめどがついた今、今後は重症化リスクが次に高い40代、50代の方々、そして感染が大きく広がっている若い世代へのワクチン接種に注力してまいります。

 

全国の自治体には、先々の配分量を速やかにお示しすることにより、計画的な接種を進めることができるように努めてまいります。そして本日、40代以上の方に接種が可能となるアストラゼネカ製のワクチンが承認されました。政府において200万回分が既に確保されており、希望する自治体などに速やかに提供してまいります。
 こうした中で、8月下旬には、2回の接種を終えた方の割合が全ての国民の4割を超えるよう取り組み、新たな日常を取り戻すよう全力を尽くしてまいります。さらに、ワクチンに関する正しい情報の発信に努めてまいります。若い世代の方々にも、自らの健康を守るため、そして、大切な家族や友人を守るため、是非ともワクチン接種に御協力いただけるようにお願い申し上げます。

 

治療薬についても、大きな進展があります。これまで軽症者や中等症者には効果的な治療薬がありませんでしたが、こうした方の重症化リスクを7割減らす画期的な治療薬が今月19日に承認されました。既に使用を希望する全国の2,000を超える医療機関が登録されており、要請に応じて順次配送してまいります。政府として、この中和抗体薬の十分な量を確保しており、50代以上の患者に加え、基礎疾患のある方に積極的に供給し、重症化を抑えてまいります。
また、様々な検査手法を活用し、具合が悪くなった方が身近な場所で気楽に検査ができる体制を整備してまいります。

 

宣言の出口については、ワクチンの接種状況と併せ、重症者や病床利用率など、医療提供体制への負荷に着目した具体的な分析を進め、適切に判断してまいります。その上で、社会経済活動の制限の緩和に向けた道筋を示してまいります。
 8月末までの間、今回の宣言が最後となるような覚悟で、政府を挙げて全力で対策を講じてまいります。国民の皆さんの御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

 

 

 

 

■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見(7月30日/動画有):https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0730kaiken.html
■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

■(内閣官房新型インフルエンザ等対策室)新型インフルエンザ等対策:http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。